【2023年1月20日】世界の株価を俯瞰する

【2023年1月20日】世界の株価を俯瞰する

【2023年1月20日】世界の株価を俯瞰する

この記事のポイント
  • 世界の株価を俯瞰すると日本を除くすべての国でMACDが「買い」転換しています。したがって、今後日本株も他国に追随する形で戻りを試す展開となりそうです。
  • ただし、ロシア・ウクライナ戦争が激化することで、インフレ率が高止まりする可能性があります。また、一部の経済指標は先行きの不透明感を示しています。表面的な株高に踊らされることなく、慎重な投資を心掛けましょう。

日経平均の週足チャート

「日経平均(2023年1月20日時点)の週足チャート」

「日経平均(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

日経平均の週足チャートを見ると、比較的狭いレンジの中で推移していることが分かります。MACD(19,39、9)のシグナルは「売り」転換していますが、何度も底値を維持してきた支持線や200週移動平均線で支えられているので、下値が相当堅くなっています。

急激に円高が進まない限りは小康を保ち続けると予想されますが、4~5月に発表される来期の業績予想次第では大きく崩れる危険性があります。今期(2023年3月期)は円安による為替差益を理由に上方修正を行う企業が相次いだので、来期(2024年3月期)の予想は慎重にならざるを得ません。4,5月に暴落する恐れがあるので注意が必要でしょう。

MEMO
MACDの生みの親であるジェラルド・アペルの著書「アペル流テクニカル売買のコツ」では、「市場の全般的な環境が強気からやや弱気の範囲内であるなら、12日間と26日間の組み合わせのMACDは買いシグナルの確認に有効であり、19日間と39日間の組み合わせのMACDは、売りシグナルの確認に有効である。」とされています。そこで、ここではMACDのパラメーターを19週、39週、シグナル線を9週に設定しています。なお、詳細は下記の本をご覧ください!

ダウ平均株価の週足チャート

「ダウ平均株価(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

「ダウ平均株価(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

ダウ平均株価の週足チャートを見ると、200週移動平均線で反発して上値を試す展開となっていることが分かります。ただし、株価が移動平均線を超えつつあるものの、まだ完全に上値を抜ききったわけではありません。もう一度200週移動平均線(30,417ドル近辺)くらいまで下落してもおかしくないので、注意が必要でしょう。

経済指標をみても、アメリカの失業率(2022年12月)は3.5%と強い数字を維持していますが、米供給管理協会(ISM)が発表した2022年12月の製造業総合指数は48.4と、新型コロナウイルス流行の第1波で経済が落ち込んでいた20年5月以来の低水準となっています。先行指標に陰りが出始めているので、やはり楽観できません。

ナスダック総合指数の週足チャート

「ナスダック総合指数(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

「ナスダック総合指数(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

ナスダック総合指数の週足チャートを見ると、200週移動平均線を割り込んだ位置から反発を試みていることが分かります。MACDが「買い」転換していますが、中長期の移動平均線を上抜いたわけではありません。

ダウ平均株価も揉み合いから抜け出せるか分からない状態なので、積極的に買い向かえる局面ではありません。せいぜい資産の3分の1程度を使って打診買いする程度でしょう。

上海総合指数の週足チャート

「上海総合指数(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

「上海総合指数(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

上海総合指数の週足チャートを見ると、200週移動平均線を2度割った後に反発を試していることが分かります。まだ下落の基点となった直近の高値を超えていませんが、今のところ株価は力強く上昇しています。これは政府の経済政策を期待してのものだと考えられます。

中国では政府がゼロコロナ政策を突然解除したため、新規感染者数が急増。一部報道では9億人が感染したとも伝えられています。中華圏の旧正月にあたる春節を1月21日に迎えるので人の移動は今後増加し、それに伴って感染者数もさらに増え続けると予想されています。

経済実態としては混乱が続くと予測されていますが、中国政府は積極的な財政出動を宣言するなど、経済活動正常化を見据えた動きを見せています。同時に、これまで過度に締め付けてきた不動産開発企業に対する規制も緩和すると表明しているので、不動産関連セクターの業績改善も期待できます。政府支援や規制緩和を好感し、上海総合指数はまだまだ続伸するかもしれません。

