日経平均史上最高値更新も残る不安…

日経平均史上最高値更新も残る不安…

日経平均史上最高値更新も残る不安…

この記事のポイント
  • 日経平均株価が2024年2月22日に39,098.68(前日比:+836.52)の終値をつけ、1989年12月29日の史上最高値3万8915円87銭を更新しました。
  • 過去のピーク時のPER・PBRはそれぞれ61倍、5.6倍もありましたが、現在のPER・PBRはわずか16.47倍、1.49倍にすぎません。指標に割高感がないので、しばらくは最高値を更新し続けそうです。
  • ただし、日本経済は2四半期連続で予想外のマイナス成長となっており、景気後退局面に入っています。実体経済が悪化する一方で株価の高騰が続けば、新たなバブルの芽となりかねません。一刻も早い日経平均の調整を望みます。

日経平均株価が史上最高値を更新!

「日経平均株価5年週足チャート(2月22日時点)」マネックス証券より

「日経平均株価5年週足チャート(2月22日時点)」マネックス証券より(画像をクリックすると拡大します)

日経平均株価は2024年2月22日に39,098.68(前日比:+836.52)の値をつけて取引を終えました。これによって、1989年12月29日の史上最高値3万8915円87銭を更新したことになります。

一見すると、バブルの再来を疑いたくなりますが、代表的な株価指標であるPER(株価収益率=株価÷1株当たり純利益)とPBR(株価純資産倍率=株価÷1株当たり純資産)を当時の数値と比較すれば、それが間違いであることが分かります。バブル経済の絶頂期だった過去のピーク時はPER・PBRがそれぞれ61倍、5.6倍もありましたが、現在のPER・PBRはわずか16.47倍、1.49倍にすぎません。多少の過熱感はありますが、ファンダメンタルから大きく乖離しているわけではないことが分かります。

「SBI証券のNISA口座の新規開設件数やNISA口座金融機関変更件数の推移」2024年3月期第3四半期SBIホールディングス株式会社決算説明会資料より

「SBI証券のNISA口座の新規開設件数やNISA口座金融機関変更件数の推移」2024年3月期第3四半期SBIホールディングス株式会社決算説明会資料より(画像をクリックすると拡大します)

今回の株高の要因は、①新NISA制度が導入されて株式市場に資本が流入したこと、②中国経済の低迷で日本株の見直し買いが入ったこと、③FRB(米連邦準備理事会:The Federal Reserve Board)の政策担当者の大半が尚早な利下げに懸念を示したことで円安に傾いたことなどにあります。これらの要因(特に①や②)は構造的な側面があり、今後もその影響が持続すると思われます。先の株価指標の数値にあまり割高感がないことも踏まえると、しばらくは日経平均株価の上昇が続きそうです。

日本経済は景気後退局面(リセッション)に突入

日本の内閣府は15日、2023年10~12月の国内総生産(GDP)を発表した。2四半期連続でマイナス成長となり、日本は予想外の景気後退(リセッション)に入った。世界3位の経済大国の地位をドイツに奪われた可能性もある。内閣府によると、2023年10~12月のGDPは前期(7~9月)比0.1%減だった。この状態が1年続く場合の年率換算は0.4%減となり、予想されていた以上に低下した。7~9月期は前期比0.8%減、年率換算では3.3%減だった。エコノミストらは2023年10~12月期について1%以上のプラス成長を見込んでいた。 2024年2月15日「日本、予想外の景気後退入りGDPが2期連続マイナス」より

ただし、日経平均株価は最高値を更新したものの、日本経済は景気後退局面(リセッション)に突入しています。2024年2月15日に発表された2023年10~12月の国内総生産(GDP)は前期比△0.1%となっており、2四半期連続でマイナス成長を記録しています。エコノミストの予想値(1%以上のプラス成長)と比べるとその差はさらに大きく広がっており、予想外の景気減速懸念が生まれています。

前回の記事では「ゆるやかに経済が持ち直し、ハードランディングを避けられるかもしれない」と書きましたが、最近のニュースは悪材料も目立ち始めています。日経平均株価の急騰がバブルを生まないよう祈るばかりです。

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