テクニカル分析の理解度を確認できる本「マーケットのテクニカル分析 練習帳」

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テクニカル分析の理解度を確認できる本「マーケットのテクニカル分析 練習帳」

この記事のポイント
  • 「マーケットのテクニカル分析練習帳」のおすすめポイントは、問題数の豊富さにあります。テクニカル分析に関して様々な角度から出題されているので、習熟度を確認するのに便利な1冊となっています。
  • ただし、説明が不十分だったり、解説も(〇ページ△参照)という形で出題元の「マーケットのテクニカル分析 ―トレード手法と売買指標の完全総合ガイド」に依存している部分が数多く見受けられます。
  • この本を購入する場合は必ず「マーケットのテクニカル分析 ―トレード手法と売買指標の完全総合ガイド」という本とセットで買いましょう。

「マーケットのテクニカル分析 練習帳」のハイライト

19.トレンド転換のシグナルのうち最も重要性が低いのは次のうちどれか。 a.トレンドラインを3%以上突破する b.連続して2日間突破している c.終値がトレンドラインを超える d.日中取引での突破 No.289 (Amazon Kindle位置情報)

この問題はトレンド転換のシグナルに関する問題です。新しいトレンドが生じる(ブレイクアウトする)際にはいくつかの明確なルールがあり、それらの基準を満たしていないといわゆる「だまし」に遭う確率が高くなります。

この問題の答えは、「d」です。トレンドが転換するときは多くの出来高を伴って、力強く株価が変化します。したがって、ブレイクアウトが本物であるならば、a.株価も3%以上変化し、b.連続して2日間、c.終値ベースでトレンドラインを超える必要があります。

d.のように日中の取引値がトレンドラインを突破しても、最後に売り圧力に負けて終値をつける可能性があります。トレンド転換は力強い値動きを伴うはずなので、終値でトレンドラインをブレイクしたかを必ず確認しましょう。

なお、本書の解説欄には「d 107ページ参照。日中取引中に起こった短期的な突破は反転とは言えない。」としか記載されていません。解説が不十分で物足りなく感じます。

6.2組の収束するトレンドラインが示しているのは次のうちどれか。a.トレンドの継続を示すペナント b.トレンドに逆行するペナント c.トレンドの継続を示すフラッグ d.トレンドに逆行するフラッグ No.711 (Amazon Kindle位置情報)

「第6問の図」(No.711)amazonkindle位置情報

「レッスン6 第6問の図」(No.711)amazonkindle位置情報(クリックで拡大)

この問題はチャートパターンに関する問題です。チャートに描かれていトレンドラインは、どちらもトレンドの継続中に発生しています。また、2本のラインが収束する形になっているので、答えは「a.トレンドの継続を示すペナント」となります。

フラッグの場合は2本の平行したトレンドラインが必要になります。

9.売買シグナルが出るのはいつか?(答えは2つ)。 a.10月と11月 b.11月と2月 c.2月と3月 d.上のどれでもない No.986 (Amazon Kindle位置情報)

「第9問の図」No.979-(Amazon-Kindle位置情報)

「レッスン8 第9問の図」No.979-(Amazon-Kindle位置情報)(クリックで拡大)

「マーケットのテクニカル分析 練習帳」の出題元となっている「マーケットのテクニカル分析 ―トレード手法と売買指標の完全総合ガイド」では、チャートパターンの解説だけでなく、MACDなどのテクニカル指標についてもしっかりと解説しています。

そのため、当然ですが「マーケットのテクニカル分析練習帳」でもテクニカル指標から複数章にわたって設問されています。

「第9問のチャート(赤丸がヒストグラムのシグナル、青丸がライン交差によるシグナル)」No.979-(Amazon-Kindle位置情報)

「第9問のチャート(赤丸がヒストグラムのシグナル、青丸がライン交差によるシグナル)」No.979(Amazon-Kindle位置情報)(クリックで拡大)

MACDはヒストグラム(バーグラフ)が0ラインを超えることで生じるシグナル(画像の赤丸)と、MACD線とシグナル線が交差することで生じるシグナル(青丸)の2つのシグナルの捉え方があります。

どちらもトレンドの転換点を意味しており、この問題の場合はほぼ同じタイミングでトレンドの転換を示しています。したがって今回は赤丸と青丸のどちらに着目しても間違いではありません。答えは「a.b」の2つになります。

注意
MACDとシグナル線のクロスよりも、ヒストグラムの増減の方がより早く反応が現れます。MACDによってトレンドの転換を判断する場合は、ヒストグラムの動きも含めて総合的に分析しましょう。

「マーケットのテクニカル分析練習帳」のおすすめポイント

「マーケットのテクニカル分析練習帳」のおすすめポイントは、問題数の豊富さです。

出題元となっている「マーケットのテクニカル分析 ―トレード手法と売買指標の完全総合ガイド」は、チャートパターンに関する説明だけでなく、移動平均線やMACDといったテクニカル指標の解説も充実しています。

そのため、「マーケットのテクニカル分析練習帳」でもテクニカル指標から複数章にわたって出題されています。このように、この本はテクニカル分析について様々な角度から設問されているので、自分自身の習熟度を知るには最高の1冊となっています。是非ご一読ください。

 
なお、「マーケットのテクニカル分析 ―トレード手法と売買指標の完全総合ガイド」のリンクはこちらになります。練習帳だけでは理解できない部分が多いので、こちらも併せて購入下さい!
 

「マーケットのテクニカル分析練習帳」をおすすめしない理由

「マーケットテクニカル分析の練習帳」の欠点は、「マーケットのテクニカル分析 ―トレード手法と売買指標の完全総合ガイド」を購入しないと全く理解できない点にあります。

「マーケットテクニカル分析の練習帳」ではただ延々と問題だけが出題され続け、理論的な背景や設問の意図が書かれていません。解説に関しても解答と簡単な説明が提示されるだけで、詳細に関しては完全総合ガイドの「(〇ページの図△参照)」という形で丸投げされています。

したがって、完全総合ガイドを購入してある程度内容を理解しない限り、習熟度は上がらないでしょう。この本1冊で完結しないので、おすすめ度を☆2つに設定しました。

「マーケットのテクニカル分析 練習帳」の著者

「マーケットテクニカル分析の練習帳」の著者はジョン・J・マーフィーです。メリルリンチのテクニカル分析部門の元責任者で、30年以上テクニカル分析に携わってきました。現在は、投資家向け分析サービスを提供するマーフィーモリスという会社を創業し、CEOを務めています。

また、自身の会社を経営する傍らで米CNBCテレビのテクニカルアナリストを7年間務めたり、「市場間分析入門」、「ビジュアル・インベスター」といった著書を出版するなど、幅広い分野で活躍しています。

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