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【めちゃくちゃ便利なツール】マネックス証券の銘柄スカウターとは?
- マネックスの銘柄スカウターとは、マネックス証券が提供する「日本株分析ツール」のことで、口座開設者は無料で利用することができます。過去10期以上の長期業績、四半期業績の推移、アナリスト予想から株価指標の推移に至るまで、様々な情報を幅広く網羅しており、正直言ってめちゃくちゃ便利なツールです。ぜひ一度お試しください!
マネックス証券って?
マネックス証券は1999年にソニーと当時ゴールドマン・サックスのゼネラルパートナーだった松本大氏が共同で設立したネット専業の証券会社です。同社はネット証券の先駆けとも言える存在で、安価な売買手数料や外国株の取り扱いなど、常に業界をリードしてきました。
もっとも、近年はSBI証券や楽天証券などの競合に押されて、売買手数料の値下げ競争や周辺サービス(銀行との連携や貸株サービスなど)の展開力で後塵を拝する機会が増えています。また、マネックス・ショックなどの不祥事もあってブランドイメージも悪化しており、株式預かり資産シェアも年々低下しています。
そんなマネックス証券ですが、銘柄スカウターだけはかなり優秀だと感じています。ご存じない方も多いと思いますので、今回ご紹介させていただきたいと思います。
マネックス証券の銘柄スカウターとは?
マネックスの銘柄スカウターとは、マネックス証券が提供する「日本株分析ツール」のことで、口座開設者は無料で利用することができます。過去10期以上の長期業績、四半期業績の推移、アナリスト予想から株価指標の推移に至るまで、様々な情報を幅広く網羅しており、正直言ってめちゃくちゃ便利なツールとなっています。
銘柄スカウターの使い方はとても簡単です。まずはマネックス証券の取引口座を開設(1~2週間程度かかります)します。口座開設が完了して取引が行えるようになれば、ログインして分析したい銘柄を検索。画面右上の「銘柄分析」という部分をクリックすると、新規ウィンドウで銘柄スカウターの画面が表示されます。
マネックス証券の銘柄スカウターの便利な機能
銘柄スカウターの機能は下記ような便利な機能が搭載されています。以下で、詳しく紹介していきたいと思います。
- 企業分析 (重要度★★★:超重要)
- チャート (重要度☆☆★:見なくても良い)
- セグメント・海外 (重要度☆★★:そこそこ重要)
- 業績予想修正 (重要度☆★★:そこそこ重要)
- 配当 (重要度☆★★:そこそこ重要)
- アナリスト予想 (重要度☆★★:そこそこ重要)
- 株価指標 (重要度★★★:超重要)
- 理論株価 (重要度★★★:超重要)
- 業績ニュース (重要度☆☆★:見なくても良い)
- 適時開示 (重要度☆☆★:見なくても良い)
①企業分析
銘柄スカウターの企業分析タブには、企業価値を推定するのに役立つ情報が豊富に掲載されています。例えば、企業概要、同業他社情報、今期進捗状況、通期業績推移、四半期業績推移、キャッシュフロー推移、貸借対照表、指標一覧などの記載があります。
個人的に、今期進捗状況、四半期業績推移の箇所は四半期に一度(特に決算前)は必ず確認しています。というのも、「売上高が直近予想より10%、営業利益、経常利益、当期純利益が直近予想より30%以上乖離すれば業績予想を修正しなければならない」というルールがあるからです。
業績の進捗状況が良く、第1四半期で30%超え、第2四半期で60%超え、第3四半期で90%を超えとなっている銘柄は特に上方修正・下方修正が起こりやすくなっています。業績予想が修正されると、投資家にとってサプライズとなるため、株価が大きく変動します。業績予想の進捗状況を確認しておくことで、そうした利益獲得のチャンスがどのくらいあるのか効率的に調べることができます。
また、期初の業績予想に対する進捗が良くても(悪くても)、前年同期比の業績によっては問題がある(ない)場合もあります。
例えば上の画像で言うと、2020年の第1四半期と第2四半期は前年同期比で大幅な減収減益に陥いる一方、翌2021年の第1四半期と第2四半期はその反動で大幅な増収増益を達成しています。2021年の前半の好調さが際立っており、一見すると今後も好調な業績が続くように思えますが、2021年3Q以降は再び減収減益の決算となっています。
このように、企業業績は1年間安定して推移することはなく、市況や季節変動などの影響を受けてある程度の波が生まれます。今年度の業績が良かったとしても、前年度の反動に過ぎない場合や、なんらかの特殊な要因が重なっただけという場合もあります。企業業績は必ず精査するよう習慣づけましょう。
②チャート
銘柄スカウターのチャートタブでは、株式チャートが表示されており、「下げ止まり」や「下げ渋り」といった形状分析を確認することができます。ただし、チャート分析のツールがびっくりするほど少ないので、この部分は見なくても良いです。
➂セグメント・海外
銘柄スカウターの企業分析タブには、セグメント構成、セグメント業績推移、海外売上高構成、海外売上高推移などを確認することができます。基本的に企業が複数の異なるセグメントを持っているケース、海外の特定の地域に売上高が依存してしまっているケースでなければ、特に確認する必要はないと思っています。
