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中部飼料(2053):PBR1倍割れ解消なるか!?配当金&株主優待(QUOカード・お米)がすごい!!
- 中部飼料(2053)は愛知県名古屋市に本社を置く、独立系の配合飼料メーカーです。主な事業は「畜産・水産用配合飼料の製造販売」で、トウモロコシや大豆を中心に穀物類を仕入れ、国内自社工場で資料を加工・製造。畜産家や養殖業者へ商品を販売しています。
- 中部飼料の通期業績は穀物価格の変動によって業績が大きく変動するものの、長期的に見れば経営が上手くいっています。ここ数年は穀物価格の高騰によって原料高に苦しんでいましたが、主に中国の景気悪化に伴う食肉需要の減退を背景に穀物価格の低下が続いており、2024年度の第3四半期ごろから利益が急回復しています。穀物価格(原材料価格)と飼料価格は連動するため、穀物価格の値下がりによって来期以降の売上高も減少してしまいますが、利益は直近で上方修正した2024年3月期と同水準を確保できると予想されています。
- 現在、中部飼料のPERは12.0倍(過去5年平均のPERは14.7倍)、PBRは0.62倍(同:0.63愛)となっています。バリュエーションにはまだまだ割安感があり、株価が52週最高値を更新していることを考えると、もう10%程度は値上がりしても不思議ではありません。なお、会社側はPBR1倍割れの原因が「株主還元が十分ではない」ことにあると考えており、自社株買い、安定配当(配当額の段階的引き上げ)等の施策を図っていくと発表しています。株主優待(QUOカード・お米)も充実しているので、長期投資としても妙味がありそうです。
中部飼料とは?
中部飼料(2053)は愛知県名古屋市に本社を置く、独立系の配合飼料メーカーです。主な事業は「畜産・水産用配合飼料の製造販売」で、トウモロコシや大豆を中心に穀物類を仕入れ、国内自社工場で資料を加工・製造。畜産家や養殖業者へ商品を販売しています。また、この他にも家畜の衛生管理・病理検査・飼育技術指導を通じて畜産業者をサポートする「家畜診断事業」、ごまたまご、いもぶた、さわやかチキンなど特性ある畜水産物・食品を大手スーパーなどへ販売する「畜水産物の販売事業」、天然由来の原料を使用した配合ペレット肥料や、鶏糞をリサイクル活用した特殊肥料など販売する「有機入り配合肥料の製造販売」を行っています。
近年、人口減少に伴って食肉の需要は緩やかな減少・横ばいを続けており、飼料の需要量も2,500万TDNトン程度とほぼ横ばいで推移しています。飼料業界全体のパイが大きく拡大することはないので、中部飼料をはじめとする業界各社は合併(業界最大手のフィード・ワンは協同飼料株式会社と日本配合飼料株式会社が2014年に統合)を通じてシェアを高めたり、自社商品の製造・販売に乗り出すなど、水平統合・垂直統合の動きを加速させています。
中部飼料も2015年に伊藤忠飼料・日本ハムと資本業務提携を発表するなど業界再編に向けた動きを見せていましたが、経営方針の対立から2021年に伊藤忠飼料との資本業務提携を解消しています。独立系の飼料メーカーの雄としてあくまで独立独歩の姿勢を貫くようです。
今後の業績は?
中部飼料(2053)の通期業績は上の画像のようになっています。飼料という需要の伸びが期待できない業種ではあるものの、水産飼料への参入や自社商品の販売を通して増収を続けており、利益も順調に増加しています。2015年3月期の一株当たり純利益額は54.6円、一株当たり純資産額は1292.4円でしたが、2024年3月期の一株当たり純利益額は112.6円、一株当たり純資産額は2218.1円を記録しており、穀物価格の変動によって業績が大きく変動するものの、長期的に見れば経営が上手くいっていることが分かります。
ここ数年はとうもろこしや大豆などの穀物価格の高騰によって原料高に苦しんでいましたが、主に中国の景気悪化に伴う食肉需要の減退を背景に穀物価格の低下が続いており、2024年度の第3四半期ごろから利益が急回復しています。穀物価格(原材料価格)と飼料価格は連動するため、穀物価格の値下がりによって来期以降の売上高も減少してしまいますが、利益は上方修正した2024年3月期と同水準を確保できると予想されています。
補足: 配合飼料価格安定制度について
中部飼料の業績は穀物価格の変動に大きく左右されます。飼料メーカーは「配合飼料価格安定制度」という制度に基づいて、配合飼料価格の上昇が畜産経営に及ぼす影響を緩和するため、平均輸入原料価格(飼料原材料5種類(とうもろこし、こうりゃん、大豆油かす、大麦、小麦)の四半期平均額)と基準原料価格(直近1年間の平均額)の差額を一部補填(積立金を計上)することが義務付けられています。
具体的には、平均輸入原料価格が基準輸入原料価格を超える場合に、上回った額を限度(総補塡額)として補塡が発動します。平成26年を例にすると、第1四半期の平均輸入原料価格32,571円/トンに対して、基準原料価格は34,747円/トンとなっていますが、両者の差額は「△2,176円/トン」で平均輸入価格が基準価格を下回っているため、通常補填は発動しません。一方、平成26年の第3四半期は平均輸入原料価格33,979円/トンに対して、基準原料価格は33,165円/トンとなっています。その差額は「+814円/トン」となっており、平均輸入価格が基準価格を上回っているため、「800円/トン(50円以下切り下げ)」の補填金を積立金として支払う必要があります。
配合飼料価格安定制度の補塡金は穀物価格が急騰するとそれに応じて自動的に増額されるため、穀物価格が急激に値上がりすると企業業績も一気に悪化します。今のところ原材料価格は落ち着きを取り戻しつつあるので問題はありませんが、戦争や災害などで相場が急変すると中部飼料の業績も大きな影響を受けると思われます。日々のニュースに注意を払う必要があります。
今後の株価は?
5月7日14:00の通期決算発表で、2025年3月期の増益予想&大幅増配(40円→50円)がアナウンスされました。これを受けて中部飼料の株価は急騰し、終値は前日比+184円(+15.36%)高の1,382円で取引を終えています。
現在の株価と最新の決算(2024年3月期、2025年3月期の業績予想)に基づいて株価指標を計算すると、PERは12.0倍(過去5年平均のPERは14.7倍)、PBRは0.62倍(同:0.63愛)となっています。バリュエーションにはまだまだ割安感があり、株価が52週最高値を更新していることを考えると、もう10%程度は値上がりしても不思議ではありません。また、25年3月期の配当金が50円なので、現在の配当利回りは3.6%となっています。日経平均の配当利回りが1.7%であることを踏まえると、やはりもう少し株価が上昇しても不思議ではないでしょう。
なお、中部飼料は株主優待が充実しています。3月末時点の株主に対しては「QUOカード」が、9月末時点の株主に対しては「お米」がプレゼントされます。会社側はPBR1倍割れの原因が「株主還元が十分ではない」ことにあると考えており、自社株買い、安定配当(配当額の段階的引き上げ)等の施策を図っていくと発表しています。長期的な投資妙味も十分に期待できるかもしれません。