【速報】恒大集団ついに倒産か?

恒大集団ついに倒産か?

【速報】恒大集団ついに倒産か?

この記事のポイント
  • 2021年9月21日のロイターの報道によると、恒大集団の創業者の許家印氏は従業員に対する書簡の中で、倒産回避に向けた自信をのぞかせたようです。
  • 恒大集団は9月20日の倒産を回避できたようです。しかし、今後1年以内に借入金の42%に相当する2400億元(約4兆800億円)の返済が求められており、手許現金がわずか867億元(約1兆4739億円)しかない同社にとっては倒産が避けられない状態です。
  • 企業規模が大きいだけに、資産の売却による債務整理には困難が伴います。また、不動産を値引き販売する形で理財商品の返済を行っていますが、営業利益率を超える値引き幅を提示しているのでその場しのぎに過ぎません。
  • 市場は落ち着きを取り戻しつつありますが、嵐は過ぎ去っていません。
  • 【追記】恒大集団が9月20日の利払いを実施しなかったようです。ほぼ倒産が確定した形です。今後、9月23日のドル建て債の利払いができなければ、国際的にも恒大集団の債務不履行(倒産)が周知されることになります。

倒産回避に自信を見せた恒大集団CEO

資金繰り難に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団の許家印主席は21日、従業員宛ての書簡で、自社が「最も暗い時」から抜け出し、計画通り不動産プロジェクトを遂行することに自信を持っていると説明した。ロイター 「中国恒大主席「最も暗い時脱出へ」、従業員向け書簡で自信」 2021年9月21日

2021年9月21日のロイターの報道によると、恒大集団の創業者でCEOの許家印氏は従業員に対する書簡の中で、倒産回避に向けた自信をのぞかせているようです。

そこで、今回は恒大集団が本当に立ち直れるのか分析してみたいと思います。

1年以内に2400億元(約4兆800億円)の返済が求められている

「恒大集団の返済期日別の負債額」

「恒大集団の返済期日別の負債額」2021年12月期中間決算より(クリックで拡大)

恒大集団は2021年6月末時点で1兆9665億元(1元=17円換算で約33兆4305億円)の負債を抱え、そのうち借入金は5717億元(約9兆7201億円)分占めています。

今後1年以内に借入金の42%に相当する2400億元(約4兆800億円)の返済が求められており、手許現金がわずか867億元(約1兆4739億円)しかない同社にとっては倒産が避けられない状態です。

膨大な債務を負っている以上、破綻を回避するには政府による救済しかありませんが、これまでのところ具体的な案は何も公表されていません。許家印氏は会社の将来に自信を持っているとの報道でしたが、カラ元気にすぎない印象です。

なお、直近で9月23日に8400万ドルの利払い(2022年3月償還のドル建て債)が、9月29日に4750万ドルの利払い(24年3月償還のドル建て債)が迫っています。両者を併せても1億3150万ドルの支払いに過ぎませんが、9月20日の利払いを行っていないことから、遅延する可能性が高そうです。

資産売却は行っているものの…

恒大集団の資産売却は継続するも…

「恒大集団債務圧縮のための取り組み」

「恒大集団債務圧縮のための取り組み」2021年12月期中間決算より(クリックで拡大)

恒大集団は財務内容を健全にするため、資産の売却を推し進めています

例えば、サプライヤーや請負業者への未払い問題を解決するため、総額251億元(約4267億円)分の不動産の使用権を売却し、仕入債務と相殺しています。また、恒大集団が筆頭株主になっている盛京銀行の持分1.9%を売却することで、10億元(約170億円)の現金を確保しています。

資産の売却を加速させて負債を圧縮しているものの、電気自動車の製造販売を行う中国恒大新能源汽車集団などの子会社株は、売り出しによる需給の悪化を嫌気して既に株価が大きく下落しています。企業規模が大きいだけに、資産の売却による債務整理には困難が伴います

