【会計不正のオンパレード】colaboの再調査結果がおもしろい(6)

【会計不正のオンパレード】colaboの再調査結果がおもしろい(6)

この記事のポイント
  • colaboに対する再調査の報告書を読みましたが、またしても衝撃的な内容でした。今回は紙幅の都合上、特に(11)各種保険~(13)ソフトウェアを中心に見ていきたいと思います。
  • (11)各種保険については社会保険料の過大計上だけが指摘されており、人件費の過大計上の問題が一切取り上げられていません。社会保険料は給与に基づいて計算されるため、社会保険料だけが過大計上されることはあり得ません。
  • (12)会議費については、監査結果の会議費204,540円がcolaboの2021年度会計報告の記載額116,811円(事業費74,802円、管理費42,009円)を超えている点が無視されています。なぜcolabo全体の会議費を上回る補助金が支給されるのか、説明が必要でしょう。
  • (13)ソフトウェアについては5年に分けて償却(費用計上)されるはずなのに、なぜ購入代金が全額費用計上されているのか意味が分かりません。そもそもofficeなどの付随のソフトはパソコン代金に含まれます。何の目的でどんなソフトウェアを購入したのか疑問が尽きません。

colabo再調査の結果は?

東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求に係る勧告に基づき知事が講じた措置について

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東京都福祉保健局がcolaboを再調査した結果、2023年3月3日に上のような報告書が公開されました。前回は(9)宿泊支援費~(10)車両関連費までをみてきたので、今回はその続きの部分に触れていきたいと思います。

矛盾が隠されている(11)各種保険

各種保険は社会保険料や火災保険料などが計上されている。支出の確認に当たっては、管理台帳に記載されている内容と領収書を突合した。その結果、以下のような支出があった。〇社会保険料を確認したところ、自主事業に従事している職員分も含めた団体全員の保険料が計上されていた。本事業に従事する職員分と自主事業に従事する職員分について、按分処理をした結果、389,046円が過大に計上されていた。按分についての考え方であるが、当該職員の社会保険料の総額に、当該職員の従事業務全体のうちで本事業の業務が占める比率を乗じて、算出した。上記を除き、3,212,344円が支出されていることを確認した。

各種保険については大きな矛盾が隠されています。そもそも論として①社会保険料の勘定科目を間違えている点は問題ですが、最大の矛盾は社会保険料が過大計上されているのに、②人件費の過大計上について何も触れていない点にあります。

①社会保険料の勘定科目が間違っている

「法定福利費について」福岡市・市民局・市民公益活動推進課―特定非営利活動法人の手引きより(画像はすべてクリックすると拡大します)

「法定福利費について」福岡市・市民局・市民公益活動推進課―特定非営利活動法人の手引きより(画像はすべてクリックすると拡大します)

社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険)は大きく分けると人件費に分類され、「法定福利費」として処理されます。colaboは税理士報酬・社会保険労務士報酬等に814,000円支出していますが、会計基準に則った会計手続きを行っておらず、勘定科目すら間違えています。

MEMO
colaboの活動報告書に記載されている会計報告をみると、2017年度の報告から人件費の内訳の一つとして法定福利費が計上されています。会計報告は適切に作成されているのに、なぜ管理台帳の記載方法が間違ったままだったのか?疑問は尽きません。

②人件費の過大計上について何も触れていない

「colabo再調査結果の報告書(人件費部分)」東京都監査局事務局資料より

「colabo再調査結果の報告書(人件費部分)」東京都監査局事務局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

社会保険料は給与(報酬月額)に基づいて算出されるため、社会保険料が「過大に計上されていた」ということは相応の人件費も過大に計上されていたということになります。しかし、再調査結果の報告書ではこの点について記述が一切ありません。これは大きな問題です。

社会保険料の会社負担割合は16%程度とされています。「社会保険料を確認したところ、自主事業に従事している職員分も含めた団体全員の保険料が計上されていた。本事業に従事する職員分と自主事業に従事する職員分について、按分処理をした結果、389,046円が過大に計上されていた」ということは、2,431,537円(社会保険料の過大計上額389,046円÷会社負担割合16%)相当の人件費も過大計上されていたということになるはずです。

しかし、人件費に関する再調査結果を見ても、該当する記述は見当たりません。むしろ、「賃金台帳及び振込履歴を確認したところ、本事業に従事している職員の給与は総額で22,479,576円であったが、うち13,674,740円については、本事業の管理台帳に記載されていなかったため、対象経費には含めないものとする」とされており、過大計上どころか過少計上されていたことになっています。まったく理解できません。

MEMO
各種保険費用として火災保険料も含まれているようですが、なぜか按分計算の話が出てきていません。社会保険料を按分計算するなら、火災保険料等の経費についても按分計算すべきでしょう。

疑問が残されたままの(12)会議費

会議費は打合せの際の食事代、自立を支援するための合同宿泊に係るスタッフの宿泊費が計上されている。支出の確認に当たっては、管理台帳に記載されている内容と領収書を突合した。その結果、会議費用として204,540円が支出されていることを確認した。

会議費については何も問題がないかのように感じますが、暇空氏の問題提起が放置されたままになっています。

同氏は住民監査請求書の中でcolaboの「2021年度会計報告で会議費が事業費74,802円、管理費42,009円、合計116,811円となっている」点を指摘。都に報告している会議費204,540円がcolabo全体の活動費を超えている点を問題視していますが、調査報告書では「領収書が確認できた」という弁明に終始しています。colabo側に難からの説明を求めてもよさそうですが、東京都福祉保健局は何も行わずにだんまりを決め込んでいます。

不正がはっきりとわかる(13)ソフトウェア

ソフトウェアに関する費用が計上されている。支出の確認に当たっては、管理台帳に記載されている内容と銀行の振込履歴を突合した。その結果、775,610円が支出されていることを確認した。

ソフトウェアをみると、colaboが不正に手を染めていることがはっきりと分かります。ごく普通に考えて社会福祉に取り組む社団法人が775,610円ものソフトウェアを購入するわけがありません。

そもそもofficeなどの付随ソフトは会計上パソコン代と併せて計上されるので、ソフトウェアという勘定科目を使うことがありません。これはセキュリティソフトも同様で、10万円以下であれば消耗品費として一括して費用処理できるようになっています。

高額な会計ソフトを導入したという線も考えられますが、管理台帳の誤記の多さや勘定科目の間違いの多さから考えると、おそらく紙媒体で管理しているものと思われます。775,610円のソフトウェアを何の目的で購入したのか想像すらできません。

「colaboの貸借対照表(2022年3月末時点)」colaboのホームページより

「colaboの貸借対照表(2022年3月末時点)」colaboのホームページより(画像はすべてクリックすると拡大します)

なお、一般的にソフトウェアは5年に分けて償却(費用計上)されることになっており、報告書に記載されているソフトウェア購入代金(775,610円)が一度に費用計上されることはあり得ません。

colaboの貸借対照表をみると無形固定資産のソフトウェアとして767,272円計上されているので、この事業年度で費用計上されたのは購入代金(775,610円)と貸借対照表額(767,272円)の差額である8,338円だけだと分かります。ソフトウェア費として8,338円計上したのなら分かりますが、なぜ購入代金全額を費用計上したのか理解に苦しみます。

~続く(次回のまとめで完結させる予定です)

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