【会計不正のオンパレード】colaboの再調査結果がおもしろい(4)

【会計不正のオンパレード】colaboの再調査結果がおもしろい(4)

この記事のポイント
  • colaboに対する再調査の報告書を読みましたが、またしても衝撃的な内容でした。今回は紙幅の都合上、特に(7)消耗品費~(8)旅費交通費の部分を中心に見ていきたいと思います。
  • 前回も指摘しましたが、そもそも1回目と2回目の調査でなぜ結果が変わるのかが分かりませんでした。どちらもcolaboの帳簿を調査しているので差異など生じないはずなのですが、しっかりと結果が異なっています。
  • (7)消耗品費については按分計算の話が無視されています。事務用品や生活用品は委託事業に関するものとそれ以外の自主事業に関するものとの区別がつきにくいため、一定の按分計算が望ましいと考えられます。調査報告書はこの点を無視しており、作為的な感じがします。
  • (8)旅費交通費については、①そもそもバスカフェ事業は委託事業に含まれない可能性が高い、②ガソリン代などの按分計算がされていない、➂ガソリン代が高額すぎるという暇空氏の主張を無視している、という問題があります。東京都若年被害女性等支援事業実施要綱を読む限り、バスカフェ事業は委託事業に含まれないため、経費を管理台帳に記帳していること自体が問題です。加えて、(7)消耗品費と同じようにガソリン代について按分計算されていないことから、どう転んでもcolaboは弁明のしようがありません。

colabo再調査の結果は?

東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求に係る勧告に基づき知事が講じた措置について

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東京都福祉保健局がcolaboを再調査した結果、2023年3月3日に上のような報告書が公開されました。前回は(5)医療費~(6)備品購入費までをみてきたので、今回はその続きの部分に触れていきたいと思います。

按分計算の話が出てこない(7)消耗品費

消耗品費は日常的に使用する事務用品や生活用品を計上している。支出の確認に当たっては、管理台帳と領収書を突合した。その結果、以下のような支出があった。〇管理台帳に記載があり、領収書が存在するものの、宛名が当該団体の職員名となっている領収書が2件16,450円あった。職員名での領収書は、当該事業に係る領収書としては認められないことから、対象経費から除外することとする。〇給食費の中に消耗品として計上すべきものが3件8,906円あった。上記を除き、2,137,767円が支出されていることを確認した。

消耗品費については委託事業に係る経費とそれ以外の自主事業に係る経費とに按分計算していない(共通の費用をそれぞれの事業割合に応じて負担させていない)点が問題です。

「消耗品費の按分計算について」福岡市・市民局・市民公益活動推進課―特定非営利活動法人の手引きより(画像はすべてクリックすると拡大します)

「消耗品費の按分計算について」福岡市・市民局・市民公益活動推進課―特定非営利活動法人の手引きより(画像はすべてクリックすると拡大します)

例えば、コピー用紙のような事務用品について考えてみましょう。colaboは東京都若年被害女性支援事業の他にも、10代女性を取り巻くさまざまな問題・実態などを伝える啓発事業にも取り組んでいます。コピー用紙のような事務用品は両事業にまたがって使用されるため、その経費は一定の割合で両者に負担させるべきです。

しかし、再調査の報告書ではこうした按分計算の話が一切出てきていません。報告書では税理士報酬、社会保険労務士報酬等に関してのみ委託事業に係る経費とそれ以外の自主事業に係る経費とに分けていますが、事務所・居場所運営費や消耗品費なども含めたそれ以外の費用については何も言及されていません。

仮に、税理士報酬等と同じ計算方法(全事業の経費に占める委託事業の経費割合:24.7%)で消耗品費を按分した場合、2,137,767円のうち528,028円が委託事業に関する費用で、1,609,739円が過大計上だったことになります。特定の費用だけ問題視してそれ以外のものについて何も触れないのは、結論ありきで報告書を作成しているからではないかと邪推してしまいます。

不正の吹き溜まりとなっている(8)旅費交通費

旅費交通費は駐車場代、交通費などを計上している。支出の確認に当たっては、管理台帳と領収書を突合した。その結果、以下のような支出があった。〇団体の自主事業に関する旅費が3件で63,948円含まれていた。〇受領者に関する一部の情報の提示を団体側が拒否し、全てを確認できなかったため、証憑書類としては認められないものが59件183,863円あった。上記を除き、ガソリン代296,140円、交通費685,669円、駐車場代83,800円、レンタカー代27,840円の合計1,093,449円が支出されていることを確認した。

