恒大集団の財務状況が相変わらず酷い!

恒大集団の財務状況が相変わらず酷い!

恒大集団の2023年12月期第2四半期決算書類全文

「恒大集団の2023年12月期第2四半期決算(未監査)」同社HPより

恒大集団は2023年8月27日に2023年12月期第2四半期決算書類を公表しました。今回はその内容について簡単に見ていきたいと思います。

なお、恒大集団に対しては2022年6月24日に一部の債権者によって清算請願(=恒大集団を倒産させるための訴訟)が提起されていましたが、同社側が債務再編計画を公表する計画であると抗弁したため、香港特別行政区高等法院による審理が中断されました。その後、恒大集団は2023年3月22日に既存の債務を返済期間が長い新債券やグループ会社の株式転換権と交換する再建計画(詳細は上記文書7~10ページ参照)を発表しましたが、債権者会議(最新の発表では2023年9月26日を予定)が完了していないことから、すべての債権者の賛同を得られていない状態です。

また、恒大集団は過去の決算書類(2021年12月期、2022年12月第2四半期、2022年12月期)の監査がすべて完了したこと、不透明な資金繰りに対する独立調査が終了したことなどを理由に、香港証券取引所に証券取引の再開を申請していましたが、監査法人の突然の交代(PricewaterhouseCoopers というイギリスの大手監査法人からPrism Hong Kong and Shanghai Limitedという中国の監査法人へ変更)、同社に対する数々の訴訟(2023年3月時点で1億元以上の訴訟件数:789件・総額3,313億元、仲裁案件数:43件・総額322億元)等の問題がなぜかすべて無視され、本日(2023年8月28日)から株式の売買が再開されています。

恒大集団の財務上の問題点

巨額の負債を抱えるものの、手許現金は少ない

「巨額の負債を抱えるものの、手許現金は少ない」恒大集団の2023年12月期第2四半期決算資料より

「巨額の負債を抱えるものの、手許現金は少ない」恒大集団の2023年12月期第2四半期決算資料より

恒大集団は厳しい財務状況が続いています。同社の借入金は624,765百万元(およそ12兆4,953億円)に達していますが、手許現金はわずか4,047百万元(およそ809億円)しかありません。加えて、営業債務とその他債務が1,056,574百万元(およそ21兆1,314億円)もあるのに対し、営業債権とその他債権が225,731百万元(およそ4兆5,146億円)しかないことを踏まえると、負債の返済に追われて現金が枯渇してく未来が目に浮かびます。

巨額の債務超過

「巨額の債務超過」恒大集団の2023年12月期第2四半期決算資料より

「巨額の債務超過」恒大集団の2023年12月期第2四半期決算資料より

現在、恒大集団は巨額の債務超過に陥っており、その額は644,203百万元(1人民元=20円で約12兆8,840億円)に達しています。同社の第2四半期までの売上高が121,181百万元(およそ2兆4,236億円)であり、通期で240,000百万元くらいの売上が見込めると仮定しても、年間売上高の2.6倍ほどの累積赤字を抱えている計算になります。

「2023年第2四半期も純損失を計上」恒大集団の2023年12月期第2四半期決算資料より

「2023年第2四半期も純損失を計上」恒大集団の2023年12月期第2四半期決算資料より

さらに、恒大集団は赤字が続いており、2023年1~6ヵ月の半年間に33,012百万元(およそ6,602億円)もの純損失を計上しています。習近平政権の不動産規制が今後も継続し、中国の不動産市況のV字回復が望めないことを考えると、恒大集団の黒字転換は期待できそうにもありません。同社の将来は依然として厳しいものになりそうです。

まとめ

恒大集団の決算書類を見ると、なぜ未だに倒産せずに生き残っているのか?、決算書類の数値は本当に正しいのか?、株式の売買を再開させて良いのか?等、様々な疑問が頭をよぎります。ただ、謎の力によって理不尽がまかり通るのが中国という国なので、黙ってこの不思議な状態を受け入れるしかなさそうです。

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