みんなで大家さん運営会社の粉飾が酷い!?

みんなで大家さん運営会社の粉飾が酷い!?

みんなで大家さん運営会社の粉飾が酷い!?

この記事のポイント
  • みんなで大家さんの商品を購入するには営業者である都市綜研インベストファンド株式会社と匿名組合契約を結ぶ必要がありますがが、匿名組合契約は出資者と事業者の2者間契約であるため、株主総会のように事業者へ意見する機会がありません。つまり、営業者(都市綜研インベストファンド)が杜撰な事業運営を行っていた場合、投資家は異議を唱えることもできないまま、出資金をすべて失ってしまうことになります。
  • 都市綜研インベストファンドは事業状況が不透明であったり、行政処分を下されていたりと、あまり良い噂を聞きません。過去の会計書類を見ても粉飾だらけです。
  • 2023年6月30日に公表された都市綜研インベストファンド株式会社の第25期決算公告をみても、粉飾している様子が一目瞭然です。まず、総資産が1年間で1,000億円以上(前期比で2倍に)膨れ上がることなどあり得ません。また、みんなで大家さんは「シリーズ48号:名古屋再生医療幹細胞免疫センタービル」へ投資する名目で1,600百万円もの出資金を募っていたのに、建物の資産額はなぜか減少しています。さらに、不動産特定共同事業受入出資金の増加額は55,647百万円に過ぎないのに、土地は102,163百万円も増加しています。都市綜研インベストファンドは一体どのようにして投資資金を捻出したのでしょうか?
  • 都市綜研インベストファンドは粉飾をやりすぎて、決算数値の整合性を欠いています。明らかに異常なので、みんなで大家さんには近寄らない方が良いでしょう。

みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド)が抱える問題点とは?

「一般的な不動産投資(賃貸経営)の仕組みとみんなで大家さんの仕組み」みんなで大家さんホームページより

「一般的な不動産投資(賃貸経営)の仕組みとみんなで大家さんの仕組み」みんなで大家さんホームページより

みんなで大家さんが抱える最大の問題点は、「営業者である都市綜研インベストファンド株式会社が適切な事業運営をしているか?」という点にあります。

一般的な不動産投資(賃貸経営)は高額な不動産に直接投資し、物件を購入。所有している不動産を他者に貸し出すことで利益を得ます。自身の裁量次第では大きなリターンを期待できる一方で、①不動産購入費用を自分で工面しなければならない、②不動産管理に手間がかかるなどのデメリットが生じます。

他方で、みんなで大家さんの場合は、投資家が不動産特定共同事業者である営業者(都市綜研インベストファンド株式会社)と匿名組合契約を結び、同社の事業に参加するという形をとります。投資対象の選定、売買、賃貸管理に係る業務はすべて営業者である都市綜研インベストファンドが行うため、投資家は余計な手間をかけずに配当(事業から生み出された利益)を得ることができます。

一見すると、みんなで大家さんは優れた仕組みのように思えますが、実は大きな問題が隠されています。それは、投資家は出資金をすべて失う危険性があるということです。投資家が結ぶ匿名組合契約は株式投資に似ていますが、前者は出資者と事業者の2者間契約であるため、株主総会のように事業者へ意見する機会がありません。したがって、事業者がデタラメな事業運営を行っていた場合、投資家は異議を唱えることもできないまま、出資金をすべて失ってしまうことになります。

みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド)は粉飾だらけ…

「都市綜研インベストファンドの決算公告ページ」同社ホームページより

「都市綜研インベストファンドの決算公告ページ」同社ホームページより

結論から先に述べると、みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド)は事業状況が不透明であったり、過去に行政処分を下されていたりと、あまり良い噂を聞きません。会計書類を見ても粉飾だらけで、筆舌に尽くしがたいものがあります。2023年6月30日に都市綜研インベストファンド株式会社が第25期決算公告を公表したので、今回は同社の最新の会計資料を読み解きながら、粉飾の実態を明らかにしていきたいと思います。

①総資産が前期比で2倍、1,000億円以上も増えている!?

「都市綜研インベストファンド株式会社2022・2023年3月期の決算公告」同社ホームページより

「都市綜研インベストファンド株式会社2022・2023年3月期の決算公告」同社ホームページより

決算公告を見てまず驚かされるのが、その総資産額の多さです。都市綜研インベストファンド株式会社は2023年3月時点で234,206百万円の資産を有していますが、これはスナック菓子で有名なカルビーの総資産額239,095百万円(2023年3月時点)に匹敵します。野菜加工品で有名なカゴメの総資産が226,125百万円(2023年3月時点)なので、この決算書類が真実なら、みんなで大家さんはカゴメ以上、カルビー未満の大企業と言えるでしょう。

次に驚かされるのが、その成長スピードです。都市綜研インベストファンドは2022年4月1日から2023年3月31日までの1年間で総資産額を1,000億円以上増やしています。カルビーの総資産増加額は2,497百万円(増加率:+1.1%)、カゴメの総資産増加額は753百万円(増加率:+0.3%)なので、1年間で総資産をほぼ2倍に増やした同社の成長スピードは明らかに異常です。なお、同じ不動産業・資産規模のプレサンスコーポレーションでさえ、総資産増加額はわずか10,399百万円(増加率:+4.1%)にとどまっています。都市綜研インベストファンドがいかに無茶苦茶な数字を発表しているかが良くわかります。

