2024年の株価見通しは?

2024年の株価見通しは?

2024年の株価見通しは?

この記事のポイント
  • 2024年11月5日にアメリカの大統領選挙が実施されます。選挙の年は現職の大統領が再選を果たそうとして経済政策を強化することが多く、1年を通して株価が上昇しやすいと言われています。
  • ただ、アメリカや日本のOECD景気先行指数は景気転換点を示す100近辺で推移しており、実体経済は楽観視できない状態です。この指数は実際の株価よりも3~6ヵ月先行するとされているので、少なくとも上半期の株価は横ばいの動きを続けそうです。
  • アノマリー通りに2024年も株価が上昇するのかは分かりませんが、バイデン大統領が何らかの景気刺激策を講じれば年末に向けて株高基調に、何の発表もなければ現状のままレンジ内で変動すると予想しています。1人の個人投資家として株高を祈ってやみません。

景気の良い話が出ているけれど…

メディアを見るとお正月気分が抜けないのか景気の良い話が並んでいます。テレ東BIZは大手証券会社の年頭会見を引用する形で、野村証券、大和証券、SMBC日興証券の3社がそろって「2024年の日経平均株価は4万円の大台をつける」という見通しを示したことを報道しています。個人投資家の投資意欲を刺激することで自社の業績UPを狙ったあからさまな「ポジショントーク(都合の悪いことを無視して、自分に有利なことだけ話すこと)」にすぎないのですが、やっぱりテレビは糞だと認識させられる出来事でした。そこで、今回は私個人の2024年の株価の見通しについてまとめていきたいと思います。

アメリカの大統領選挙が実施される年は株価が上昇しやすい

「大統領選挙の4年周期でみられるダウ平均の年上昇率(1833~2011)」アノマリー投資. Amazon Kindle位置情報945-2421

「大統領選挙の4年周期でみられるダウ平均の年上昇率(1833~2011)」アノマリー投資. Amazon Kindle位置情報945-2421(画像をクリックすると拡大します)

まず最初に意識すべきポイントは、アメリカの大統領選挙が実施される年は株価が上昇しやすいということです。これは、大統領選挙に関するアノマリー(理論的な枠組みでは説明することができない、経験的に観測できるマーケットの規則性)として知られており、現職大統領が再選を勝ち取るために政府支出や社会保障給付を大幅に増やすことから表れる現象です。

一見すると冗談のように思われるかもしれませんが、これは古くから知られている事実です。1978年に執筆された「Political Control of the Economy(Edward R. Tufte著)」という本によれば、「1962年~1973年の間、政府支出は大統領選挙がない年よりもある年の方が平均して29%多かった」こと、「1952年~1974年の期間に9回の社会保障給付の引き上げがあり、引き上げ幅は中間選挙の年よりも大統領選挙の年の方が平均して100%大きかった」ことなどが明らかにされています。

「⽶国⼤統領選挙とアノマリー」岡三アセットマネジメント情報提供資料より

「⽶国⼤統領選挙とアノマリー」岡三アセットマネジメント情報提供資料より(画像をクリックすると拡大します)

直近のデータを見ても、アノマリーが継続している様子が観察できます。上の画像を見れば明らかなように、大統領選挙の年のNYダウの年間騰落率は1984年(プラザ合意前年)、2000年(ITバブル崩壊)、2008年(リーマン危機)を除けばすべてプラスとなっており、経済情勢の変化や金融危機などの重大事件がなければ2024年も株価が上昇すると思われます。

 【アノマリーに関する記述はこちらの本を参考にしています。勉強になる点も多いので是非ご一読ください!】

OECDの景気先行指数をみると…

「OECD景気先行指数(2024年1月9日時点。赤:中国、青:日本、紫:アメリカ、灰:OECD加盟各国)」OECDのHPより

「OECD景気先行指数(2024年1月9日時点。赤:中国、青:日本、紫:アメリカ、灰:OECD加盟各国)」OECDのHPより(画像をクリックすると拡大します)

ただし、実体経済はあまり楽観視できない状態です。OECDの景気先行指数(CLI:composite leading indicator)をみると、アメリカや日本などの先進国は景気の転換点と言われる100近辺を前後しており、景気拡大・縮小の狭間でとどまっています。この指数は実際の株価よりも3~6ヵ月先行する形で動くので、少なくとも上半期の株価は横ばいで推移しそうです。

なお、仮にアメリカのバイデン大統領が大統領選挙で勝利するために新たな景気刺激策を導入したとしても、その効果が発現するまでにタイムラグが生じます。したがって、大統領選挙のアノマリー通りに年間を通して株価が上昇するにしても、やはり上半期中の値上がりは期待できないでしょう。今年の大統領選挙の投票日は11月5日なので、それまでに社会保障給付引き上げなどの経済対策が発表されれば株価は年末に向けて上昇基調を辿り、それがなければ年内は横ばいで推移すると予想しています。

2024年は景気後退局面に突入するとの予測もあり、予断を許さない状況が続きますが、より良い一年になることを祈っています。

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