日経平均は教科書通りの戻り売り局面に~オニールの空売り練習帖を読むと分かること~

オニールの空売り練習帖

この記事のポイント
  • 日経平均は予想通り2万5000円を割ったところで急反発。しかし、ロシアとウクライナ間の和平交渉は停滞しているし、拙速な利上げは景気後退を招く恐れもある。相場環境が好転したわけではない。
  • 現在の日経平均は「オニールの空売り練習帖」に書いてある通りの戻り売り局面。絶好の買い場ではなく、格好の売り場なので注意が必要。

日経平均は予想通りのポイントで反発も…

日経平均は予想通りのポイントで反発

「2022年3月28日時点の日経平均5年週足チャート」マネックス証券より

「2022年3月28日時点の日経平均5年週足チャート」マネックス証券より

 

前回の記事で指摘したように、日経平均は2万5千円を割ったところで反発しました。その要因として、①ロシアとウクライナの間で和平交渉が行われていること、②米ドルの利上げが発表されてインフレの終息期待が高まったことや、事前報道に反して日銀が利上げを見送ったことが指摘できます。

しかし、これらの要因は次のような理由から長期的な株価の上昇につながらないと考えています。

仮に和平交渉が進んでも経済制裁は解除されない

「2022年3月27日時点のウクライナの情勢」Institute for the Study of Warより

「2022年3月27日時点のウクライナ情勢」Institute for the Study of Warより

これまでに2国間の和平交渉が何度も行われていますが、ロシアは一向に侵略を止める気配がありません。上の画像をみればわかるように、一部地域でウクライナ軍が善戦しているものの、侵攻を覆すほどの勢いはありません。

「ウクライナの軍事力」ロイターより

「ウクライナの軍事力」ロイターより

確かに、西側諸国によるウクライナへの武器供与やロシアへの経済制裁は一定の効果がありました。しかし、そもそもの軍事力に差があり過ぎるので、どれほど西側諸国がウクライナを支援してもこの戦局は変わりません。交渉の主導権がロシア側にある以上、和平交渉の進展は期待できないでしょう。

トラス英外相は、ロシアの個人と企業に科している制裁について、ロシアがウクライナから部隊を撤退させて侵攻の終結を約束すれば、解除が可能になるとの認識を示した。ロイター 「対ロシア制裁、完全な停戦・部隊撤退で解除─英外相=報道」

また、仮にロシアとウクライナ間の和平交渉が進展しても経済制裁は続きます。イギリスのトラス外相は経済制裁を解除する条件を「完全な停戦と部隊の撤退」としていますが、ロシアが2014年からクリミア半島を実効支配していることを考えれば、停戦はあっても完全撤退の実現はありえません。

したがって、どれだけ和平交渉が進んだとしても経済制裁が解除されることはありません。原油や小麦などの一部の貿易は継続するかもしれませんが、金融取引や最先端技術を使った製品の輸出入は今後も禁止されると思われます。

ロシアのGDP(2020年:1,478,570百万ドル)は世界のGDPの1.7%に過ぎませんが、経済は密接に絡み合っています。今回の経済制裁が世界経済に与える負の影響は計り知れません。

急激な利上げによる景気後退の恐れ

「WTI原油価格の推移」世界経済のネタ帳より

「WTI原油価格の推移」世界経済のネタ帳より

新型コロナウイルス蔓延に対する景気刺激策として、世界各国は盛んにお金をばらまいてきました。その反動で原油価格や石炭価格はもちろん、鉄鋼価格や小麦価格などあらゆるコモディティ(商品)の値段が高騰しています。

そこで、FRB(アメリカの連邦準備理事会)は2022年3月15、16日の会合で政策金利を0.25ポイント引き上げることを決定。年内残り6回の会合全てで利上げを実施することを示唆しました。今のところ市場はこれを好感しているようですが、急激な利上げは景気後退を招きます。