(8)旅費交通費は不正の吹き溜まりとなっています。colaboの管理台帳には自主事業に関する費用が含まれていたり、元となる領収書の提示を拒否されたりしたようです。ただ、問題はこれだけにとどまりません。この他にも①そもそもバスカフェ事業は委託事業に含まれない可能性が高い、②ガソリン代などの按分計算がされていない、➂ガソリン代が高額すぎるという暇空氏の主張を無視している、という問題があります。

①そもそもバスカフェ事業は委託事業に含まれない可能性が高い

「若年被害女性等支援事業の概要」内閣府男女共同参画局資料より

「若年被害女性等支援事業の概要」内閣府男女共同参画局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

若年被害女性支援事業は①夜間見回りや声掛け、相談窓口の開設などの「アウトリーチ支援」、②相談内容によって警察や医療機関などの関係機関とつなぐ「関係機関連携会議の設置等」、➂一時的な居場所を提供する「居場所の確保」、④学校や家族との調整や就労支援に取り組む「自立支援」の4つから成り立っています。

「東京都の委託するアウトリーチ支援の内容」東京都若年被害女性等支援事業実施要綱より

「東京都の委託するアウトリーチ支援の内容」東京都若年被害女性等支援事業実施要綱より(画像はすべてクリックすると拡大します)

バスカフェ事業はこのうちの①アウトリーチ支援に関する事業に該当するように思えますが、委託内容について定めた東京都若年被害女性等支援事業実施要綱を読むと、A.「深夜の繁華街などを巡回し、夜間徘徊など家に帰れずにいる若年被害女性等に対して、声掛けや相談支援」を行う事業でも、B.「都内繁華街などに常設の相談場所を設置し」若年被害女性の相談にのる事業でもないことが分かります。

「バスカフェ事業(TsubomiCafe)に関する説明」colabo2021年活動報告書より

「バスカフェ事業(TsubomiCafe)に関する説明」colabo2021年活動報告書より(画像はすべてクリックすると拡大します)

また、委託内容は週一回程度(年間52回程度)の活動の実施を求めているため、年間34回しか実施していないバスカフェ事業は委託事業から除かれて然るべきだと思われます。実際、colaboの活動報告書内でもバスカフェ事業(TsubomiCafe)は「相談」や「支援」を目的としていないと書かれているので、colaboはバスカフェ事業が東京都の委託事業の範囲外であることを認識していると思われます。

したがって、そもそもバスカフェ事業は委託事業に含まれない可能性が高いため、同事業に関するものと思われるガソリン代などの経費を予算や事業実績に含めていること自体が問題だと考えています。

②ガソリン代などの按分計算がされていない

「ガソリン代の按分計算について」福岡市・市民局・市民公益活動推進課―特定非営利活動法人の手引きより(画像はすべてクリックすると拡大します)

「ガソリン代の按分計算について」福岡市・市民局・市民公益活動推進課―特定非営利活動法人の手引きより(画像はすべてクリックすると拡大します)

ガソリン代については按分計算がされていない点も問題です。colaboは交通費とは別に30万円近いガソリン代と83,800円の駐車代を計上していますが、当然その中には委託事業に含まれない自主事業に関する使用分も含まれているはずです。しかし、再調査結果にその旨の記載がなく、明らかに会計不正が見逃されています。繰り返しになるのでこれ以上は追及しませんが、これは明らかな過ちだと思います。

➂ガソリン代が高額すぎるという暇空氏の主張を無視している

「ガソリン代が高額であるとする旨の暇空氏の主張」住民監査請求監査結果より

「ガソリン代が高額であるとする旨の暇空氏の主張」住民監査請求監査結果より(画像はすべてクリックすると拡大します)

ガソリン代が高額であるとする暇空氏の主張を無視している点も問題です。暇空氏はバスカフェ事業に係るガソリン代は72,533円程度だと推計していますが、調査結果では領収書の存在を理由にこの請求内容を却下しています。

しかし、先に取り上げたように、colaboはガソリン代について委託事業と自主事業の区別をしておらず、それぞれの活動割合に応じた按分計算していない可能性があります。この暇空氏の主張に関しても何らかの調査が必要でしょう。

~続く

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