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ロシアに内戦の兆し!?どうなる日経平均?
- ロシアの民間軍事会社ワグネルが突然自国領内に侵入。ロシア南部ロストフナドヌーの軍事施設を掌握し、実質的に同地域を占領したようです。もしかしたら、ロシアで内戦が起こるかもしれません。
- 過去のチャートを見ると、大きな戦争が続いている間は株式市場が低迷していることが分かります。一見すると、今回のワグネルの反乱は株式市場に負の影響を与えそうですが、プーチン大統領が退任に追い込まれる可能性や、ウクライナとの戦争が終結する可能性も高まっているので、個人的にはプラスの影響を与えるのではないかと考えています。
- 日経平均も好調なので、短期的に大きな心配は不要だと判断できます。ただし、先進国の景気先行指数は景気後退を示しています。今後6か月以内に企業業績が悪化する危険性があるため、今年の後半から苦しい相場展開となるかもしれません。
ワグネルが謎の軍事行動!反乱か?
ロシア民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏はSNSテレグラムへの投稿で、配下の部隊がロシア南部ロストフナドヌーの軍事施設と飛行場を掌握したと述べた。プリゴジン氏はテレグラムの公式チャンネルに投稿した動画で、「我々は午前7時半の時点で本部にいる。ロストフの軍事施設は飛行場も含め我々の支配下にある」と述べた。「航空機は通常通り、何の問題もなく戦闘任務に出撃している。医療便の出発も通常通りだ。我々はただ、攻撃機が我々ではなくウクライナの方向を攻撃するように制御下に置いただけだ」としている。CNN.JP 2023.06.24「プリゴジン氏、ロシア南部の軍事施設と飛行場を掌握と言及」
ロシア正規軍とともにウクライナへ侵攻していた民間軍事会社ワグネルが突然ロシア領内に侵入。ロシア南部ロストフナドヌーの軍事施設を掌握し、実質的に同地域を占領したようです。
これまで、ワグネルの創設者であるエフゲニー・プリゴジン氏はロシア正規軍が目立った戦果を挙げられていないことや、武器・弾薬の補給の少なさ・遅さを理由に、軍上層部を繰り返し批判してきました。6月23日には「プーチン大統領が騙された」、「ショイグ国防相や大富豪が自身の利益のために戦争を始めた」など、発言もエスカレート。戦争の大義名分に関わる際どいメッセージも公開しています。
これに対して、ロシア軍上層部はワグネル兵にロシア軍との正規兵契約を締結するよう要求するなど、ワグネルをロシア国防省の統制下に入れようと画策してきました。しかし、プリゴジン氏に見透かされてしまい、計画は頓挫。ロシア軍とワグネル間の緊張は極限まで高まり、一触即発の状況にありました。
プリゴジン氏は今回のワグネルの軍事行動について、「セルゲイ・ショイグ国防相とヴァレリー・ゲラシモフ総司令官がここまで会いに来ない限り、このまま首都モスクワへ進軍する」、「これは軍事クーデターではなく、正義の行進だ。我々の行動は(ロシア軍の)部隊をいっさい妨げない」などと発言し、反乱の意思はないとしています。
ただ、ワグネルの進軍速度や軍事目標の制圧速度を考えれば、これが事前に準備された計画であることは疑いようがありません。正確なことは続報を待たなければなりませんが、個人的にはロシアで内戦に発展する可能性が高いと考えています。その場合、楽観的なシナリオとして、ロシアウ・クライナ間の休戦協定の締結、プーチン氏の失脚、ロシアの解体・民主主義化などが考えられます。他方で、悲観的なシナリオとしては、対立軸がロシア・ウクライナ・ワグネルの3つに複雑化したことによる戦争の長期化や泥沼化などが予想できます。今後世界がどちらに転ぶかは分かりませんが、膠着状態が続く現状に比べれば、より楽観的な要素が増えた気がしています。
日経平均はどうなるか?
日経平均は6月6日に1990年7月以来およそ33年ぶりとなる高値を更新しました。そして、その後も日経平均は円安を背景に続伸を続け、6月19日には3万3,772.89円の高値をつけています。
もっとも、このところの上昇ピッチがあまりにも急すぎたこともあって、6月23日は前日比-483.34(-1.45%)と反落しています。株価は短期移動平均線(6日移動平均線)を完全に割りこんでいるので、少なくとも今後1~2週間は調整を挟みそうな形です。ただ、25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線、3万0,800円(2021年2月、9月の高値)のラインなどが支持線として機能すると思われるので、下落幅はそれほど大きくはありません。
むしろ、上の長期チャートをみればわかるように、直近の抵抗線を完全に抜けているので、上値は驚くほど軽くなっています。次の上値抵抗線はもうバブル期の最高値(3万8,915.87円)しか残されていません。したがって、ロシア・ウクライナ間の戦争が終戦したり、ロシアが民主化を果たすなどすれば、日経平均は一気に史上最高値を更新しそうです。
まとめ
一般に、大きな戦争が続いている間は株式市場が低迷することが知られています。今回の民間軍事会社ワグネルの反乱はロシアの内戦を誘発するものなので、一見すると株式市場にとってはマイナスの影響を与える出来事のように思えます。しかし、これによってプーチン大統領の退任や、ロシア・ウクライナ戦争の停戦が期待できるので、個人的には喜ばしいことだと考えています。
また、日経平均に目を向けると、円安をはじめとする様々な理由から買われ続け、33年ぶりの高値を更新するなど活況を呈しています。目先は調整を挟みそうですが、中・長期移動平均線や3万0,800円の支持線が控えているので、短期的に相場が崩れるようなことも考えにくい形です。直感に反しているように思えますが、少なくとも日本の株式市場にとっては好調な要因が沢山あります。しばらくは安心できる状況が続きそうです。
なお、世界経済は景気後退が近づいています。既に、アメリカ・中国・EU各国の景気先行指数は景気悪化を示唆しているので、企業業績は今後6か月以内に落ち込み始めると思われます。年末は少し注意が必要になるかもしれません。