「米FF金利の誘導目標と景気後退期」第一生命経済研究所経済分析レポートより

「米FF金利の誘導目標と景気後退期」第一生命経済研究所経済分析レポートより

実際、上の画像をみれば分かるように、急激な利上げ後の多くの場面で景気後退が起きていることが分かります。FRBが本当に年内すべてで利上げを実施するのかは分かりませんが、景気を損なう可能性があることも留意すべきでしょう。

日経平均は教科書通りの戻り売り局面に~オニールの空売り練習帖を読むと分かること~

オニールの空売り練習帖では適切な空売りタイミングを次のように説明

閑話休題。オニールの練習帖という本を読むと適切な空売りタイミングを次のように説明しています。

大事なことは天井で空売りをするということではなく、正しいタイミングで空売りをするということである。最初の異常で、大きな株価急落のあと、通常は2回か3回の反発がある。通常これが空売りの最高のポイントであり、またこれは株価指数のタイミング に対する判断と一致していなけれ ばならない。 多くの場合、株価は天井を付けたあと、50日移動平均線を下方に急激にブレイクする。これが起こると、多くの場合、株価は2回から4回、50日移動平均線を上抜くような反発を試す。 (Amazon Kindle位置No.438)

これを読んだ後に日経平均の6ヶ月日足チャートをみると、株価が教科書通りの動きで下落したことが分かります。

「2022年3月28日時点の日経平均6ヵ月日足チャート」マネックス証券より

「2022年3月28日時点の日経平均6ヵ月日足チャート」マネックス証券より

日経平均はオレンジ色の移動平均線(マネックス証券のシステムの都合上52日移動平均線)を大きく割った後、2回の大きな反発を試して下落したことがわかります。まさに教科書通りの動きと言えるでしょう。

日経平均のチャートを見ると教科書通りの戻り売り局面

今後の株価の動きについて、オニールの空売り練習帖では以下のように解説しています。

「フォロースルー失敗の日足チャート」オニールの空売り練習帖(Amazon Kindle 位置No.258-260)

「フォロースルー失敗の日足チャート」オニールの空売り練習帖(Amazon Kindle 位置No.258-260)

フォロースルーの失敗を理解するポイントは、多くの場合、それが空売りに適したクズ株が上値抵抗線にまで反発し、空売りの最適な機会を提供するタイミングと同時に起こるということである。 (Amazon Kindle 位置No.258-260)

MEMO
フォロースルーとは、株価が反転したのかどうかを確かめるシグナルのことです。株価が本格的に上昇するためには、移動平均線を大きな出来高を伴って力強く突き抜ける「フォロースルー」を達成する必要があります。

このオニールの空売り練習帖の文章を読んだ後に日経平均のチャートを見ると、現在のチャートが典型的な戻り売り局面であることが分かります。

「2022年3月28日時点の日経平均の5年週足チャートと6ヵ月日足チャート」

「2022年3月28日時点の日経平均の5年週足チャートと6ヵ月日足チャート」マネックス証券より

画像をみればわかるように、5年週足チャートでは52週移動平均線にぶつかり、6ヵ月日足チャートでは200日移動平均線に頭を押さえられていることが分かります。日経平均は前述のような様々な要因から短期的には上昇トレンドに入ったかに思えますが、長期的にはまだまだ一時的な反発を試しているにすぎません。

急反発をしているので、株価が再度下落するまでの調整期間は長くなるかもしれません。しかし、ほぼ間違いなく株価は戻りを試します。絶好の買いの局面というより、むしろ格好の空売り局面と言えるので注意が必要です。

最後に今回取り上げた「オニールの空売り練習帖」のリンクを貼っておきます。紙の書籍だとメルカリなどで高値で転売されていたりするので、値段の安い電子書籍のリンクにしています。株式投資の関連書籍の中では珍しく「売り」に特化して説明しているのでかなり勉強になります。読みやすい本なのでぜひご一読ください!

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