不動産バブルに対する中国政府の方針は?~「王小鲁:房地产如果不挤泡沫 未来问题会严重得」を参考に~

不動産バブルに対する中国政府の方針は?~「王小鲁:房地产如果不挤泡沫-未来问题会严重得」を参考に~

不動産バブルに対する中国政府の方針は?~「王小鲁:房地产如果不挤泡沫 未来问题会严重得」を参考に~

この記事のポイント
  • 中国の建設中の住宅面積は2022年7月末時点で60億7,029万平方メートルに達する。これは全人口の14.5%にあたる2億234万人分の住宅を施工している計算(中国の1人あたりの住宅面積は30平方メートル)となり、明らかな供給過剰。
  • 全国の不動産会社の負債総額は2022年時点で86兆元(1元=20円で約1,720兆円)にまで膨らんでおり、中国経済に深刻な影響を及ぼす恐れも…。
  • しかし、中国の論説「王小鲁:房地产如果不挤泡沫 未来问题会严重得」では、資本注入や国有化などの救済策を否定。バブルに対する金融緩和も否定しており、ハードランディングに向かう議論が展開される。中国の報道は政府の意向が反映されるため、もしこれがそうなら不動産バブルの崩壊は不可避に…。

今回取り上げる記事「王小鲁:房地产如果不挤泡沫 未来问题会严重得」について

「王小鲁:房地产如果不挤泡沫-未来问题会严重得多」news.sina_.comより

「王小鲁:房地产如果不挤泡沫-未来问题会严重得多」news.sina_.comより

中国経済の情報をチェックしていた時に、偶然「王小鲁:房地产如果不挤泡沫 未来问题会严重得」というニュースを見つけました。インタビューを受けているのは王小鲁という人物で、オーストラリア国立大学で経済学博士号を取得し、現在は中国改革基金会の国家経済研究所の副所長兼研究員、中国経済体制改革研究協会の常務理事を務めています。

今後の中国の不動産政策を探るうえでかなり役に立つと思うので、今回はこの記事を中心に紹介させていただきたいと思います。

MEMO
中国の地方財政が不動産頼みとなっている(国有地の売却収入などの不動産関連の税収が50%超となっている)点も問題点として取り上げられていますが、話が長くなるので割愛しています。

中国の不動産バブルの現状

住宅の供給過多

「2021年第4四半期および21年通年のGDPの速報値」中国国家統計局資料より

「2021年第4四半期および21年通年のGDPの速報値」中国国家統計局資料より

これまで中国政府は不況が起こる度に不動産規制を緩和し続けてきました。しかし、現在では不動産セクターが関連セクターも含めると中国のGDPのほぼ4分の1(注:直接的な割合は6.8%)を占めるほど成熟してしまったため、景気刺激策としての効果に限界が近づきつつあり、むしろ不動産バブルを助長してしまっています。

「2022年1~7月期の不動産開発投資の内訳」中国国家統計局資料より

「2022年1~7月期の不動産開発投資の内訳」中国国家統計局資料より

例えば、中国の建設中の住宅面積は2022年7月末時点で既に60億7,029万平方メートルに達しています。これは全人口の14.5%にあたる2億234万人分の住宅を施工している計算(中国の1人あたりの住宅面積は30平方メートル)になり、明らかに供給過多に陥っています。

さらに、竣工した住宅面積2億3,279万平方メートルに対して、新たに建設を開始した住宅面積は5億5,919万平方メートルほど存在しており、バブル抑制に向けた厳しい不動産規制が採用されている中でも不動産バブルは着々と拡大し続けています。

不動産開発会社の財務悪化

「三条紅線と不動産各社の財務状況」2021年9月29日第123期-MUFG-Bank(China)経済週報より

「三条紅線と不動産開発各社の財務状況」2021年9月29日第123期 MUFG Bank(China)経済週報より

市況の需給バランスだけでなく、不動産開発会社の財務状況にも問題があります。バブルに浮かれて無理に成長を競い合った結果、全国の不動産会社の負債総額は2022年時点で86兆元(1元=20円で約1,720兆円)にまで膨らんでおり、経営破綻するリスクが高まっています。

また、同時に、不動産セクターに関連する銀行融資額がGDPの66%に相当する規模に達している点も問題視されています。不動産バブルの崩壊が不動産セクターだけでなく、金融セクターにまで影響を及ぼす可能性があるため、不動産バブルのソフトランディング(経済に大きな影響を与えず問題を解決すること)が喫緊の課題となっています。

不動産バブルに対する中国政府(王小鲁氏)の考え方

如若情况是这样,那么究竟应该逐步挤泡沫、降低杠杆率,还是继续放手给房地产企业贷款,做大泡沫,等待最终整体垮塌?我想应该是前者。因此采取措施挤泡沫是必要的,现在也许还不算太晚。至于“三道红线”的具体规定是否准确适度,偏松还是偏紧,是否需要根据各地方的不同情况因地制宜调整?这些问题还可以讨论。但需要看清楚,房地产市场和土地市场面临的问题,是因为多年来已经积累了大量泡沫,而不是有了“三道红线”才造成的。如果不挤泡沫,未来要发生的问题还会严重得多。

翻訳)バブルを徐々に絞ってレバレッジを下げていくべきなのか、それとも不動産会社への融資を手放し続けてバブルを大きくし、最終的に全体が崩壊するのを待つべきなのか。 前者であるべきだと思います。  (略)不動産や土地市場が直面している問題は、長年にわたって蓄積された大きなバブルの結果であり、「3つの赤い線」ではないことは明らかであろう。 バブルをしぼませなければ、将来起こる問題はもっと深刻になる。「王小鲁:房地产如果不挤泡沫 未来问题会严重得」より

不動産バブルに対する考え方について問われた際、王小鲁氏は「バブルをしぼませなければ、将来起こる問題はもっと深刻になる。」と端的に答えています。続けて、同氏は「新築住宅の年間平均需要はせいぜい10億7000万平方メートル程度」と推計。将来の不動産価格の下落は避けられないとし、バブル崩壊とそれによる不動産会社債務の不良債権化が起こると予測しています。

そして、不動産会社に対する資本注入や国有化に関する意見を求められた際には、企業救済にかかる財源の問題を指摘し、もはや不動産バブルが大きすぎて国有化や金融緩和などでは対処できないと言明。最終的な解決策としては、人々の生活の保護、失業者への救済など、公共サービスと社会保障の改善に焦点を当てるべきとし、同時に、企業に対する政府の不当な介入に終止符を打ち、市場経済を志向すべきだと述べています。

基本的に中国の論説は中央政府の意向が反映されているため、上記の王小鲁氏の見解はほぼ中国政府の方針に等しいと言えます。もしそうなら、中国政府は苦境に立たされる企業を救済することなく、不動産バブルを崩壊(ハードランディング)させるかもしれません。

現在、恒大集団や融創中国などの大手不動産開発会社が倒産の危機に瀕しています。数十兆円近い負債を抱える企業が何の支援も得られず倒産してしまえば、その影響は計り知れません。中国の不動産セクターの動向には警戒が必要です。

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