【過去】みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)に下された行政処分の内容は?

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【過去】みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)に下された行政処分の内容は?|買ってはいけない金融商品①ー3

この記事のポイント
  • みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)は契約書類の不備と不適切な会計処理(資産の過大計上)を理由に過去に2度の行政処分(平成24年8月29日~10月27日間の全部業務停止命令、平成25年5月30日~7月28日間の不動産特定共同事業にかかる業務の一部の停止)を受けています。
  • 同社は支払利息、共同事業報酬、果てはパンフレットの作成費用などの広告費を不動産の取得価格に含める悪質な会計処理を施すことで、費用を減らして利益を多く見せかけるとともに、資産の過大計上を行っていました。
  • みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)の2021年・2022年の決算書をみると、建物などの固定資産を新規で取得しているはずなのに、該当する勘定科目の数値は一切変化していません。同社は不適切な会計処理を今も行っている可能性があります。

【過去】みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)に下された行政処分の内容は?

「みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)に下された行政処分①」

「みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)に下された行政処分①」

みんなで大家さんを運営する都市綜研インベストファンド株式会社は過去に2度の行政処分(平成24年8月29日~10月27日間の全部業務停止命令、平成25年5月30日~7月28日間の不動産特定共同事業にかかる業務の一部の停止)を受けています。その理由があまりにもひどいため、今回は2回目の行政処分が下された背景について見ていきたいと思います。

「みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)に下された行政処分②」

「みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)に下された行政処分②」

みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)に行政処分が下された理由は、契約書類の不備という問題だけでなく、不適切な会計処理(資産の過大計上)が行われていたことが主な原因でした。同社は支払利息、共同事業報酬、果てはパンフレットの作成費用などの広告費を不動産の取得価格に含めることで、費用を減らして利益を多く見せかけるとともに、資産の過大計上を行っていました(詳細は下記)。

平成24年5月より実施している立ち入り検査の中で、被処分者(都市綜研インベストファンド株式会社)の平成23年度貸借対照表において下記1から4の会計処理により約32億円の資産過大計上となっていることが判明した。

①被処分者は、不動産特定共同事業の対象不動産の取得原価に含めるべきでない、支払利息、共同事業報酬、融資手数料、融資紹介料及び融資に係る仲介手数料の合計額561,900,000円を含めて計上している。

②被処分者は、不動産特定共同事業の対象不動産の取得原価に含めるべきでない、パンフレットの作成、広告宣伝など不動産特定共同事業の営業に係る業務委託料2,473,570,920円を含めて資産計上している。

➂被処分者は、取得した中古資産の残存耐用年数を、法人税法(昭和40年法律第34号)上の簡便法より算出する方法を採用している。こうした中、商品名「みんなで大家さん10号」の対象不動産のうち建物の残存耐用年数については、簡便法では12年となるところを、合理的な根拠のない算出方法により28年と見積もり、減価償却費を26,870,472円減少させ資産計上している。

④被処分者は、時価のある有価証券の資産計上にあたり、決算報告書の重要な会計方針として「期末日の市場価格等に基づく時価法」を採用していることを記載しているが、簿価のまま計上し、84,000,000円の過少計上となっている(評価益の未計上)。

こうした粉飾会計が明らかになったことで、貸借対照表上の資産が32億円ほど架空計上されていたこと、約31億円の債務超過に陥っていたことが発覚。一般投資家を含めた事業参加者に損害が及ぶ可能性があることから、みんなの大家さんに対して60日間の業務停止命令(平成25年5月30日~7月28日間の不動産特定共同事業にかかる業務の一部の停止)が下されることになりました。

みんなで大家さんは今も粉飾を行っている!?

「都市綜研インベストファンド株式会社決算書の矛盾点(左:2021年、右:2022年)」同社ホームページより

「都市綜研インベストファンド株式会社決算書の矛盾点(左:2021年、右:2022年)」同社ホームページより

みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)は不適切な会計処理を行っていたことを理由に過去に2度の行政処分を受けましたが、同社の決算書には今もおかしな点が多々見受けられます。例えば、2021年3月末から2022年3月末にかけて建物・建物付随設備・構築物の合計額が24,720百万円から24,033百万円へと減少している点などが良い例でしょう。

「ファーム6号(奄美青果熟成加工物流センター)の商品概要と運用実績」みんなで大家さんホームページより

「ファーム6号(奄美青果熟成加工物流センター)の商品概要と運用実績」みんなで大家さんホームページより

みんなで大家さんは2021年から2022年にかけてファーム4~6号(青果熟成加工物流センター)、シリーズ47号(キングアンバサダーホテル熊谷)、シリーズ伊勢6(ともいきの国伊勢忍者キングダムの劇場)のように、土地だけでなく建物も組入れた金融商品を募集しています。

中でもファーム4~6号は各地の青果熟成加工物流センター(4号:鹿児島県南九州市川辺町の工場・機械室、5号:同町所在の店舗、6号:奄美市住用町の倉庫・事務所)を推定82億円(4号:24億円、5号:40億円、6号:18億円、それぞれ募集総口数×一口100万円で計算)で取得したことになっているため、減価償却(661百万円)を考慮したとしても21年から22年にかけて建物等の資産額は増えていなければなりません。

MEMO
減価償却費とは、固定資産の取得にかかったお金をその耐用年数に応じて配分・費用化する会計処理のことです。建物の場合は構造や用途に基づいて、取得費用を22年~47年に分けて費用計上することになります。なお、みんなで大家さん(都市綜研インベストファンド株式会社)は固定資産額から減価償却費を直接控除する方法(直接法)ではなく、減価償却累計額を使用して資産の償却額を示す方法(間接法)を採用しています。間接法は減価償却費を計上する際に表面上の資産額が減少しないので、なおのこと建物などの資産額が増えていなければなりません。
「都市綜研インベストファンド株式会社決算書の矛盾点(左:2021年、右:2022年)」同社ホームページより

再掲)「都市綜研インベストファンド株式会社決算書の矛盾点(左:2021年、右:2022年)」同社ホームページより

しかし、都市綜研インベストファンド株式会社の決算書をみる限り、建物・建物付随設備・構築物の資産額はむしろ減少しています。建物等の固定資産を購入したにも関わらず相応の資産の増加がみられないのは、粉飾あるいは少なくとも不適切な会計処理をおこなっているからだと思います。みんなで大家さんには気を付けた方がよさそうです。

【過去の記事&(みんなで大家さん代表)柳瀬公孝氏の本はコチラです】

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