【重要】12月の経済イベントのスケジュール

【重要】12月の経済イベントのスケジュール

この記事のポイント
  • 12月7日(木)、15(金)のSQ算出日週とその翌週には少し注意が必要です。12月のSQ算出日は先物取引だけでなく、オプション取引の清算も絡むため、大口投資家の思惑によって相場が乱高下しがちです。過去のデータを見れば12月は株価が上昇しやすいので大きな心配は不要だと思いますが、ポジションサイズを小さくするなどの対策は必要です。
  • 12月12~13日(火~水)の米国FOMCは要注目です。金利の引き上げによって米国経済は傷んでおり、追加利上げの有無によって深刻なダメージを受ける恐れがあります。利上げ実施→株価下落、利下げ期待→株価上昇という流れになりそうです。
  • 中国の経済政策や米国の対中姿勢次第で株価が大きく動く可能性がある点に注意が必要です。12月中旬の中央経済工作会議で大規模な財政政策が採用されれば株価は大きく上昇すると思われます。反対に、12月23日で米中対立を煽るような内容が公表されれば、貿易摩擦が深刻化し、株価も急落しそうです。12月23日前にはポジションサイズを落とした方が良いでしょう。

12月の経済イベントのスケジュール

2023年12月の経済イベントのスケジュールは以下のようになっています。

日付 経済イベント名
12月7日(木) 日経225先物のSQ日(Special Quotation:日経225先物などの株価指数先物取引、または株価指数のオプション取引などを、決済するための「特別な価格」のこと)
12月8日(金) 米国11月雇用統計発表(雇用統計は雇用情勢を示す指標で、「失業率」や「建設業就業者数」、「製造業就業者数」、「金融機関就業者数」などの数値が発表されます)
12月9日(土) 中国11月CPI発表(Consumer Price Index:消費者が良く購入する製品やサービスの小売価格の変動を調査・算出した経済指標のことです)
12月12日(火) 12月12日 米国11月消費者物価指数(CPI)発表
12月12~13日(火~水) 米国FOMC(FederalOpenMarketCommittee:連邦公開市場委員会のこと。FRBが開く米国の金融政策を決定する会合のことで、経済情勢を議論し、通貨供給量や政策金利の誘導目標を決定する)
12月15日(金) 中国11月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
15日(金) NYダウ先物のSQ日
12月21日(木) 米国2023年第3四半期GDP発表(確定値)
12月23日(土) 米国2023会計年度国防授権法(NDAA)に基づき設立された中国の経済的威圧対策タスクフォースによる報告書の議会提出期限(米国議会は「中国による外国政府、企業、組織、その他の団体、個人に対する経済的強制の行使が増加しているため、米国は包括的、効果的、かつ多国間対応を考案することが求められている」と考えており、この報告書の提出期限が12月23日に設定されている)
12月中旬 中国中央経済工作会議(中国共産党中央・国務院が行う最高レベルの経済工作会議で、年に1度開催される。この会議では主に、1年間の経済実績の総括、国内外における経済状況の変化への対応、マクロ経済発展計画の制定、来年の経済業務の手配について議論・政策決定される)

注目の経済イベントと予想されるシナリオ

12月は株価が上昇することが多いものの、SQ算出日週とその翌週は要警戒!

「トリプルウィッチング(メジャーSQ)の週と翌週のダウンの変化」アノマリー投資AmazonKindle位置情報No.1301より

「トリプルウィッチング(メジャーSQ)の週と翌週のダウンの変化」アノマリー投資AmazonKindle位置情報No.1301より(元画像が小さいですがクリックすると拡大します)

12月7日(木)、15(金)のSQ算出日週とその翌週には少し注意が必要です。SQ日は「日経225先物などの株価指数先物取引、または株価指数のオプション取引などを、決済するための「清算価格」」が決定するため、大口投資家の思惑が錯綜し、値動きが激しくなりがちです。特に12月のSQは先物取引とオプション取引両方の清算価格が決まるため、3、6、9月のSQと並んでメジャーSQと呼ばれ、大きな注目を集めています。今年のSQ日に株価がどのような振る舞いを見せるか分かりませんが、少なくとも株価の変動幅が大きくなることは分かり切っているので、ポジションサイズを落とすなどの一定の警戒は必要です。

