中国の6月の小売売上高がプラス成長に転換したものの…

中国の6月の小売売上高がプラス成長に転換したものの…

この記事のポイント
  • 上海ロックダウンが解除されたことで、2022年6月単体で見れば前年比+3.1%の38,742億元(約79兆4,211億円)とプラス成長に転換しました。通年では若干のマイナス成長ですが、中国経済の回復に望みが出てきています。
  • 主要品目も軒並み回復していますが、住宅ローン返済をボイコットする動きや、若年層の高い失業率(19.3%)が懸念材料となっています。今度の動向には注意が必要です。

6月の小売売上高がプラス成長に転換

「小売売上高の月次成長率の推移(2022年6月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「小売売上高の月次成長率の推移(2022年6月)」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

前回の記事」でお伝えしていたように、中国の小売売上高は上海ロックダウンの影響で大打撃を受けていましたが、7月18日に公表された最新のデータをみると封鎖の解除に伴って国内消費が急回復しているようです。

2022年の中国の小売売上高は1~6月の累計では前年比△0.7%の210,432億元(1元=20.5円でおよそ431兆3,856億円)と若干のマイナス成長となりましたが、6月単体で見れば前年比+3.1%の38,742億元(約79兆4,211億円)とプラス成長に転換しています。

ロックダウンの反動による消費増も含まれているので実態はよく分かりませんが、一先ずは落ち着きを取り戻しつつあるようです。

6月単体でみれば主要品目も軒並み回復

 

「2022年6月の中国小売売上高の内訳」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「2022年6月の中国小売売上高の内訳」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

小売売上高の内訳をみると、主要品目は軒並み回復しています。

5月に消費が落ち込んだ衣料品は前年比+1.2%の1,198億元(約2兆4,559億円)、化粧品は前年比+8.1%の424億元(約8,692億円)となっています。上海ロックダウンが深刻化した5月と比較すればそれぞれ前月比+25.1%、+45.7%と大きく改善しており、消費が正常化に向かっていることが分かります。

ただし、中国の不動産市況が冷え込んでいることから、家具や建築・装飾材料の消費が戻っていません。両方とも5月の数字を上回ってはいるものの、それぞれ前年比△6.6%の154億元(約3,157億円)、△4.9%の179億元(約3,670億円)と前年比ベースで見れば苦戦が続いています。

7月以降の数字はどうなるか?

「2022年6月の中国の失業率」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

「2022年6月の中国の失業率」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

小売売上高が急回復したことで中国経済が落ち着いたかに見えますが、懸念材料もいくつか残されています。例えば、こちらの記事「中国で住宅ローンの返済を拒否する運動が活発に。金融危機は起きるか?」で取り上げたような動きが起きている点や、上の画像のように若年層(16歳から24歳)の失業率が19.3%に達している点などが挙げられます。

前者についていえば、現段階の延滞債権額は21億1000万元(約432億5500万円)に過ぎませんが、この運動が波及していくことで銀行セクターが抱える個人向け住宅ローンの融資残高34.44兆元(約706兆200億円)全体に影響を与える可能性があります。

また、後者についていえば、日本の「就職氷河期世代」のように将来的な出生率の低下や消費支出の減衰などの問題を引き起こす危険性もあります。

こうした懸念が現実のものとなるか否かは分かりません。しかし、いずれにしても少なくとも今年後半までは予断の許さない状況が続きます。中国経済の動向には注意が必要です。

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