【会計不正のオンパレード】colaboの再調査結果がおもしろい(2)

【会計不正のオンパレード】colaboの再調査結果がおもしろい(2)

【会計不正のオンパレード】colaboの再調査結果がおもしろい(2)

この記事のポイント
  • colaboに対する再調査の報告書を読みましたが、またしても衝撃的な内容でした。今回は紙幅の都合上、特に(2)事務所・居場所運営費~(4)通信運搬費の部分を中心に見ていきたいと思います。
  • 前回も指摘しましたが、そもそも1回目と2回目の調査でなぜ結果が変わるのかが分かりませんでした。どちらもcolaboの帳簿を調査しているので差異など生じないはずなのですが、しっかりと結果が異なっています。
  • (2)事務所・居場所運営費についてですが、事務所費や光熱水費などの費用は東京都若年被害女性支援事業以外の事業に係るものも含まれているため、税理士報酬等の費用と同様に按分計算することが望ましいはずです。しかし、なぜか按分計算に関する記述がなく、だんまりを決め込んでいます。なお、税理士報酬等と同じ割合で家賃と光熱水費を按分した場合、1,677,231円が過大計上だったということになります。
  • (3)給食費についてですが、あて名が個人名義のもの、重複しているもの、消耗品費として処理すべきもの、colaboが領収書の提示を拒んだもの、2万円を超える高額なものが含まれているため、そもそも論外です。また、一人あたり5,000円を超えて飲食する場合は原則として交際費等の科目で処理され、全額が損金不算入(経費として処理できず課税対象)となります。会食が税法上経費として認めていないのに、委託事業の経費とする理由が分かりません。
  • (4)通信運搬費についてですが、216千円で予算申請され、事業実績額(colaboの報告した経費額)も216千円のまま報告されましたが、1回目の報告書内で突然「予算額216千円は600千円の誤記」と訂正され、調査の際に認められた本件経費額も471千円に上方修正されています。予算合計額26,000千円に満たない額になっていました。1回目の調査の際に予算額が26,000千円に達していないにもかかわらず26,000千円満額交付してしまったことに気づいたため、後からそれを隠蔽しようと通信運搬費用を修正したのではないかと推測しています。東京都保健福祉局の隠ぺい体質が浮き彫りになっています。

colabo再調査の結果は?

東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求に係る勧告に基づき知事が講じた措置について

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東京都福祉保健局がcolaboを再調査した結果、2023年3月3日に上のような報告書が公開されました。前回は人件費を中心にみてきたので、今回はその続き(事務所・居場所運営費~通信運搬費まで)の部分を見ていきたいと思います。

なぜか按分計算の話が出てこない(2)事務所・居場所運営費

「colabo再調査結果の報告書(事務所・居場所運営費)」東京都監査局事務局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「colabo再調査結果の報告書(事務所・居場所運営費)」東京都監査局事務局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

再調査の結果、「事務所・居場所運営費は、事務所やシェルターの家賃、光熱水費などが計上されている。支出の確認に当たっては、管理台帳に記載されている内容と領収書若しくは銀行の振込履歴を突合した。その結果、家賃等1,974,514円、光熱水費252,882円の合計2,227,396円が支出されていることを確認した。」とされ、問題がないかのように扱われています。しかし、この部分には按分計算されていないという問題があります。

税理士等は、本事業に関することだけでなく、団体の他事業にも関与していることを踏まえると、支払われた報酬全額を本事業の経費として計上することは適切ではないことから、按分するように指導し、その結果、612,912円が過大計上となっていた。なお、当該経費の按分の考え方であるが、団体の事業費の全体額(当該報酬を除く)のうちで本事業の経費(当該報酬を除く)が占める比率を乗じて、算出した。上記の結果、職員の給与8,804,836円、税理士報酬、社会保険労務士報酬等201,088円の合計9,005,924円が支出されていることを確認した。

前回の記事でも取り上げたように、税理士報酬、社会保険労務士報酬等については、東京都からの受託事業に関するものとそうでないものを区分する必要があるとし、按分計算を行っていました。ならば当然、家賃や光熱水費に関しても按分計算が求められるはずですが、なぜかその話題が出てきません。

調査結果の記述から逆算すると税理士報酬等の費用は全部で814,000円(過大計上分612,912円+受託事業に係る部分201,088円)、事業全体に占める若年女性支援事業の割合は24.7%(按分計上額201,088円÷報酬総額814,000円)であることが分かります。これを事務所・居場所運営費にあてはめると、単純計算で家賃のうち487,704円、光熱水費のうち62,461円が東京都若年被害女性支援事業に関する費用であり、残りの1,677,231円は過大計上だったということになります。

