【2023年8月7日】世界の株価を俯瞰する

【2023年8月7日】世界の株価を俯瞰する

【2023年8月7日】世界の株価を俯瞰する

この記事のポイント
  • OECDが公表している景気先行指数(CLI)をみると、指数が景気の転換点となる100を上回った状態で再度上昇に転じていることがわかります。景気先行指数は実際の景気よりも3~6ヵ月ほどリードすることから、日本経済は少なくとも年内の間はしっかりとした動きをみせそうです。日経平均は目先弱含むかもしれませんが、押し目買いの良い機会になるかもしれません。
  • 米国の景気先行指数をみると、2023年に入ってから切り返す動きを見せています。指数は依然として節目となる100を下回り景気後退局面にあることを示唆していますが、株価指数はダウ平均・ナスダックともに最高値更新を目指す動きを見せているので、景気回復への期待が持てる状況です。
  • 中国の景気先行指数をみると、指数が100を超えて景気後退局面から景気拡大局面に転換しています。中国の統計データを完全に信頼することはできませんが、日本、米国、その他の国々も景気回復に向かっていることから、少なくとも中国経済も上向きつつあるようです。
  • 上海総合指数と香港株価指数50をみると、底値固めをしている状態にあることがわかります。チャートやMACDをみると、短期的に株価が上昇しそうですが、どこまで伸びるかはまったくわかりません。政治のさじ加減一つで経済状況が大きく変化するため楽観視は出来ませんが、目先の経済情勢は回復に向かっているので、ひとまずは落ち着いて中国経済を俯瞰する必要があるでしょう。

日本:日経平均の週足チャート

「日経平均(2023年8月7日時点)の週足チャート」investing.comより

「日経平均(2023年8月7日時点)の週足チャート」investing.comより

日経平均の週足チャートをみると、2021年2月、9月の高値(3万700円付近)を完全に突破したものの、株価が弱含んでいることがわかります。ローソク足は直近安値を下回って推移しているので、目先の日経平均は前回の抵抗線(2021年の高値の3万700円付近)まで下落していきそうです。

また、MACDをみても、長期MACD(短期線19週、長期線39週、シグナル線9週)が垂れ、シグナルラインと交差しそうな形をしています。一般的に長期MACDがシグナルラインとデッドクロスする(長期MACDがシグナルラインを下抜ける)と売り相場に突入するので、やはり今後の日経平均は軟調に推移しそうです。

MEMO
アペル流テクニカル売買のコツという本には「株式市場にとって最も危険な時期は、19日移動平均線と39日間のMACDラインが下落を継続し、ゼロを多少上回る水準まで下落した時だが、実用面からは、ゼロラインを最も信頼度の高いMACD売りシグナルを示す重要な水準だとみなすことができる。(略)MACDの『全面的』な売りシグナルは、19日間と39日間のMACDが下落してゼロラインを下回った時に生じる。(Amazon Kindle位置情報3166/3944)」とあるので、今のところ日経平均が本格的に売られる展開ではありません(日経平均のMACD線がゼロラインを下回ると売り局面に入ります)。詳しくは下記の本をご確認ください!

 

「OECD景気先行指数:日本2008-2023」

「OECD景気先行指数:日本2008-2023年」

なお、済協力開発機構(OECD)が公表している景気先行指数(CLI:Composite leading indicator)をみると、同指数が景気の転換点となる100を上回った状態で切り返す動きをみせていることがわかります。OECDの景気先行指数は実際の景気よりも3~6ヵ月ほどリードすることから、日本経済が少なくとも年内の間は騒がれているほど悪くならないと予測できます。日経平均は短期的に軟調な動きを示すかもしれませんが、押し目買いの絶好の機会になるかもしれません。

米国:ダウ平均株価&ナスダック総合指数の週足チャート

「ダウ平均株価&ナスダック総合指数(2023年8月7日時点)の週足チャート」investing.comより

「ダウ平均株価&ナスダック総合指数(2023年8月7日時点)の週足チャート」investing.comより

ダウ平均株価とナスダック総合指数の週足チャートを見ると、どちらも2021年11月の高値更新にむけて上昇しつつあることが分かります。両株価指数とも短・中・長期移動平均線を超えており、長期MACDも買いシグナルが点灯しているので、短期的な調整を挟む可能性はありますが、しばらくは値上がりしそうです。

「OECD景気先行指数:米国2008-2023」.png

「OECD景気先行指数:米国2008-2023年」.png

また、OECDの景気先行指数をみると、景気判断の閾値である100を下回り景気後退を示唆していますが、同指数が99を割ってからは切り返す動きを見せています。現段階では景気後退局面にはありますが、後述するように中国経済が上向いていることから、アメリカ経済も回復に向かう可能性があります。アメリカの経済情勢には不確定要素(インフレが落ち着くのか、利上げを継続するのか等)が多いですが、今のところは大きく心配する必要はなさそうです。

中国:上海総合指数&香港株価指数50の週足チャート

「上海総合指数&香港株価指数50(2023年8月7日時点)の週足チャート」investing.comより

「上海総合指数&香港株価指数50(2023年8月7日時点)の週足チャート」investing.comより

上海総合指数と香港株価指数50の週足チャートをみると、どちらも底値固めをしていることが分かります。上海総合指数は短・中・長期移動平均線ともみ合っており、これを完全に上回ればさらに力強く上昇しそうです。また、香港株価指数50はヘッド・アンド・ショルダーを形成しそうな動きを見せているので、22,500ポイントを抜ければこちらも大きく上昇しそうです。

両株価指数ともにMACDがゴールデンクロス(MACD線がシグナルラインを上抜く)しているので、短期的には上昇することが約束されています。株価指数がどこまで伸びていくのか、節目となる水準を超えることができるかは分かりませんが、中国経済は不透明感が漂っているだけに中国の株式市場には注意が必要でしょう。

「OECD景気先行指数:中国2008-2023」

「OECD景気先行指数:中国2008-2023年」

なお、中国の景気先行指数をみると、指数が100を超えて景気後退局面から景気拡大局面に転換していることが分かります。一部報道では16歳から24歳の失業率が21.3%に達したことを理由に「中国経済が崩壊の危機にある」などと煽っていますが、日本やアメリカも同じような動きを示しているので、少なくとも景気が改善していることは間違いないと思われます。

中国経済に関しては恒大集団をはじめとする不動産セクターの動向、米中貿易摩擦の影響等が重荷となっています。政治のさじ加減一つで経済状況が大きく変化するため楽観視は出来ませんが、ひとまずは落ち着いて世界経済を俯瞰する必要があるでしょう。

まとめ

以上みてきたように、日本、米国、中国のすべての国で景気が回復しつつあります。したがって、世界の株式市場はこの先3~6か月の間は堅調に推移すると予測されます。ただ、米国のインフレ率が鈍化するか、それによる金利の引き上げがどの程度になるか、中国の不動産セクターの先行きはどうなるのか、米中貿易摩擦が激化するのかなど、世界経済の不確実性が高まってきています。慢心も油断もできない情勢ですので、経済データをしっかりと把握し、落ち着いて相場に臨みましょう!

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