理財商品の返済も開始するが…

「恒大集団の損益計算書」

「恒大集団の損益計算書」2021年12月期中間決算より

恒大集団は400億元(約6800億円)に及ぶとされる理財商品に関しても返済を始めています。報道によれば、満期を過ぎた理財商品に対して、現金を支払う代わりに不動産を大幅に値引販売(住宅28%、オフィス46%、駐車スペース52%のディスカウント)する形で返済手続きを行っているようです。

一見すると、現金を支払うことなく不動産を処理できるので、かなりの良策に思えるかもしれません。しかし、もちろんこれも焼け石に水です。

決算書類を確認すると、同社の営業利益率は21年12月期の上期で12.9%、20年12月期の上期でも25%しかありません。住宅価格を28%オフで販売すれば、営業利益は当然赤字になってしまいます。加えて、恒大集団の借入金利は平均で9%に達することから、利払いもままならないでしょう。

資産売却や理財商品の返済は中身が伴っておらず、場当たり的に現金をかき集めようとしているだけです。ゾンビ企業の断末魔だと言えます。

【速報】9月20日の利払いは行われなかった模様

前回の記事「【9月20日速報】恒大集団倒産確実か?ハンセン指数大暴落!」内で、「ブルームバーグの報道通りに利払いできなければ、9月20日中にも倒産することになりそうです」と書きましたが、21日のブルームバーグのニュースによると、最終的に9月20日中に利払いが行われなかったようです

今のところ、「銀行が正式に中国恒大のデフォルト(債務不履行)を宣言するかどうかは不明。一部の銀行は次の行動を決める前に中国恒大がローンの期限延長を提案するのを待っていると、関係者2人が述べた。」とされており、倒産がほぼ確定した形です。

今後、恒大集団がどのように処理されるかは分かりませんが、9月23日のドル建て債の利払いができなければ同社の債務不履行が国際的にも周知されることになるため、間違いなくデフォルト扱いになると思います。

MEMO
9月23日にドル建て債の利払いが予定されていますが、支払いができなくても1か月間は猶予されるという特約条項(コベナンツ)がついているようです。よって、正確には10月23日に正式に債務不履行(倒産)が確定します。

10月4日:追記

中国不動産大手、中国恒大集団の株式売買が4日、不動産管理部門の恒大物業と共に上場先の香港市場で停止された。恒大は流動性危機の深刻化への対応を進めている。ブルームバーグ「中国恒大と不動産管理部門、香港市場で取引停止-理由は不明」2021年10月4日

ブルームバーグの報道によると、恒大集団とその子会社の株式が売買停止となったようです。中国では株価の暴落によって大きな影響が出そう*な場合に、売買を停止することで市場へ与えるショックを和らげようとします。

*株価の下落が指数の暴落や社会不安につながるような場合や、買収に関するうわさが流れて株価が高騰しそうな時も売買が停止されることがあります。

恒大集団は9月20日の利払いをはじめ、9月23日、9月29日のドル建て債の利払いを一切行っていません。一方で、保有する盛京銀行株を売却し、一部建設プロジェクトの再開と理財商品の利払いを行っていることから、法人相手の債務は無視して個人相手の債務をできる限り返済していく方針のようです。

今後は、はやければ10月末に債権者が中国国内の裁判所に恒大集団の破産を申し立てを行い、1~2年の間でスポンサーをつけての再編か、倒産させて債務整理を行うかの選択となるでしょう。

いずれにしても恒大集団の倒産は避けられません。

参考ニュース

配信社 タイトル 報道日
ブルームバーグ 「中国恒大は今月20日期限の利払いせず-中国政府が銀行に伝える」 2021年9月15日
ブルームバーグ 「中国恒大、不動産の値引きによる返済手続き開始-満期過ぎた理財商品」 2021年9月19日
ロイター 「中国恒大集団、理財商品の投資家に不動産での返済開始」 2021年9月20日
ロイター 「中国恒大主席「最も暗い時脱出へ」、従業員向け書簡で自信」 2021年9月21日
ブルームバーグ 「中国恒大、20日期限のローン利払い行わず-社債クーポン期日も迫る」 2021年9月21日
ブルームバーグ 「中国恒大と不動産管理部門、香港市場で取引停止-理由は不明」 2021年10月4日

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