なお、急激に為替相場が変動している場合、円高ならば輸入企業(小売業など)が有利に、円安ならば輸出企業(機械・電気機器など)が有利になります。特に海外依存度が高ければ高い程、為替レートの影響度が強くなります。投資する企業がどういった特徴を持っているのか年に1回程度で良いので確認しましょう。
④業績予想修正
銘柄スカウターの業績予想修正タブでは、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益の業績予想の修正履歴を確認することができます。
この部分は基本的に確認する必要はありませんが、企業によっては毎期決まって上方修正(下方修正)を行う場合もあります。投資先の企業が保守的なのか、あるいは業績予想を誇張する癖があるのかを見分けるためにも、最低1回はチェックするようにしましょう。
⑤配当
銘柄スカウターの配当タブでは、過去の配当履歴、配当利回り、実績配当性向を確認することができます。四季報の配当欄と違って、過去10年間の配当履歴を把握できるので、投資先企業が安定的な配当を行えているか、積極的に増配を行っているかが一目で分かります。
また、配当利回りや実績配当性向がヒストグラムの形で表示されているので、その企業が株主還元にどのくらい力を入れているかも分かります。あまり確認しなくても良い箇所ですが、配当を期待した長期投資を考えている場合は必ずチェックした方が良いと思います。
⑥アナリスト予想
銘柄スカウターのアナリスト予想のタブでは、対象銘柄の業績に関するアナリスト予想(利益予想や目標株価)を調べることができます。
一般的にアナリスト予想はあまりあてになりません。目標株価も実際の株価の動きに追随するように設定するため、事後的に当たっているに見えているだけです。そもそも、銘柄によってはアナリストがカバーしていない場合もあるので、あまり意識する必要はないかもしれません。
ただし、指数採用銘柄(日経平均などの構成銘柄)や注目銘柄などの一部の銘柄は、多くのアナリストが業績予想を行い、機関投資家はそれらを参考にしながら投資しています。したがって、企業業績がアナリスト予想を下回る(上回る)場合、機関投資家が失望売り(期待買い)に走る可能性があります。表面的には好決算(悪決算)であっても、アナリスト予想を裏切ってしまえば値下がり(値上がり)してしまうので注意が必要です。
⑦株価指標
銘柄スカウターの株価指標のタブでは、予想PER(会社予想PERベース)・PBR(実績ベース)の推移、予想配当利回り・実績配当利回りの推移、EV/EBITDA倍率といった対象銘柄の株価指標の推移を確認することができます。
この中でも、予想PERとPBRの推移は過去4年間の同指標の推移を簡単に確かめることができるのでとても便利です。また、例えばこれを利用して、「予想PERが直近4年間の上限値に近づいているので、天井圏にあると判断して利益確定の売り」「直近4年間のPBRの最低値に近づいており、下値を割るリスクは低いと判断して打診買い」という売買もできるので、投資の幅を広げる意味でも役に立ちます。銘柄スカウターの機能の中でもとりわけすぐ得た機能なので、ぜひ一度は使ってみてください!
⑧理論株価
銘柄スカウターの理論株価のタブでは、(PER、PBR、コンセンサスを基準にした)理論株価、理論株価からの乖離率を示す株価診断、チャートと理論家からの乖離率を組み合わせて表示した想定株価レンジ、自分で数値を設定し理論株価を計算できるマイ理論株価計算機などの機能が利用できます。
決算の上方修正(下方修正)が発表されれば前提となる数字が変わってくるので、一概に理論株価が絶対的に正しいものだとは思えませんが、ある程度の目安にはなると考えています。大雑把に今の株価水準が割高か割安かを判断するのに便利なので、四半期に一度は確認したい項目です。
⑨業績ニュース
銘柄スカウターの業績ニュースのタブでは、業績予想のコンセンサス変化(トヨタ自動車<7203>の経常利益予想コンセンサスは、前週値の4,000,275百万円から0.4%下落し、3,984,682百万円となった等)やレーティング・目標株価(米系大手証券、レーティング強気継続。目標株価引き下げ、2,400円等)に関するニュースが公開されています。
個人的にアナリスト予想はサラリーマンの適当な予想なので信じていませんが、注目度の高い企業はアナリストや機関投資家目線の情報に影響されることもあるので、月に1回程度確認しています。
⑩適時開示
銘柄スカウターの業績ニュースのタブでは、企業が公表する投資家向けのニュースが一覧で確認できるようになっています。この部分については、投資先企業のホームページ(ニュースリリース)を直接みた方が、最新の製品情報を含めた様々なIR情報を把握できるので良いと思っています。したがって、あまり見るべきものはありません。
まとめ
銘柄スカウターはマネックス証券が提供している「めちゃくちゃ便利なツール」です。マネックス証券に口座を開設すれば誰でも利用できるので、ぜひ一度お試しください。