阪和興業(8078):今後の株価はどう動く?|注目銘柄分析

阪和興業 注目銘柄分析

阪和興業(8078):今後の株価はどう動く?|注目銘柄分析

この記事のポイント
  • 8月10日に阪和興業(8078)が22年3月期第1四半期の決算を発表しました。第1四半期の売上高は452,604百万円、当期純利益は9,492百万円(前期比+329.3%)という素晴らしい決算でした。
  • 好調な決算を受けて、阪和興業は通期業績予想を売上高1,980,000百万円(前回予想比+2.6%)、当期純利益26,200百万円(前回予想比+15.9%)へ大幅に上方修正しています。
  • 今回の通期業績予想の上方修正によってPERベースの理論株価は5,803円、PBRベースの理論株価は4,035円に増加しました。
  • 商品価格の高騰がいつまで続くか分からないので、ファンダメンタル・テクニカルともに当面の目安は3,800~4,000円になりそうです。ただ、世界的に財政拡大が続いている点や、中国の粗鋼生産能力の削減が進んでいる点を踏まえるとまだまだ現在の株価は割安だと思います。

22年3月期第1四半期の決算はどうだった?

第1四半期は予想通りの好決算

「阪和興業22年3月期第1四半期決算」-阪和興業決算短信より

「阪和興業22年3月期第1四半期決算」 阪和興業決算短信より(クリックで拡大) 

2021年8月10日に阪和興業(8078)が22年3月期第1四半期の決算を発表しました。第1四半期の売上高は452,604百万円(会計基準の変更により売上高の前期比は未記載)、経常利益は14,028百万円(前期比+337.9%)、当期純利益は9,492百万円(前期比+329.3%)という結果で、素晴らしい決算でした。

こうした好業績の背景として、阪和興業は経済回復による取扱数量の拡大と、鋼材等の商品価格の上昇を理由に挙げています。コロナワクチンの普及による経済回復は未だ道半ばであり、世界各国で財政支出の拡大を継続していることから、今後の業績にも期待が持てそうです。

通期業績予想の上方修正を発表

「阪和興業 22年3月期通期業績予想の上方修正」阪和興業通期業績予想の修正に関するお知らせより

「阪和興業 22年3月期通期業績予想の上方修正」阪和興業通期業績予想の修正に関するお知らせより

阪和興業は第1四半期の好決算を発表するだけでなく、通期業績予想の上方修正を併せて公表しています。「前回の記事」の予想通り、通期業績予想を売上高1,980,000百万円(前回予想比+2.6%)、経常利益38,000百万円(前回予想比+16.9%)、当期純利益26,200百万円(前回予想比+15.9%)へと大幅に上方修正しています。

ほぼ予想通りの上方修正ではありますが、通期業績予想に対する第1四半期の進捗率が売上高は22.8%に過ぎないのに対して、経常利益と純利益の進捗率はそれぞれ36.9%、36.2%に達しています。商品価格の上昇がいつまで続くか分かりませんが、この上方修正はまだ少し保守的な気がします。

今後の市況次第ではさらなる上積みが期待できるかもしれません。

阪和興業(8078)の理論株価は?

阪和興業 理論株価

「阪和興業 理論株価」

今回の通期業績予想の上方修正を受けて、一株当たり純利益額(EPS)が556.14円から644.73円に、22年3月末の一株当たり純資産額(BPS)の予想値が5,152.31円から5,240.90円へ増加しています。これらの数字と過去5年間の平均株価指標を基に理論株価を計算すると、PERベースの理論株価は5,803円、PBRベースの理論株価は4,035円になります。

まだ第1四半期が発表された段階にすぎないので、今後の市況次第では業績予想が未達に終わる可能性が十分あります。したがって、鉄鋼市況がさらに高騰しない限りPERベースの理論株価(5,803円)に達することはありません。PBRベースの理論株価4,035円が当面の目安になるでしょう。

8月10日の阪和興業の株価は、決算発表を受けて一時3,660円まで値を伸ばしたものの、利益確定売りに押されて3,500円で取引を終えました。上値を抑えられましたが、現在の株価は先の理論株価を踏まえるとまだまだ割安な状態です。

料出尽くしから一時的に値を下げるかもしれませんが、世界的に財政拡大が続いている点や、中国の粗鋼生産能力の削減が進んでいる点を踏まえると、年内には3,800~4,000円に達すると思います。

【PERベースの理論株価】

過去5年平均PER9.0倍×修正後のEPS644.73=5,803円

【PBRベースの理論株価】

過去5年間の平均PBR0.77倍×22年3月末の予想BPS5240.9=4,035円

阪和興業のテクニカル分析

阪和興業(8078)5年週足チャート

「阪和興業 5年週足チャート」マネックス証券より

阪和興業の5年週足チャートをみると、4,000円手前の価格帯で出来高が大きくなっていることから青い抵抗線を抜けることはなさそうです。ただし、今後も鉄鋼市況が高水準で安定し、さらなる上方修正が期待できればこの抵抗線を突破できるかもしれません。

今後の金融政策や鉄鋼市況に注意が必要です!

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