アトラエ(6194):適正株価を考える(2024年5月14日時点)
- アトラエ(6194)は、IT・Web業界向けの成功報酬型求人メディア「Green」(テクノロジーとビッグデータの活用)、組織力向上プラットフォーム「Wevox」を運営する企業です。「Green」は成功報酬型求人メディアのパイオニア的存在で、蓄積した求職者・求人企業に関するプロフィールデータ、選考データ等を解析&活用することで競争優位性を築いています。また、「Wevox」はエンゲージメントを可視化することで組織を活性化、人材の活用と定着化を促進するサービスです。月1回の定点観測によって、リアルタイムで組織の課題を発見・把握することが可能となっており、2024年3月末時点で3,260社の企業が導入しています。2023年に三井住友フィナンシャルグループと「Wevox」関連の合弁会社「SMBC Wevox」設立し、コンサルティング業務の強化を図っています(今期下期から貢献予定)。この他にも2020年からスポーツテック事業領域(プロバスケットボールチーム「アルティーリ千葉」)でのビジネスを推進しています。
- アトラエの現在の株価(5月13日時点の終値436円)・業績予想を基に株式指標を計算すると、PERは12.5倍、PBRは2.16倍となっています。直近5年間の平均PERが98.2倍、PBRが8.72倍なので、これまでの平均的なバリュエーションで評価されるとすると、株価は4倍近く値上がりすることになります。ただし、今期はバスケ事業の1~3Q分の赤字が計上されること、アルティーリ千葉の株式売却損が発生すること等を加味すれば、値上がりしても株価は2倍(800~900円)程度にとどまりそうです。
- アトラエの5年週足チャートのMACD(赤〇部分)をみると、安値圏で価格が以前の安値水準よりも下落しているにもかかわらず、以前の安値を付けたときの水準よりも上でMACDがクロスしていることが分かります。これはダイバージェンスと呼ばれ、値動きが力強く反転するサインの一つとされています。テクニカル的にも期待が持てそうです。(注:今現在アトラエ株を保有しているので、(嬉しすぎて)記事がポジティブな内容になっている可能性があります。十分にご精査を!)
目次
アトラエの企業概要
アトラエ(6194)は、IT・Web業界向けの成功報酬型求人メディア「Green」(テクノロジーとビッグデータの活用)、組織力向上プラットフォーム「Wevox」を運営する企業です。「Green」は成功報酬型求人メディアのパイオニア的存在で、10年以上にわたって蓄積した求職者・求人企業に関するプロフィールデータ、アクションデータ、選考データ(登録、応募、書類選考通過、内定等)等を解析&活用することで競争優位性を築いています。
また、「Wevox」はエンゲージメントを可視化することで組織を活性化、人材の活用と定着化を促進するサービスです。学術的な研究に裏付けされた月1回の定点観測によって、リアルタイムで組織の課題を発見・把握することが可能となっており、2024年3月末時点で3,260社の企業が導入しています。2023年に三井住友フィナンシャルグループと「Wevox」関連の合弁会社「SMBC Wevox」設立し、コンサルティング業務の強化を図っています(今期下期から貢献予定)。アトラエはこの他にも2020年からスポーツテック事業領域(プロバスケットボールチーム「アルティーリ千葉」)でのビジネスを推進しています。
アトラエ(6194)の業績は?