香港株価指数50の週足チャート

「香港株価指数50(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

「香港株価指数50(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

香港株価指数50の週足チャートを見ると、10月末を境に急反発していることが分かります。これは先の上海総合指数と同様、政府による支援や規制課緩和を見越した動きとなっています。新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数は今後2~3月間にわたって増え続けるかもしれませんが、株価指数は200週移動平均線にタッチするまで上昇するかもしれません。

ユーロ・ストックス50指数の週足チャート

「ユーロ・ストックス50(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

「ユーロ・ストックス50(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

ユーロ・ストックス50指数の週足チャートを見ると、コロナ後の高値を更新しそうな動きを見せていることが分かります。これは新型コロナウイルスの影響で停滞していた航空機の生産が正常化してエアバスの業績が回復したこと、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で原油高でエニ(イタリアの石油&ガス会社)やトタル(フランスの石油&ガス会社)の業績が改善したことが原因です。

アディダス(ドイツ)やエアバス(フランス)を含む、ユーロ圏11カ国(オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン)の優良銘柄で構成されているため、世界経済が落ち着きを取り戻すことができれば株価も高値を更新するのではないかと思います。

「EUの実質GDP成長率とインフレ率の見通し」2022年秋の経済見通しより

「EUの実質GDP成長率とインフレ率の見通し」2022年秋の経済見通しより

ただし、2022年11月11日に欧州委員会が公表した『2022年秋の経済見通し』によると、2023年のインフレ率は7.0%に達すると予測されています。前年の9.3%よりは改善するものの、依然として高止まりを続けると予想されて、2023年の実質GDP成長率も従来予測の2.3%から0.3%にまで鈍化すると推定されています。

ロシアとウクライナ間で戦争が続く限りインフレは止まらず、戦闘が激化すればさらに物価が高騰します。現状ではMACDが「買い」転換して買いが優勢になっていますが、世界情勢次第な面もあるので注が必要です。

イギリスFTSE100の週足チャート

「イギリスFTSE100(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

「イギリスFTSE100(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

イギリスFTSE100の週足チャートを見ると、ユーロ・ストックス50指数と同様に最高値を更新しそうな形をしています。FTSE100は医薬品の世界企業であるアストラゼネカ、石油ガス大手のBP、たばこで有名なブリティッシュ・アメリカン・タバコなどで構成されているので、業績が安定しています。

先にも述べたように欧州経済には不確定な要素が隠されていますが、株価の変動幅が小さいのでリスク回避のために組入れるのもありだと考えています。

ドイツ株価指数の週足チャート

「ドイツ株価指数(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

「ドイツ株価指数(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

ドイツ株価指数の週足チャートを見ると、ユーロ・ストックス50指数やイギリスFTSE100と同様に最高値を更新しそうな形であることが分かります。ただし、目先の株価は力強く上昇するでしょうが油断は禁物です。

「欧州各国の電源構成」欧州電気事業の最近の動向より

「欧州各国の電源構成」欧州電気事業の最近の動向より

ドイツは欧州各国の中でも火力発電の占める割合が高くなっています。加えて、ドイツはガス需要の60%をロシア産ガスで賄っているので、ロシア・ウクライナ戦争が長引けば長引くほど大きな打撃を受けると予想されます。欧州の中でもとりわけドイツの株価指数の動きには注意が必要です。

フランスCAC40の週足チャート

「フランスCAC40(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

「フランスCAC40(2023年1月20日時点)の週足チャート」investing.comより

フランスCAC40の週足チャートを見ると、他の欧州か各国の株価指数と同様に最高値を更新しそうな形であることが分かります。フランスは電源の多くを原子力発電に依存しているため、電気料金が低くなっています。そのため、インフレ率も低く抑えられており、フランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した2022年12月の消費者物価指数(CPI)の速報値も前年比6.7%上昇にとどまっています。

2023年のインフレ率は鈍化すると予想されていますが、これも不確定要素が大きいので安心できません。目先の株価は買い優勢で進みますが、常に緊張感を持っておく必要があります。

まとめ ~世界の株価を俯瞰すると~

世界の株価指数の動きを見てきましたが、日本を除くすべての国でMACDが「買い」転換しています。したがって、今後日本株も他国に追随する形で戻りを試す展開となりそうです。

ただし、まだ世界のどの国も直近高値を抜いていないので油断は大敵です。EU圏の国々は地政学的にロシア・ウクライナ戦争の影響を強く受けます。直接的な被害だけではなく、インフレ率が高止まりすることで正常も不安定化する恐れがあるので、より一層神経を張り巡らせる必要があるでしょう。

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