テクニカル分析の古典的名著「マーケットのテクニカル百科 実践編」

株の本を100冊読んでみた マーケットのテクニカル百科 実践編

この記事のポイント
  • 「マーケットのテクニカル百科 実践編」はアメリカの多くの大学で教科書として使用されている「テクニカル・アナリシス・オブ・ストック・トレンド(Tecchnical Analysis of Stock Trends)」という本を日本語に翻訳したものの後編にあたります。
  • この本は、投資手法ごとの戦略からエントリータイミングやストップロスの置き方などの細かな取引戦術に至るまで、文字通り実践的な内容がまとめられています。チャートの読み方はなんとなくわかるけど、具体的にどう取引すれば良いか分からないという人(初級者~中級者の方)におすすめの本です。
  • 初版が1943年と古く、チャートが読みにくかったり古臭く感じる箇所もありますが、その内容は核心を突いており、まったく色あせていません。今なお読み継がれる古典的名著ですので、ぜひご一読ください!

「マーケットのテクニカル百科 実践編」の勉強になったポイント

テクニカル分析に基づく投資家は、「バイ・アンド・ホールド」といった手法はとらない。数カ月 とか、数年間にわたってその株式を保有したほうが有利であると思われるときもあるが、 評価損益 を無視してもその株式をいったん売却したほうがよいときもある。成功するテクニカルアナリスト は目の前の状況から判断して、そうした状況がそれ以上続かないと判断すれば、感情に押し流され てそこに踏みとどまるようなことはけっして ない。テクニカルな手法をべ ースとする経験に富ん だ投資家は、短い中期トレンドから利益を得るが、その純利益はたとえ手数料といった取引コスト や税金などを考慮しても、長期トレンドに基づく売買による純利益よりも大きいのである。ロバー (Amazon Kindle位置情報No.213/4123)

「マーケットのテクニカル百科 実践編」は「マーケットのテクニカル百科 入門編」の続き(1冊の本の後半部分)にあたります。その内容は実践編と呼ぶにふさわしい内容で、長期投資家のための戦略と戦術、各チャートパターンの値幅の測定方法やトレード戦術、リスクマネジメントなどがまとめられています。

上の記述は長期投資家のトレード戦術についての一節です。ファンダメンタル分析を中心に取引を行うか否かにかかわらず、単純な「バイ・アンド・ホールド(買ったままひたすら長期保有に徹する投資手法)」ではテクニカル分析を駆使する取引手法に勝てないと著者は主張しています。

「長期投資家の戦術的な問題点」Amazon-Kindle位置情報No264-4123

「長期投資家の戦術的な問題点」Amazon Kindle位置情報No.264/4123

実際、上のチャートのようにどのタイミングで「バイ・アンド・ホールド」しても利益を獲得できない銘柄は沢山あります。いくら長期投資だとしても、テクニカル分析に目を向けずに盲目的に投資するのは得策とは言えません。たとえ頻度は少なくてもチャートパターンをしっかりと確認し、チャートが発するシグナルに沿った売買は行うようにすべきです。

ストップオーダーの位置を決めるひとつの有効なルールは、株価が予想される底値圏の最安値を付けた日から3日間にわたり、そのレンジよりも高い水準で推移すればその安値が底値と考えられる。このルールに従えば、もしも株価が数日にわたり下げ続けたあとに、その日の高値 25ドル を 付けたが結局は24ドルの安値で引けたときは、その後に25 1/8ドル以上の日が3日間続かないと底 が形成されたことにはならない。つまり、この丸3日間は最安値を付けた日の高値よりも上で株価 が推移しなければならない。これが「 3日間のルール」であり、天井圏ではこれを逆に適用すれば よい。 (Amazon Kindle位置情報No.1194-1195/4123)

この記述はストップオーダー(損失が一定の損切幅を超えないようするための反対注文のこと)の置き方に関する文章です。チャートの底や天井を見分けることは簡単ではありませんが、この3日間ルールを適用する形でストップオーダーを出したり、出来高やチャートパターンを確認することで、損失を少なく抑えることができます。

「実際のストップオーダーの利用例」Amazon-Kindle位置情報1195-4123

「実際のストップオーダーの利用例」Amazon-Kindle位置情報1195/4123

なお、ストップオーダーはその後の株価の動きに合わせて位置を調整していきます。上の画像の例では、株価の上昇に伴ってストップオーダーを徐々に引き上げていることが分かります。経済情勢次第でストップオーダーによらずにポジションを清算したり、一部を利益確定することもあるので、ストップオーダーは必ずしも必要なものではありません。

