長期投資の銘柄探しに役立つ本「麗しのバフェット銘柄―下降相場を利用する選別的逆張り投資法の極意」

麗しのバフェット銘柄

長期投資の銘柄探しに役立つ本「麗しのバフェット銘柄―下降相場を利用する選別的逆張り投資法の極意」

この記事のポイント
  • ウォーレン・バフェットは全米有数の投資家で、パートナーシップとして集めた資金十万五千ドルを、三百億ドル以上に増やすことに成功しています。この本はバフェットの投資法を解説する本になります。
  • 競争相手のいない独占的なブランド価値を有し、代替製品がない。インフレに伴う値上げが容易で、利益率が高い。こうした要素を満たす持続的な競争力を持つ会社の株を、できるかぎり安い価格で買い、株価が回復するまで保有し続けることがバフェット流の投資術の極意です。
  • この「麗しのバフェット銘柄」をおすすめしにくいポイントは、ウォーレン・バフェット本人が執筆した本ではないという点です。バフェット流の投資方法を解説していますが、バフェットの過去の投資銘柄を分析し、その特徴から投資ルールを導き出したにすぎません。内容は充実していますが、バフェットの思想や投資哲学を伝える本ではありません。

「麗しのバフェット銘柄」のハイライト

彼のその素晴らしい投資手法のおかげで、それ以降の三十年間にバークシャーの資産は年平均二十三%のペースで増え続け、一株当たり純資産は十九ドルから四万ドルに急増した。また、バークシャーの株価も当初の十三ドルから約七万ドルへと、年平均二十九%のペースで上昇していった。その結果、バークシャー・ハサウェイに対するバフェットの持ち分も当初の約七百万ドルから三百億ドル以上に膨れ上がった。 No.142

この本はウォーレン・バフェットの投資手法を解説した本になります。ウォーレン・バフェットはアメリカでも有数の投資家で、ネブラスカ州オマハに生活の拠点を置いていることからオマハの賢人と呼ばれています。

バフェットは、節税対策のためにバークシャー・ハサウェイという会社を通して、数多くの企業に事業投資を行いました。その卓越した投資手法で、パートナーシップとして集めた資金十万五千ドルを、三百億ドル以上に増やすことに成功しています。

それは彼が(少なくとも一般的な投資用語の意味における)「相場を張る」ということをしていないことである。バフェットは株価のトレンドには興味がないし、そのときどきに主流となった投資手法にも関心はない。株価のチャートも描かないし、ウォール街で流行している(上昇株は買い、下降株は売りという)モメンタム投資法を取り入れたこともない。この点が従来の相場師と大きく異なるところである。 No.216

バフェットは、インターネット関連株バブルやバイオ株バブルに踊らされることはなく、その時々の投資テーマや人気株など一顧だにしませんでした。多くの投資機会を見送ってきたにもかかわらず、バフェットは資産を大きく増やし、大富豪になっています。

株式市場はときに優良企業に関する悪材料に過剰反応し、長期的な経済価値から見てかなり割安な水準までその株式を売りたたく(中略)。こうした状況が来るとバフェットはやおら株式市場に出て行って、そうした株式をできるだけ多く買い集める。その企業の長期的な経済価値がやがては売られすぎの状況を修正し、大きな利益をもたらすことを知っているからである。 No.255

バフェットが大きく資産を増やすことができたのは、「自ら相場を張る代わりに、相場を張る投資家や投資信託などを上手く利用した」ことにあります。多くの投資家は短期的な利益を追求し、悪材料で売り、好材料で買うといった、近視眼的な投資手法に頼っています。その結果、企業の長期的な経済価値が無視されてしまいます。

バフェットはその中から過小評価された株を買い占め、適正な評価額に回復するまでじっと保有し続けることで、大きなリターンを得てきました

しかし、バフェットによれば、ブランド商品や地域的な独占力といった競争力だけでは不十分であり、その競争力には持続性が伴わなければならない。すなわち、「そうした競争力を維持するために多額の設備投資を必要としない」で、将来的にもその競争力を維持できることである。これがバフェットの言う持続的な競争力を持つ企業の特徴である。 No.584

「持続的な競争力」という定義を満たすにはいくつかの条件が必要になります。まず、競争相手のいない独占的なブランド価値を有すること。次に、代替製品がなく、その商品やサービスが欲しいときはその企業から購入しなければならないこと。最後に、インフレに伴う値上げが容易で、利益率が高いこと。

これらの条件を満たす企業は、長期的な成長が期待でき、一時的に株価が売り叩かれても高い確率で回復が見込めるます。バフェットは、いわゆる価格競争型の企業と持続的な競争力を見分けることで、大きな利益を手にしました。

基準一 ROE(株主資本利益率)は高く安定しているか No.1192

バフェットは、ROEが12%を超えている企業を「持続的な競争力を持つ企業」、ROEが12%を下回る企業を「価格競争型の企業」と位置づけ、ROEが12%を超える持続的な競争力を持つ企業を投資対象としました

もちろん、バフェットは機械的にROEの数値を基準に投資対象を選んだわけではなく、利益トレンドは上昇基調にあるか、多くの長期債務を抱えていないか、持続的な競争力を持つ製品やサービスを持っているか、といった複合的な観点から投資を行っています。

「麗しのバフェット銘柄」のおすすめポイント

麗しのバフェット銘柄のおすすめポイントは、バフェットの投資手法をわかりやすく解説している点にあります。現在のところ、ウォーレン・バフェット自らが書き上げた本はありません。バフェットに関する本は、ほぼすべてメアリー・バフェットとデビット・クラークが共同執筆しているものになります。

その中でもこの本は、バフェットの投資手法、投資対象となる銘柄の選定方法、保有銘柄の売却基準、企業価値の算定方法と順序だてて説明されており、バフェットの投資手法を再現できる本になっています。

例えば、バフェットがROEが12%を超える銘柄を持続的な競争力を持つ企業とし、投資銘柄を選定する基準の一つとしていることが示されています。他にも、利益トレンドは上昇基調にあるか、多くの長期債務を抱えていないか、持続的な競争力を持つ製品やサービスを持っているか、といったバフェットが好む銘柄の選定基準が示されています。

したがって、この本を熟読することで、バフェットの投資手法を十分に学ぶことができると思います。興味がある方はぜひご一読ください。

「麗しのバフェット銘柄」をおすすめしにくいポイント

麗しのバフェット銘柄をおすすめしにくいポイントは、ウォーレン・バフェット本人が執筆した本ではないという点です。この本の著者であるメアリー・バフェットはウォーレン・バフェット氏の息子であるピーター・バフェットの元妻で、バフェットとの関係は希薄です。また、共同執筆者のデビット・クラーク(David Clark)も、ネブラスカ州オマハにある投資会社のポートフォリオアナリストにすぎず、バフェット本人との接点はありません。

バフェット流の投資方法を解説していますが、バフェットの過去の投資銘柄を分析し、その特徴から投資ルールを導き出したにすぎません。それなりに充実した内容ではあるものの、バフェットの思想的背景や投資哲学を明らかにするものではありません。こうしたところが、本書の欠点だと思います。

「麗しのバフェット銘柄」の著者

メアリー・バフェット(Mary Buffett)はウォーレン・バフェット氏の息子であるピーター・バフェットの元妻で、現在は企業広報の編集会社であるスペリア・アセンブリーのCEOをしています。

デビット・クラーク(David Clark)は、ネブラスカ州オマハにある投資会社のポートフォリオアナリストで、ネブラスカ大学で金融、カリフォルニア大学ヘイスティング・ロースクールで法律の学位を取得しています。

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