【2023年2月】中国の新築住宅価格は持ち直すが…。

【2023年2月】中国の新築住宅価格は持ち直すが…

 

【2023年2月】中国の新築住宅価格は持ち直すが…!?

この記事のポイント
  • 中国の新築住宅価格は持ち直す動きを見せています。2023年2月の中国主要70都市の住宅販売価格指数は多くの地域で前月比プラスに転じており、新築価格が前月割れの地域はわずか13都市に過ぎません。
  • もっとも、新築住宅価格指数を対前年同月比でみると、新築住宅価格が55都市で前年同月比割れ、中古住宅価格も63都市で前年同月比割れとなっているので、回復への道のりは依然として遠い状況です。
  • 中国の2023年1~2月の不動産開発投資額は1兆3,669億元(1元=19円換算で25兆9,711億円)で、前年比△5.7%と減少幅を縮小させていますが、不動産開発企業への資金流入額が前年比△15.2%の2兆1,331億元(およそ40兆5,289億円)となっているので、完全に立ち直ったわけではありません。
  • 中国政府は財務状態の良い不動産開発会社だけを救済すると明言しています。財務状態が劣悪な会社や放漫経営を続けている会社は倒産を余儀なくされるため、不動産市場の先行き不透明感はこの先も続くと思われます。

中国の不動産価格は持ち直す動きを見せる

「2023年2月の中国主要70都市の新築住宅(左)と中古住宅(右)の販売価格指数」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「2023年2月の中国主要70都市の新築住宅(左)と中古住宅(右)の販売価格指数」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

中国の不動産価格は持ち直す動きを見せています。2023年2月の中国主要70都市の住宅販売価格指数は多くの地域で前月比プラスに転じています。新築価格が前月割れの地域は13都市、中古住宅価格が前年割れの地域は39都市まで減っており、50~60都市で価格が下落していた昨年と比べれば、市況は大きく改善しています。ただし、対前年同月比でみると、新築住宅価格が55都市で前年同月比割れ、中古住宅価格が63都市で前年同月比割れとなっているので、まだまだ回復への道半ばといった状況です。

中国人民銀行(中国の中央銀行)は事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(ローンプライムレート)を6か月連続で据え置いてはいるものの、地域の不動産販売実績に応じてさらなる金利引き下げを認める(金利の下限を撤廃する)など、市況回復に向けて柔軟に対応しています。不動産価格がこのまま以前の水準まで持ち直すかは分かりませんが、一投資家としては期待したいところです。

不動産開発投資額もマイナス幅が縮小

「中国の不動産開発投資の成長率の推移(2023年2月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「中国の不動産開発投資の成長率の推移(2023年2月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

中国の2023年1~2月の不動産開発投資額は1兆3,669億元(1元=19円換算で25兆9,711億円)で、前年比△5.7%という結果でした。中国政府が不動産開発会社に対する融資規制を緩和したことで、投資額のマイナス幅も縮小しています。

「2023年2月までの不動産開発投資・販売の内訳」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「2023年2月までの不動産開発投資・販売の内訳」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

ただし、不動産開発企業への資金流入額が前年比△15.2%の2兆1,331億元(およそ40兆5,289億円)となっているので、完全に立ち直ったわけではありません。

先の規制緩和の内容は「優良な不動産開発企業や短期的な資金不足に陥った不動産開発企業の起債に対する信用増強を支援」、「優良な不動産開発企業が困難に陥っている不動産開発企業を合併買収するプロジェクトを重点的に支援」と定めており*、政府がすべての不動産開発会社を助けるわけではありません。救済されるのはあくまで優良な会社に限られ、放漫経営を行ってきた会社は倒産させる方針を示しています。*JETRO2022年11月24日「不動産市場の振興に向け、16項目の金融支援策を発表」より

したがって、中国の新築住宅価格指数は持ち直す動きを見せていますが、まだ安心できる状況ではありません。支援の受けられない中古住宅市場は苦戦が続き、財務状態の劣悪な会社は倒産を余儀なくされるでしょう。結局のところ、中国の不動産市場は先行きに対する不透明感が払しょくされず、引き続き低迷しそうです。

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