②総資産増加額の内訳(貸方:負債及び純資産の部)をみるともっと酷い…

「都市綜研インベストファンド株式会社2022・2023年3月期の決算公告」同社ホームページより

再掲:「都市綜研インベストファンド株式会社2022・2023年3月期の決算公告」同社ホームページより

総資産増加額の内訳をみると、都市綜研インベストファンドの決算書類が粉飾だらけであることが分かります。貸借対照表の貸方(負債及び純資産合計)をみると、2022年~2023年にかけての総資産増加額110,867百万円のうち、負債の部の不動産特定共同事業受入出資金が55,647百万円の増加、預り金が51,731百万円の増加、純資産の部の利益剰余金が232百万円の増加となっていることが分かります。

一方、借入金(短期借入金・1年内返済予定長期借入金・長期借入金)は△929百万円の減少となっていることから、借入金の返済が利益だけでは賄いきれず、出資金や預り金のお金を流用していることが分かります。出資金は分別管理(事業用資産と分けて管理)しなければならないものであり、預り金は「役員、従業員、取引先などから、本人への返還または本人に代わって第三者へ支払うために一時的に預かった額を示す勘定科目」であるため、これら各科目の増減の仕方はかなり歪です。

「みんなで大家さんシリーズ成田10号の運用実績」みんなで大家さんホームページより

「みんなで大家さんシリーズ成田10号の運用実績」みんなで大家さんホームページより

また、そもそも預り金が71,209百万円(前期比:+51,731百万円)もあること自体意味が分かりませんし、これが匿名組合契約を結んだ投資家に対する未払配当金だとしても数字が合いません。みんなで大家さんは2か月間に1回(年6回)、出資額に対して7%の配当を支払います。不動産特定共同事業受入出資金の増加額(55,647百万円)すべてで2か月分の未払配当金が発生したとしても、その利払額はわずか649百万円(出資金の増加額55,647百万円×配当利回り7%÷12か月×2か月)に過ぎません。

都市綜研インベストファンドの預り金が何を表しているのか分かりませんが、同勘定科目が1年間で51,731百万円も増えることは通常ではあり得ません。同社が鉛筆をなめながら帳簿をつけている様子が目に浮かびます。

③総資産増加額の内訳(借方:資産の部)をみるとさらに酷い…

「都市綜研インベストファンド株式会社2022・2023年3月期の決算公告」同社ホームページより

「都市綜研インベストファンド株式会社2022・2023年3月期の決算公告」同社ホームページより

総資産増加額の内訳(借方:資産の部)をみても、都市綜研インベストファンドの不正が一目瞭然です。総資産増加額110,867百万円のうち、資産の部(流動資産)の現金及び預金が9,546百万円の増加、資産の部(固定資産)の建物が3百万円の減少、土地が102,163百万円の増加となっていることが分かります。一見矛盾はなさそうですが、みんなで大家さんが販売した商品の内容や、負債の部の不動産特定共同事業受入出資金が55,647百万円の増加であったことを踏まえると、これは明らかに不自然です。

「みんなで大家さんシリーズ48号の商品説明」同社ホームページより

「みんなで大家さんシリーズ48号の商品説明」同社ホームページより

まず、みんなで大家さんは「シリーズ48号:名古屋再生医療幹細胞免疫センタービル」へ投資する名目で1,600百万円(1,600口、一口100万円)もの出資を募っています。既にこの商品は運用を開始しているので、少なくとも建物の資産額は同じ額だけ増えていなければなりません。しかし、資産の部(固定資産)の建物の資産価額は前期に比べて3百万円の減少となっており、明らかに撞着しています。

そして、負債の部の不動産特定共同事業受入出資金が55,647百万円の増加となっているのに、資産の部(固定資産)土地が102,163百万円の増加となっていることも筋が通りません。外部の投資家と匿名組合契約を結んで556億円の資金を集めたのなら、それと同額あるいは自社出資分(手元資金)を合わせたとしても600~700億円程度の資産増に落ち着くはずです。しかし、現実には1,021億円も土地が増えており、その資金の出所が分かりません。

貸借対照表全体に目を通しても、純資産の部の利益剰余金は232百万円増加したに過ぎず、負債の部の借入金(短期借入金・1年内返済予定長期借入金・長期借入金)はむしろ△929百万円の減少(銀行借入して資金を確保したのではなく、逆に資金を返済している)となっています。こうした事実も併せて考えると、土地の投資資金をどのように調達したのかますます謎が深まります。なお、都市綜研インベストファンドの預り金が51,731百万円も増加していますが、これは「本人への返還または本人に代わって第三者へ支払うために一時的に預かった額を示す勘定科目」であり、基本的に1年以内に支払いが求められることから、土地に長期投資する資金にはなりえません。

以上のように、都市綜研インベストファンドは無茶苦茶な会計操作を行っているため、決算書類も整合性が取れていません。一目で粉飾と分かるほど杜撰な会計処理をしているので、みんなで大家さんには投資しない方がよいでしょう。

みんなで大家さんには絶対に投資しちゃダメ!

これまで見てきたように、みんなの大家さんの営業者である都市綜研インベストファンド株式会社はかなり悪質な会計操作を行っています。というよりも、粉飾しすぎて決算公告も何が何だか分からない状態に陥っているようです。みんなで大家さんに投資をするということは、都市綜研インベストファンドと匿名組合契約を結ぶということであり、一旦契約を締結すれば同社の事業運営に問題があっても異議を挟むことはできません。デタラメな決算書類を出すような企業とは絶対に関わってはいけません。みんなで大家さんには投資しない方が良いでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA