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【今が買い時?】業績回復が続く外食産業!入国規制緩和でインバウンド需要も復活か?
- 外出・行動規制の緩和を受けて、21年中頃から外食産業の業績回復が続いている。特に、22年に入ってからは客数も着実に回復。売上高も軒並み好調となっている。
- 入国規制も6月1日から段階的に緩和されており、インバウンド需要の復活も期待できる。コロナ禍前の訪日外国人旅行者の飲食関連の支出規模は約1兆円ほどあるので、外相産業にとっては大きな追い風に。
- 外食関連銘柄は日経平均に比べて割安な状態で放置されているので、今が買い時かもしれない。
2021年を底に業績回復が続く外食産業
売上高と店舗数は2021年を境に回復基調
外食産業の業績回復が続いています。上の画像(2022年4月度の外食産業市場動向調査)を見ると、21年中頃を境に売上高と店舗数が前年比を超えて成長していることが分かります。
2020年から21年にかけて新型コロナウイルスの感染拡大の影響で外出・行動自粛が求められていましたが、ワクチン接種が進んだことで制限が徐々に緩和されつつあります。特に、2022年に入ってからは感染力の高いオミクロン株が収束してまん延防止等重点措置が解除されたこともあり、外食産業の業績回復の勢いはより一層強まっています。
2022年に入ってからは外食大手は業績回復が続く
2022年1月~4月までの主要ブランドの月次売上高をみると、業績回復が続いていることが分かります。各社の取り組みやインフレによって客単価が上昇していることも要因の一つですが、客数もしっかりと増加しているので、このまま新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着けば、さらなる業績改善が期待できます。
入国規制緩和でインバウンド需要も復活か?
6月1日から実施された入国規制緩和の概要
22年6月1日から実施された入国緩和措置でインバウンド需要が復活するのではないかと考えています。外務省の発表によると、新しい入国措置は新型コロナの流行状況や流入リスクを総合的に勘案した上で国・地域を「赤」・「黄」・「青」の3つに区分し、それぞれの区分に応じてPCR検査や待機時間などの水際対策を実施する仕組みのようです。
いずれの区分であっても出国前72時間以内のPCR検査が必要になりますが、感染者数が少ない「青」国・地域からの入国者は入国時の検査や待機時間が不要とされるなど、かなり大胆な緩和措置となっています。
この措置によってどの程度インバウンド需要が回復するかは分かりませんが、これまで多くの外国人がほとんど入国できなかったことを考えると、今回の入国規制の緩和はかなりの呼び水になるのではないかと思います。
インバウンド需要が回復すると外食産業にどのくらいの影響が出るか?
上の画像をみればわかるように、2019年の訪日外国人の消費総額は4兆8,135億円で、そのうち飲食費関連の支出は21.6%を占めています。したがって、インバウンド需要が回復すると、外食産業におよそ1兆円程度のプラスの影響が出ます。
日本フードサービス協会の調査によると、20年の外食市場規模は18兆2,005億円(前年比△30.7%)と推計されているので、約5.4%の市場成長が見込める計算です。国内だけでなく、インバウンド需要も回復することで、外食産業にとってはかなりの追い風が期待できます。
外食産業は今が買い時か?
日経平均に比べて外食産業の銘柄は割安状態
新型コロナウイルスの感染拡大が続いて外出・行動制限が課されたことで、外食産業は苦境に陥っていました。その影響が完全に払拭されていないこともあり、外食関連銘柄は日経平均に比べて割安な状態で放置されています。
国内需要とインバウンド需要の双方の回復が期待できる今、外食関連株は絶好の買い場を迎えたと言えるかもしれません。なお、新しい変異株の出現したり、ウクライナ情勢が長期化・不安定する危険性もあるので、外食銘柄に全力で資産を振り向けるのは得策とは言えません。少なくとも、世界的に感染拡大が収束したり、入国規制が完全撤廃されるまでは、資産の一部にとどめておいた方が無難だと思います。
余談:世界のワクチン接種率もWHOが掲げる目標値(70%)に近づきつつある
世界のワクチン接種状況を確認すると、接種率が60%超となっていることが分かります。WHOはコロナ終息に向けたワクチンの接種目標を「すべての国で接種率が70%を超えること」と定めていましたが、ようやくゴールが見えてきた形です。世界的に入国規制などが解除されているので、コロナ禍前の状態に戻るのも時間の問題かもしれません。