ただ、災害や不慮の事態で手痛い目に遇わないですむように、なるべく戦術的にストップオーダーを利用したほうがよいでしょう。

A.取引は常にそのときのダウ平均のメジャートレンドや長期トレンドの方向に沿って行う(略)。 B.ダウ理論を構成する2つ主要な平均株価(工業株と鉄道株)のトレンドが一致しないときは、 この2つの平均株価のトレンドが一致した直近のメジャートレンドの方向に沿って取引する。投資 銘柄はこの2つの平均株価のグループのうち、直近のメジャートレンドと同じ方向に進んでいるグループから選ぶ。C.似たような業種の株式チャートを付けているときは、その株式グループのトレンドがダウ平均のトレンドと一致したときに、そのメジャートレンドの方向に沿って取引する。 D.ある株式のトレンドがダウ平均のメジャートレンドと同じ方向を向いていたり、または株価が 同じ方向に進むことを示すテクニカルシグナルが確認できたら、その株式を取引してもよい。(Amazon Kindle位置情報No.1375~1386/4123)

これはメジャートレンドにおける売買ルールの解説です。一般的には取引する個別銘柄のチャートの値動きがすべてですが、日経平均やTOPIXのような指数のトレンドに合わせて取引を行うことで、格段にパフォーマンスを改善することができます。

具体的には、指数のメジャートレンドの状況を踏まえてポジションサイズを決めることで、投資リスクを減らすことができます。「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、全体的な市況の把握は欠かせません。

「マーケットのテクニカル百科 実践編」のおすすめポイント

「マーケットのテクニカル百科 実践編」はアメリカの多くの大学で教科書として使用されている「テクニカル・アナリシス・オブ・ストック・トレンド(Tecchnical Analysis of Stock Trends)」という本を日本語に翻訳したものの後編になります。

「株の本を100冊読んでみた マーケットのテクニカル百科シリーズ」

「マーケットのテクニカル百科入門編と実践編の旧版(左)と新版(右)」

注意
マーケットのテクニカル百科は入門編と実践編の2冊に分けて出版されています。それぞれに新装版と旧版の2冊ありますが、新・旧版で中身はほとんど変わりません。また、実践編は入門編と一部重複している内容がありますが、エントリーポイントや売買時の注意点といった投資戦術的な観点からまとめられています。入門編と実践編ともに良い本なので、ぜひ2冊ともご一読ください!

「マーケットのテクニカル百科 実践編」は、投資手法ごとの戦略からエントリータイミングやストップロスの置き方などの細かな取引戦術に至るまで、文字通り実践的な内容がまとめられています。チャートの読み方はなんとなくわかるけど、具体的にどう取引すれば良いか分からないという人(初級者~中級者の方)にはおすすめの本です。

この本の初版は1943年に出版されているので、チャートが古くて読みにくかったり、時代にそぐわない箇所も多々あります。しかし、その内容が株式投資の本質を捉えているため、いまだに多くの人々に読み継がれています。古典的名著と呼べる本なので、ぜひご一読ください!

MEMO
リンク先の画像が旧版の画像になっていますが、内容はまったく変わりません。紙の書籍だと値段が高いので、ぜひ電子書籍の方をお買い求めください!

「マーケットのテクニカル百科 実践編」の著者

ロバート・D・エドワーズ

ロバート・D・エドワーズ(Robert D. Edwards)は原著「テクニカル・アナリシス・オブ・ストック・トレンド(Tecchnical Analysis of Stock Trends)」の共著者の一人です。

チャールズ・ダウが考案した理論(ダウ理論)をウィリアム・ピーター・ハミルトンやリチャード・W・シャバッカーから引き継ぎ、マサチューセッツ工科大学の同窓生であったジョンマギーとともに同理論を体系化、テクニカル分析の基礎を築き上げました。

ジョン・マギー

ジョン・マギー(John Magee)はこの本の原著「テクニカル・アナリシス・オブ・ストック・トレンド(Tecchnical Analysis of Stock Trends)」の共著者の一人です。

ロバート・D・エドワーズとの共同研究を通じてダウ理論の発展に寄与し、その科学的で実践的なアプローチから「テクニカル分析の父」と呼ばれています。

W・H・C・バセッティ

W・H・C・バセッティ(W.H.C. Bassetti)は、原著「テクニカル・アナリシス・オブ・ストック・トレンド(Tecchnical Analysis of Stock Trends)」の第8版の編集者であり共著者です。1960年代にジョン・マギー氏の下でトレーディング技術を学び、株式、債券、オプション、先物などの幅広い金融商品を対象に、トレーダーとしてのキャリアをスタートさせました。

その後、1972年にはカリフォルニア州で初めて認可された商品取引アドバイザーの代表兼副社長として、コンピューターによる取引システムを他社に先駆けて開発。1984年にはブレア・ハルが設立したオプション・リサーチ社のCEOに就任し、オプション取引や先物取引の分析にコンピュータを活用するなど、時代を先取りした投資手法を確立しました。

ハーバード大学卒業後は、NASAのシステムエンジニアを経て、現在はサンフランシスコのゴールデンゲート大学で金融・経済学の特別非常勤教授を務めています。

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