なお、「アノマリー投資(ジェフリー・A・ハーシュ著)」に記載されている1991年から2005年までの15年間のデータ(上の画像)を見ると、多くの場合、12月のSQ日が属する週とその翌週の両方で株価が上昇していることが分かります。12月は年末効果*が働きやすく、株価が上昇することが多いためだと考えられますが、2000年(SQ週に277.95ドル下落、翌週200.6ドル上昇)や2002年(SQ週に77.61ドル上昇、翌週207.54ドル下落)のように株価が乱高下する年もあるので、一筋縄にはいきません。SQ日前後で過度なリスクを取らないよう注意が必要でしょう。*「12月は株価が上がりやすい」という理論的には説明できないマーケットの経験則のこと。

 【上記の画像はこちらの本から引用しています。勉強になる点も多いので是非ご一読ください!】

米国経済が好調であれば、利上げ再開→株価下落。不調であれば、利下げ期待→株価上昇の流れに。

「米国の新築住宅販売戸数の推移」investing.comより

「米国の新築住宅販売戸数の推移」(画像はクリックすると拡大します)investing.comより

12月12~13日(火~水)の米国FOMCで、金利引き上げのガイダンスが出れば株価は下落し、金利引き下げのガイダンス(2024年の金利引き下げタイミングが早まったり、将来の金利引き下げ幅が大きくなるなどの予想)が出てくれば株価上昇の流れにのると考えています。というのも、最近は金利引き上げの影響で実体経済が弱含んでいるように見えるからです。

米国の新築住宅販売戸数の推移(上の画像)をみると、相次ぐ金利の引き上げで新築住宅の販売戸数が減少していることが分かります。直近の水準は1980年代を割りつつあり、米国の1980年の人口が2.2億人(2021年時点では3.3億人)だったことを考えれば、経済の落ち込みが懸念される水準です。仮にこのまま利上げが継続すれば不動産ローンの金利はさらに上昇し、住宅販売戸数もより一層減少し続けるかもしれません。

以上のように、個人的には金利引き上げの悪影響が顕在化しつつあると考えています。そんな中でさらなる利上げが断行されれば、経済が破綻しかねません。したがって、米国経済が好調と判断されて利上げが再開されれば経済悪化が懸念されて株価が下落、景気後退が憂慮されて利下げ期待が生まれれば株価上昇につながると思います。

「米FF金利の誘導目標と景気後退期」第一生命経済研究所経済分析レポートより

米FF金利の誘導目標と景気後退期(画像はクリックすると拡大します)

なお、FRBが利下げをすると一時的に株価が上昇しますが、利下げをするということは景気が後退しているという意味でもあります。景気が悪くなれば当然ながら企業業績も悪化し、株価も下がる危険性があるので、単純にすべての銘柄が上昇するわけではありません。景気悪化の影響を受けにくい(景気悪化後も好業績を維持する)成長株などが見直し買いされ、それ以外の銘柄は株価が低迷する恐れがあるので、銘柄選定には注意が必要でしょう。

中国の経済政策や米国の対中姿勢次第で株価が大きく動く可能性が…

「中国の16~24歳の失業率の推移」NHKのNEWSWEBより

「中国の16~24歳の失業率の推移」NHKのNEWSWEBより(画像はクリックすると拡大します)

最後に、中国の経済政策や米国の対中姿勢次第で株価が大きく動く可能性がある点に注意が必要です。不動産バブル抑制策(不動産開発会社に対する融資規制)が実施されたことで、不動産開発大手の恒大集団や碧桂園がデフォルトを起こすなど、中国経済が大きく混乱しています。若年層の失業率も増加しているので、今後数年内の経済の失速は疑いようがありません。中国政府がどのような経済対策をとるのかは分かりませんが、12月中旬の中央経済工作会議で大規模な財政政策が計画されたり、なんらかの経済支援策が採用されれば、関連する中国企業や日本企業の株価にプラスの影響が出ることは間違いないでしょう。

「米中貿易額の推移」ブルームバーグ(米中貿易額、過去最高を更新する方向-経済切り離しのレトリックでも)より

「米中貿易額の推移」ブルームバーグ(米中貿易額、過去最高を更新する方向-経済切り離しのレトリックでも)より(画像はクリックすると拡大します)

また、12月23日が「米国2023会計年度国防授権法(NDAA)に基づき設立された中国の経済的威圧対策タスクフォースによる報告書の議会提出期限」となっているため、米国の対中姿勢にも注意が必要です。米中貿易摩擦が叫ばれているものの、今のところ両国の貿易額は過去最高を記録するなどしており、そこまで深刻な事態には至っていません。

ただ、報告書内でデカップリング(中国経済を米国経済から切り離す動き)を推進すべきとの意見が示されれば、米中対立はさらに先鋭化し、経済に予測不可能な影響が出ると思われます。株価も急落する危険が高いので、12月23日前にはポジションサイズを落とすなどの対策が必要でしょう。

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