「共通費の按分基準について」福岡市・市民局・市民公益活動推進課-特定非営利活動法人の手引きより(画像はすべてクリックすると拡大します)

「共通費の按分基準について」福岡市・市民局・市民公益活動推進課-特定非営利活動法人の手引きより(画像はすべてクリックすると拡大します)

なお、事務所家賃や水道光熱費などの共通費(個別の事業ごとに発生せず、すべての事業にかかわる費用)の按分計算基準にはいくつかの種類があり、上記の方法は正しいものではありません。ですが、少なくとも何らかの方法で受託事業とそうでないものとを分ける必要はあるでしょう。東京都福祉保健局はこの点を一切指摘しておらず、不十分な調査報告書となっています。

なんでもありの(3)給食費

「colabo再調査結果の報告書(給食費部分)」東京都監査局事務局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「colabo再調査結果の報告書(給食費部分)」東京都監査局事務局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

給与食費については①管理台帳に記載があり、領収書も存在するものの、宛名が当該団体の職員名となっている領収書がある、②同一の経費が管理台帳に重複して記載してあるものがあった、➂給食費ではなく、消耗品として計上すべきものがあった、④受領者に関する一部の情報の提示を団体側が拒否し、領収書の内容全てを確認でき なかったため、証憑書類としては認められないものがあった、⑤監査で指摘のあった「一回当たりの支出が比較的高額なレストランでの食事代」 については、一回あたり2万円を超える領収書を確認したところ、8件あったとしています。

①~➂についてはミスという言葉で片づけられるかもしれませんが、④については給食費に関する情報提供を拒否する理由が分かりません。そして、⑤に至っては「使途を確認したところ、支援対象者との面談や、支援対象者間の交流を促進し、自立に向けた意識づけを目的としたものであった。支援対象者の自立を図るための会食等は、事業実施上必要性が認められることから、本事業の対象経費とする。」とされていますが、8名・総額66,396円(一人当たり8,300円)の領収書などの明らかに高額なものが含まれています。

「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」国税局ホームページより

「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」国税局ホームページより

税法をみると、一人あたり5,000円を超えて飲食する場合は原則として交際費等の科目で処理され、全額が損金不算入(経費として処理できず課税対象)となります。法律で飲食費として認められない以上、なぜ若年被害女性支援事業の経費として認められるのかが分かりません。東京都福祉保健局もcolaboとグルなのかもしれません。

闇が深そうな(4)通信運搬費

通信運搬費は携帯電話の使用料を計上している。支出の確認に当たっては、管理台帳と銀行の振込履歴を突合した。その結果、携帯電話の使用料として471,425円が支出されていることを確認した。

通信運搬費は携帯電話の使用料とされており、闇が深そうな勘定科目となっています。監査請求の請求人である暇空茜氏は以下のように事業計画書と実施状況報告書の不一致を指摘していました。

令和3年度のcolabo事業計画書の5ページには、通信運搬費として21万6,000円が計上されており、令和3年度colabo実施状況報告書の3ページでも同額が申請され支払われている。しかし、令和3年度の事業計画書の5ページに記されている内訳は携帯電話代24万円(月2万円×12ヶ月)とインターネット代36万円(月3万円×12ヶ月)というものであり、どちらも216,000円より少なく、全く計算が合わない。これに関しては令和2年度の実績が216,000円で申請されており、それを合計額に転載したものと思われ、全く正確な根拠のない数字である。

しかし、報告書ではこうした点がすべて無視されており、経費の総額しか触れられていません。あまりにも闇が深い感じがします。

「事業計画書に記載の事業所要-額及び本件実施状況報告書に記載の事業実績額」東京都関事務局発表資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「事業計画書に記載の事業所要額及び本件実施状況報告書に記載の事業実績額」東京都関事務局発表資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

なお、通信運搬費用は当初216千円で予算申請され、事業実績額(colaboの報告した経費額)も216千円のままで報告されていましたが、1回目の報告書内で突然「予算額216千円は600千円の誤記」と訂正され、調査の際に認められた本件経費額(1回目の調査で明らかとなった事業実績額)も471千円に上方修正されています。

実は、通信運搬費用が216千のままだと、事業所要額(予算額)の合計額は25,616千円となり、表記の予算合計額26,000千円に満たない額になっていました。1回目の調査の際に予算額が26,000千円に達していないにもかかわらず26,000千円満額交付してしまったことに気づいたため、後からそれを隠蔽しようと通信運搬費用を修正したのではないかと推測しています。

この推察が合っているかは分かりませんが、いずれにしても予算額が26,000千円に満たないにもかかわらず、colaboの報告を鵜呑みにして満額支給するのはあまりにも杜撰でしょう。東京都福祉保健局の闇を感じます。

~続く

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