アトラエは成功報酬型求人メディア「Green」と組織力向上プラットフォーム「Wevox」の2つの事業にバランスよく取り組むことで、2016年6月の上場以来安定して業績を伸ばしてきました。しかし、2020年にスポーツテック事業に参入したことで事態は一変します。
千葉市を本拠地とするバスケットボールチーム「アルティーリ千葉」は「5年以内にB1優勝」という野心的な目標を掲げ、2021-22シーズンにB3リーグを優勝すると、続く2022-23シーズンも圧倒的勝率でB2リーグ地区優勝を果たします。ところが、B2リーグのチャンピオンを決めるプレーオフ(準決勝)でまさかの敗戦を喫し、B1昇格を逃してしまいます。今季の2023-24シーズンも昨季を上回る9割越えの勝率でB2リーグ地区優勝を達成しましたが、プレーオフ(準決勝)でまたもや敗戦。2年連続でB1昇格を逃す結果となりました。
アトラエはスポーツ事業に積極的に力を注いでおり、年間6~7億円近い赤字を負担してきました。アルティーリ千葉が優勝を逃したことで、観客数(チケット収入)の増加、スポンサー収入の増加が見込めなくなり、アトラエの2022年、2023年9月期の業績は売上高が2桁増となったにもかかわらず、純利益は横ばいのままとなっています。2024年9月期は投資有価証券の評価損も重なり、純利益は前年比△48.5%の334百万円にまで落ち込むことになりました。
アルティーリ千葉が2年連続で優勝を逃したことで、今期・来期の業績悪化が懸念されていましたが、まさかのサプライが発表されました!以下ではその内容を簡単に見ていきたいと思います。
サプライズ①:初配当(期末配当15円)
アトラエ(6194)2024年9月期配当予想の修正(初配)に関するお知らせアトラエはこれまで無配でしたが、資本蓄積が十分になされたと判断し、初の配当(期末15円配当)を実施することが発表されました。5月14日の終値453円をもとにすると配当利回りは3.31%となり、成長企業でありながら日経平均株価の配当利回り(1.7%程度)の倍近くの配当が支払われる、かなりの高配当株となりました。
サプライズ②:アルティーリ千葉(バスケチーム運営会社)株式の一部売却
アトラエ(6194)連結子会社の異動(株式譲渡)及び個別決算における特別損失の計上に関するお知らせそして、一番のサプライズがアルティーリ千葉(スポーツ事業の運営会社)株式の売却です。先にも述べたように、これまでアトラエは年間6~7億円近いバスケチームの運営費用を負担してきました。しかし、バスケチームの運営会社の株式(86%)を売却することで、その負担が一気に無くなります。これによって来期の純利益がほぼ倍増する形となり、年間純利益10億円(今期予想は902百万円)を突破する可能性も高まっています。
なお、今期の業績予想は902百万円と予想されていますが、アルティーリ千葉株式の売却に伴って3億円近い赤字が発生すると発表されています。したがって、今期の純利益はどこかのタイミングで5~6億円程度に下方修正されると思われます。今期の業績にとっては大きな痛手となりますが、来期以降の貢献幅(赤字が無くなる)が大きいので今回の発表はグッドニュース(株価にプラスのインパクトを与えるニュース)と言えそうです。
アトラエ(6194)の適正株価は?
アトラエの昨日の株価(5月13日時点の終値436円)・業績予想を基に株式指標を計算すると、PERは12.5倍、PBRは2.16倍となっています。直近5年間の平均PERが98.2倍、PBRが8.72倍なので、これまでの平均的なバリュエーションで評価されるとすると、株価は4倍近く値上がりすることになります。ただし、今期はバスケ事業の1~3Q分の赤字が計上されること、アルティーリ千葉の株式売却損が発生すること等を加味すれば、値上がりしても株価は2倍(800~900円)くらいにとどまりそうな気がします。株価が4桁(1000円)以上に回復するのは、来期の決算で純利益10億円以上の業績予想が発表されてからになりそうです。
アトラエ(6194)の株価は今後どう動くか?
5月14日のサプライズ(アルティーリ千葉の株式売却、初配当実施)を受けて、PTSの株価はストップ高533円付近で推移しています。この勢いのまま明日の株式市場でもストップ高で張り付くかどうかは分かりませんが、アトラエのチャートは一気に急落してきたので、反発も大きいのではないかと考えています。
特に、アトラエの5年週足チャートのMACD(赤〇部分)をみると、安値圏で価格が以前の安値水準よりも下落しているにもかかわらず、以前の安値を付けたときの水準よりも上でMACDがクロスしていることが分かります。これはダイバージェンスと呼ばれ、値動きが力強く反転するサインの一つとされています。期末配当が実施されること、来期業績予想が良くなることは確実なので、投資妙味は十分ありそうです。(注:今現在アトラエ株を保有しているので、(嬉しすぎて)記事がポジティブな内容になっている可能性があります。十分にご精査を!)