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誰でもわかる営業利益率と経常利益率と純利益率
- 営業利益率とは、正確には売上高営業利益率と呼びます。営業利益を売上高で割った数値で、事業活動からもたらされる直接的な利益率を示します。本業の稼ぐ力(収益力)を表しています。
- 経常利益率とは、正確には売上高経常利益率と呼びます。経常利益を売上高で割った数字で、財務活動を含めた恒常的な稼ぐ力(収益力)を表しています。
- 純利益率とは、正確には売上高純利益率と呼びます。純利益を売上高で割った数字で、自然災害や一時的な影響を含めた企業の純粋な稼ぐ力(収益力)を意味しています。
- 業種によって異なりますが、営業利益率と経常利益率が長期にわたって5%を超えている企業は、十分に優良企業です。
そもそも売上高、営業利益、経常利益、純利益とは?
売上とは商品の販売やサービス(役務)の提供を通して得られるお金(対価)のことです。営業利益は、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を引いたものになります。
経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を引いたものです。純利益は、経常利益に特別利益を加え、特別損失を引いたものになります。
詳しくは下部の関連記事をご覧ください。
営業利益率とは?
営業利益率とは、正確には売上高営業利益率と呼びます。営業利益を売上高で割った数値で、事業活動からもたらされる直接的な利益率を示します。本業の稼ぐ力(収益力)を表しています。
【計算式】$$営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100$$
経常利益率とは?
経常利益率とは、正確には売上高経常利益率と呼びます。経常利益を売上高で割った数字で、財務活動を含めた恒常的な稼ぐ力(収益力)を表しています。借入金の利息費用などを考慮した数字となっているので、他の企業と比較する際の利益数値として用いられます。
【計算式】$$経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100$$
純利益率とは?
純利益率とは、正確には売上高純利益率と呼びます。純利益を売上高で割った数字で、自然災害や一時的な損益を含めた、企業の純粋な稼ぐ力(収益力)を意味しています。さまざまな要因を含んだ数値となっているので、期ごとのブレが大きくなってしまいます。したがって、他企業と比較したり、時系列で比較する場合は経常利益率の数値を使ったほうが、比較が容易になります。
【計算式】$$純利益率(%)=純利益÷売上高×100$$
実際に計算してみよう!
それでは、上記の画像から実際に21年3月期第2四半期の営業利益率、経常利益率、純利益率をそれぞれ計算してみましょう(なお、少数点以下第2位を切り捨て)。
【営業利益率計算式】$$12356÷335944×100=3.6%$$
【経常利益率計算式】$$13652÷335944×100=4.0%$$
【純利益率計算式】$$9057÷335944=2.6%$$
答えは、上記のようになります。
画像の左部分は前期の業績になるので、右の部分から売上、営業利益、経常利益、純利益を探すのがポイントです。また、純利益は「親会社株主に帰属する四半期純利益」欄の数字になります。
営業利益率や経常利益率の目安
上の画像の「経済産業省企業活動基本調査」という統計資料をみれば明らかですが、営業利益や経常利益は、経済環境や業種によって大きく異なります。したがって、絶対的な基準は存在しません。
例えば、主要産業を合計した2008年(平成20年)の営業利益率は2%を下回っていましたが、2018年(平成30年)には3.7%と、ほぼ2倍になっています。また、製造業の2018年の営業利益率は4.8%もありますが、競争の激しい小売業では営業利益率は2.8%しかありません。
このように、営業利益率や経常利益率は、市況や業種によって大きく異なるため、一概に基準となる数値はありません。ただ、おおよその目安として営業利益率や経常利益率が5%を超えると優良企業とされています。
営業利益率ランキング
上記の画像は2021年4月22日時点の営業利益率上位20社のランキングになります。1位の全国保証は住宅ローンの信用保証を行う(住宅の購入者が住宅ローンを返済できなくなったときに、ローン返済を肩代わりする)会社です。営業利益率は78.2%、経常利益は79%に達しています。2位の手間いらずは宿泊施設向け予約管理システム販売を主力とする会社です。営業利益率は70.4%、経常利益率は70.5%となっています。
以下、統合業務ソフトウェアを提供するオービックは営業利益率53.7%、経常利益率57.1%、FAセンサーなど検出・計測制御機器大手のキーエンスは営業利益率50.3%、経常利益率50.7%となっています。グルメサイト『食べログ』と価格比較サイト『価格.com』を運営する価格コムは営業利益率44.6%、経常利益率は43.6%となっており、IT系の会社や金融業の会社が上位を占めていることがわかります。
こうした利益率の高い企業は、特定の分野で圧倒的な市場シェアを持っていたり、有力な特許を保有するなど、何らかの強み(競争優位性)を持っている場合がほとんどです。この強み(競争優位性)は短期間でなくなるものではないので、投資する際にはこうした利益率の高い企業へ投資するのも一案です。