アノマリー投資を学ぶならこの一冊「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」

アノマリー投資を学ぶならこの一冊「アノマリー投資-市場のサイクルは永遠なり」 アイキャッチ

アノマリー投資を学ぶならこの一冊「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」

この記事のポイント
  • 「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」はアノマリー投資について書かれた珍しい本です。有名な大統領選挙に関するアノマリーの他にも、投資月に関するアノマリーやオプション満期日についてのアノマリーなど、幅広く体系的にまとめられています。戦争と株価についても触れられているので、時世にもあっています。ぜひご一読ください!

「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」のおすすめポイント

①アノマリー投資について体系的にまとめられている点

「戦争と株価の関係」ジェフリー・A・ハーシュ.-アノマリー投資-Kindle-の位置No.341-342.-パンローリング株式会社.-Kindle-版.より

「戦争と株価の関係」ジェフリー・A・ハーシュ.アノマリー投資 Kindle の位置No.341-342. パンローリング株式会社. Kindle 版.より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」のおすすめポイントはアノマリー投資について包括的にまとめられている点にあります。本書では今では広く知られるようになった大統領選挙にまつわるアノマリーの他、オプション満期日に潜むアノマリー、月間の投資パフォーマンスが季節性によって左右される投資月のアノマリーなど、様々なアノマリーが紹介されています。

また、単に解説が加えられるだけでなく、根拠となる投資パフォーマンスや株価チャートなども一緒に提示されているので、誰でも簡単に理解することができます。例えば、上の画像をみると、戦時には株価が横ばいを続けていることが分かります。ロシア・ウクライナ間で大規模な戦争が起き、株価が低迷している現状を思えば、本書の内容がいかに正しいのかが良く分かるでしょう。

②アノマリー投資が機能する要因やその限界について触れている点

市場のサイクルやパターンは過去とぴったり同じように繰り返されるわけではない。しかし、宇宙の自然現象と同じように、それらは確かに極めて似通っている。(略)厳密な計算に基づいた相場サイクルの独断的な理論を、私はやみくもに受け入れたりしない。スタンダード・アンド・プアーズ社で働いている私の親友サム・ストーバルと同じように、私は歴史を指針として使うのだ。株式市場に現れるサイクルは厳密なものではなく、科学であると同時に芸術でもあるということを、常に忘れないようにしよう。 ジェフリー・A・ハーシュ.アノマリー投資(Kindleの位置No.107-116).パンローリング株式会社.Kindle版.

アノマリー投資が機能する要因やその限界について触れている点もおすすめポイントの一つです。そもそもアノマリー(Anomaly)とは、「効率的市場仮説では説明することができない、経験的に観測できるマーケットの規則性のこと」を指しており、本質的に「市場のサイクルやパターンは過去とぴったり同じように繰り返されるわけではない」ということになります。

MEMO
効率的市場仮説とは「株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれ、超過リターン(投資家が取るリスクに見合うリターンを超すリターン)を得ることはできず、株価の予測は不可能である」という仮説のことです。これに対して本書では「特定の月に投資すればプラスのリターンが得られる(可能性が高い)」という事実(アノマリー)を指摘し、同仮説が完全ではないことを示唆しています。

20世紀前半には収穫の売上で得たお金が市場に入ってきたおかげで、8月は株式相場にとって素晴らしい月だった。実際のところ、1901年から1951年までは最高の月だった。1900年には、人口の37.5%が農業に従事していた。現在では、農業人口は2%にも満たない。そのため、8月は1年で最悪の月のひとつである。過去15年間のS&P500では、8月が最悪になっているほどだ。 ジェフリー・A・ハーシュ.アノマリー投資(Kindleの位置No.1367-1370).パンローリング株式会社.Kindle版.

実際、8月の投資パフォーマンスは20世紀前半の間は最高のものとなっていましたが、産業構造の変化によって20世紀後半に入ると逆に成績が悪化しています。このように、本書ではアノマリー投資が機能する要因やその限界についてもしっかりと触れているので、アノマリー投資の妥当性や有効性についても考えをめぐらすことができます。

巷にあふれる投資詐欺の常套句(「絶対に儲かる~」、「年利〇〇%のリターン」など)とは違い、一見魅力的には感じられないかもしれませんが、物事の本質を考えようとする姿勢はとても大切なことだと考えています。

「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」のおすすめ度は☆5つ

「株の本のランキング」(画像はすべてクリックすると拡大します)

「株の本のランキング」(画像はすべてクリックすると拡大します)

「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」はアノマリー投資について体系的にまとめられており、それが機能する要因やその限界についてもしっかりと触れているので、おすすめ度は最も高い☆5つとしました。

投資関連書籍として銘柄選びやテクニカル分析を解説した本はたくさんありますが、アノマリー投資を掘り下げた本はなかなかありません。「戦争と株価の関係」についてまとめられている章もあり、時世にも合っています。ぜひご一読ください!

「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」の著書について

「ジェフリー・A・ハーシュが運営するサイト:Stock-Traders-Almanac」ホームページより

「ジェフリー・A・ハーシュが運営するサイト:Stock Traders Almanac」ホームページより(画像はすべてクリックすると拡大します)

「アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり」の著書はジェフリー・A・ハーシュ(Jeffrey A. Hirsch)氏です。同氏はアメリカン大学を卒業後、家業であるHirsch Organization(2000年に持株会社化してHirsch Holdings Inc.に改称)の経営に携わる傍ら、創業者でもある父親イェール・ハーシュ(Yale Hirsch)氏と共に市場の周期性や季節性についての投資情報サービスを提供するサイト「Stock Trader’s Almanac」を運営しています。

ジェフリー・A・ハーシュ氏は本書(アノマリー投資 市場のサイクルは永遠なり:The Little Book of Stock Market Cycles)の以外にも年間のアノマリー投資戦略をまとめた「Stock Trader’s Almanac」という本を毎年出版している他、CNBC、CNN、ブルームバーグ、FOXビジネスといった主要メディアでも株式投資の解説を行っており、内外問わずに多方面で活躍の場を広げています。

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