中国の不動産市況は底なし沼に。バブルの芽は膨らみ続ける。

中国の不動産市況は底なし沼に。バブルの芽は膨らみ続ける。

この記事のポイント
  • 2022年8月の中国の不動産開発投資額は、1月から8月までの累計ベースで9兆809億元(約181兆6,180億円)、前年比△7.4%という結果に。
  • 主要70都市の不動産価格指数も前年比割れの地域が49都市、前月比割れの地域は40都市から50都市にそれぞれ拡大。歯止めがきかない状況に。
  • 市況が低迷している環境下でも、2022年1~8月までの新規着工床面積85,062万平方メートルに対して、竣工床面積は36,861万平方メートルに過ぎず、開発途中のプロジェクトは868,649万平方メートルに達している。
  • 開発会社の多くが新たな資金を獲得するために無理やり新規プロジェクトを開始する一方、そのほとんどが頓挫する形となっており、バブルの芽は膨らみ続けている。

中国の不動産開発投資額は底なし沼状態

「中国の不動産開発投資額の成長率の推移(2022年8月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「中国の不動産開発投資額の成長率の推移(2022年8月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

2022年8月の中国の不動産開発投資額は、1月から8月までの累計ベースで9兆809億元(1元=20円で約181兆6,180億円)、前年比△7.4%という結果でした。

不動産開発投資額の成長率の推移をみると一貫して減少傾向にあり、特に2022年3月末の上海ロックダウン以後はマイナス成長に転じています。2020年に導入された「三条紅線」という不動産開発会社に対する厳格な融資規制(不動産バブル抑制政策)によって、投資額はここ数か月緩やかに減少していましたが、そこに中国政府の大規模な防疫体制が追い打ちをかけたことで、不動産市況は完全に停滞。底なし沼に足を取られた状態です。

不動産価格も下落が続く

「2022年8月の中国主要70都市の新築住宅販売価格指数」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「2022年8月の中国主要70都市の新築住宅販売価格指数」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

2022年8月の中国主要70都市の新築住宅販売価格指数をみると、中国全土で不動産価格が下落していることが分かります。前年比割れの地域は7月の48都市から8月は49都市に、前月比割れの地域は40都市から50都市にそれぞれ拡大しており、歯止めがきかない状況です。

過去の記事(「中国は不動産バブル崩壊を阻止するため躍起になる?」)では、中国の地方政府が不動産売買の支援策を次々と発表している点に触れましたが、その効果は今のところみられていません。

不動産開発会社の資金繰りが難しくなることで手持ち資産(販売用不動産)の投げ売りが起こり、個人は価格の下落を恐れて不動産の購入をためらい、そしてそれがさらに市況の悪化を加速させています。中国の不動産セクターは完全に悪循環にはまっており、抜け出すのは至難の業でしょう。

不動産バブルの芽は膨らみ続ける…

「2022年8月までの不動産開発投資の内訳」中国国家統計局資料より

「2022年8月までの不動産開発投資の内訳」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

中国政府のバブル抑制政策に過度な防疫措置が加わったことで不動産市況は大打撃を受けていますが、それでもなおバブルの芽は膨らみ続けています。

2022年1~8月までの新規着工床面積85,062万平方メートルに対して、竣工床面積は36,861万平方メートルに過ぎず、開発途中のプロジェクトは868,649万平方メートルに達しています。開発会社の多くが新たな資金を獲得するために無理やり新規プロジェクトを開始する一方、そのほとんどが頓挫する形となっており、建設途中で放置された物件は増え続けるばかりです。

なお、住宅都市農村建設省、財政省、中国人民銀行(中国の中央銀行)は2022年8月19日遅くに、資金不足で建設が止まっている住宅プロジェクトについて、物件を買い手に確実に引き渡すための特別融資2,000億元(約4兆円)を提供する特別融資計画を発表しました。

融資条件等の詳細は明らかになっておらず何とも言えませんが、建設中の物件の床面積は住宅用途のものだけでも2億人分(開発中の住宅の床面積:613,604万平方メートル、中国の住宅の平均床面積:30平方メートル)に及んでいます。また、新規開発物件を0と仮定しても20年分以上の開発プロジェクトを抱える計算となり、いくら支援策を講じてもその全部を完工することは実質的に不可能でしょう。

まとめ

「2021年第4四半期および21年通年のGDPの速報値」中国国家統計局資料より

「2021年第4四半期および21年通年のGDPの速報値」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

中国の不動産セクターはGDPの6.7%を占めており、不動産市況の低迷は中国経済全体に大きな影響を与えます。しかし、それを嫌って新たな刺激策を採用すれば、バブルの芽はさらに大きく膨らんでしまいます。

中国経済は大きな矛盾を孕んでおり、解決する術はありません。過去の記事(「不動産バブルに対する中国政府の方針は?~「王小鲁:房地产如果不挤泡沫 未来问题会严重得」を参考に~」)で取り上げたように、中国政府はバブルを崩壊させる方針であり、ハードランディング(景気の急激な失速)も視野に入れています。いつバブルが破裂するかは分かりませんが、実態としては運命の時に近づきつつあるようです。

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