出来高を用いてチャートがシンプルに読めるようになる本「出来高・価格分析の完全ガイド」

出来高・価格分析の完全ガイド

出来高を用いてチャートがシンプルに読めるようになる本「出来高・価格分析の完全ガイド」

この記事のポイント
  • 出来高・価格分析の完全ガイドはテクニカル分析が中心の本です。これまであまり重視されてこなかった「出来高」の価値を再評価することで、単なるチャートパターンやローソク足の解説本に比べ、チャートがもたらす意味をシンプルに解釈できるようになります。
  • 同じ著者、同じ出版社から「出来高・価格分析の実践チャート入門」という本が出ています。実践チャート入門は、本書「出来高・価格分析の完全ガイド」の劣化版とすらいえないような本で、中身がスカスカです。また、なぜかチャート入門の方が価格も高くなっているので、購入される方は本書(出来高・価格分析の完全ガイド)の購入を検討ください。

この本のハイライト

市場が上昇トレンドにあり、先物価格が大商いを伴って上昇している場合、その値動きは出来高に裏付けられたもので、正しいことが分かる。そんなときは、大口投資家が市場に参入している。同様に、市場が下落し、出来高が増加している場合も、その動きは本物だ。 No.477

この本の特徴は、市場がマーケットメーカー、インサイダー、ビッグオペレーターといった大口投資家に操作されていると認めている点にあります。

大口投資家が市場を操作して価格に大きな影響力を及ぼしているため、一般投資家ができることは、彼らが買えば買い、彼らが売れば売り、彼らが市場に参加しない時は、同じように静観することしかできません。

そうした大口投資家の動向を知るためのツールが出来高である、と著者は述べています。大口投資家が買うと必然的に取引量は多くなり、出来高も大きくなります。したがって、出来高と株価を関連付けて分析を行うことで、大口投資家の動向を覗き見ることができます

市場はいきなり動きを止めて反転するわけではない。買い手や売り手を根こそぎ吸収するまでには時間がかかるのが普通だ。 No.795,801

例えば、下降トレンドが発生すると、そのトレンド方向に投資家が殺到し、より強いトレンドが生じます。相場が何度か反転しても、売りポジションを保有した投資家は変わらず同じポジションを保有し続けます。

しかし、価格が均衡して相場が停滞すると、不安になった投資家が少しづつポジションを清算し始め、価格は上昇をはじめます。やがて、新しく上昇トレンドに賭ける投資家が現れ、価格は急上昇。驚いた売り方は慌ててすべての売りポジションを解消し、買いに転じます。そして、すべての売りを吸収した後、相場は本格的な上昇トレンドに転換します。

このように、市場が反転するにはそれ以上同じトレンドが続かないという確信(出来高)とそれまでのトレンドの強さに比例したある程度の時間が必要になると本書は指摘しています。

したがって、日足のチャートではこの「吸収」の段階は何日も、何週間も、場合によっては何ヵ月も続くことがあり、その間市場は横ばいを続ける。反転シグナルが連続して発生することもあり、市場は反転することは明らかだが、いつ反転するのかは分からない。この保ち合いの期間が長いほど反転してからのトレンドは長く続く。 No.1149,1155

保ち合いが長くつつけば続くほど、相場が大きく動かないため、上昇、あるいは下降に賭ける投資家が増えていきます。したがって、保ち合いの相場が崩れて新しいトレンドが発生すると、溜まったポジションのどちらかが清算を迫られるため、相場はそのトレンド方向に長く大きく変動します。

出来高・価格分析の完全ガイドを検証してみる

 

トヨタ自動車1年週足チャート 出来高・価格・分析

マネックス証券より(画像はクリックで拡大)

この本の検証をしてみましょう。上の画像は21年4月26日時点のトヨタ自動車の1年週足チャートになります。チャートの下部は出来高と出来高の10日移動平均線を、右部分は価格帯別出来高を表しています。また、チャートの黄色い蛍光マーカー(横線)は価格帯別出来高が多い部分、チャートの水色蛍光マーカー(縦線)は1週間の出来高が4000万株以上の部分、にそれぞれ印をつけています。

この本に書かれているように、同一の価格水準で出来高が膨らんでいる場所(黄色い蛍光マーカー部分)が支持線・抵抗線になっていることが分かります(赤い短い蛍光マーカー部分)。また、1週間の出来高が4000万株以上の部分(水色部分)はチャートの大きな陽線部分で現れており、その後の株価も上昇していることから、直近1年間の価格上昇は出来高に裏付けられた本物のトレンドであることが分かります。

このように、実際のチャートを通して出来高・価格分析をしてみると、明らかに出来高が多い価格水準で相場が反転していることが分かります。この本を読み相場を分析することで、将来の株価を高い精度で予測することができます。

この本のおすすめポイント

出来高・価格分析の完全ガイドはテクニカル分析が中心の本です。これまであまり重視されてこなかった「出来高」の価値を再評価することで、単なるチャートパターンやローソク足の解説本に比べ、チャートがもたらす意味をシンプルに解釈できるようになります。

実際にトヨタ自動車の1年間の週足チャートを出来高・価格分析してみましたが、出来高の集中している部分は支持線や抵抗線として機能していることが分かります。出来高・価格分析はチャートの理解だけでなく、将来の株価を予測するのにも十分使えそうです。

本の構成も単に出来高の重要性を強調するだけでなく、株価の基本的な動きやローソク足の説明もある程度行われているので、初心者の方にも読みやすい本だと思います。

 

なお、同じ著者、同じ出版社から「出来高・価格分析の実践チャート入門」という本が出ています。この本は驚くほど中身が薄く、「出来高・価格分析の完全ガイド」の劣化版とすらいえないような本になっています。なぜかチャート入門の方が価格も高くなっているので、購入される方は本書(出来高・価格分析の完全ガイド)の購入を検討ください。

この本の著者

著者のアナ・クーリングは株式や先物など幅広い分野に投資する専業投資家です。トレードの傍ら執筆活動も行っており、出来高を重視した独自のトレード手法を書籍にまとめ、出版しています。

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