中国の2022年10月の小売売上高が再びマイナス成長に転じる…

中国の2022年10月の小売売上高が再びマイナス成長に転じる…

中国の2022年10月の小売売上高が再びマイナス成長に転じる…

この記事のポイント
  • 中国の2022年10月の総小売売上高は前年比△0.5%の4兆271億元(1元=19.6円で約78兆9,311億円)、累計ベースでは前年比+0.6%の36兆575億元(同70兆6,727億円)という結果に。
  • 中国では未だにゼロコロナ政策が堅持されており、厳格な防疫体制が敷かれています。それによって外出ができなくなったり、長期にわたる隔離措置がとられるなど、市民生活に重大な影響が出ています。一部地域では抗議デモが出るなど、混乱が加速しています。消費は11月以降も落ち込むでしょう。
  • 品目別にみると、ロックダウンや不動産市況悪化の余波を受けて、衣料品・化粧品・家具・建材等が大きく減少。一方、インフレの影響を受けて食料品・飲料・石油は大きく増加しています。生活必需品の価格上昇が続いているので、生活は一層苦しくなると予想されます。もしかすると、小売売上高の悪化は思いのほか長引くかもしれません。

中国の2022年10月の小売売上高が再びマイナス成長に

「小売売上高の成長率の推移(2022年10月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「小売売上高の成長率の推移(2022年10月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

中国の2022年10月の総小売売上高は前年比△0.5%の4兆271億元(1元=19.6円で約78兆9,311億円)という結果でした。1~10月までの累計ベースでは前年比+0.6%の36兆575億元(同70兆6,727億円)となっており、辛うじてプラス成長を維持しているものの、このままでは累計でもマイナス成長に転落しそうな勢いです。

「中国の新型コロナウイルス感染者数の推移」googleより

「中国の新型コロナウイルス感染者数の推移」googleより(画像はすべてクリックすると拡大します)

中国では未だにゼロコロナ政策が堅持されており、長期にわたる外出禁止令や濃厚接触者の自宅隔離を含む厳格な防疫対策が採用されています。それにもかかわらず、感染者数の増加が止まらないことから、11月だけでも広州市、重慶市、福州市で部分的なロックダウンが実施されています。

さらに、こうした極端な防疫政策が地方政府レベルで断続的に行われていることに反発し、一部地域では大規模な抗議デモが発生するなど、混乱に拍車がかかっています。中国政府は民衆の心をつかむために2022年11月15日に防疫措置の緩和を発表しましたが、収束の目途はついていません。中国の消費は11月以降も落ち込みそうです。

消費財の品目別にみると明暗がハッキリと分れている

「小売売上高の内訳(2022年10月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「小売売上高の内訳(2022年10月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

小売売上高を品目別にみると、明暗がハッキリと分れています。

ロックダウンに伴う外出禁止令を受けて、衣料品(累計ベースで前年比△4.4%)や化粧品(同△2.8%)などの売上高が大きく減少しています。また、不動産市況悪化の煽りを受けて、家具(同△8.2%)や建材・装飾財(同△5.3%)の消費も大きく減っていることが分かります。

一方で、穀物・食用油・食品(累計ベースで前年比+9.0%)、飲料(同+6.6%)、石油・石油関連製品(同+12.5%)などの生活必需品の小売売上高は急増しています。身近なものの物価高騰の影響があまりにも大きすぎるので、不要不急の支出を減らしているのかもしれません。

もしこの状況が続けば(食料品などの価格が高騰すれば)、生活はより一層苦しくなり、嗜好品・豪奢品にお金をまわす余裕がなくなっていきます。その結果、価格競争が起こって企業業績が悪化。失業者が増え、景気が低迷。それでも商品価格の高止まりが収束しなければ、スタグフレーションに陥ることになります。中国関連のニュースには細心の注意が必要です。

【中国の経済史(計画経済から資本主義への移行過程)について分かりやすくまとめられています。習近平国家主席の提唱する「中国の特色ある社会主義」を探る上でも役に立つと思いますので、ぜひご一読ください!】

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