ボックス理論とブレイクアウト売買法の古典「私は株で200万ドル儲けた」

私は株で200万ドル儲けた-アイキャッチ

ボックス理論とブレイクアウト売買法の古典「私は株で200万ドル儲けた」

この記事のポイント
  • 「私は株で200万ドル儲けた」はボックス理論とブレイクアウト売買法の嚆矢とも言うべき本です。本書では著者の実体験がつづられており、そこから得られる知見は真を突いています。また、投資手法がシンプルなので理解しやすい点も魅力の一つです。
  • 欠点としては、売買基準が不明確(ブレイクアウト時の出来高の基準が良くわからない等)であったり、掲載されているチャートが古くて読みにくいという点が挙げられます。
注意
「私は株で200万ドル儲けた」の新装版『私は株で200万ドル儲けた ブレイクアウト売買法の元祖「ボックス理論」の生い立ち』が2017年から出版されています。ただ、内容はまったく変わっておらず、表紙とタイトルが変更されているだけです。どちらも中身は一緒ですが、旧版の方は「kindle unlimited」で公開されていることがあるので、気になる方は定期的にamazonをチェックしてみましょう。

「私は株で200万ドル儲けた」のおすすめポイント

①著者の体験が赤裸々に語られている点

一.投資顧問の言うことを聞いてはいけない。彼らは絶対的に信頼できる存在ではないからだ。これはカナダでもウォール街でも変わらない。二.ブローカーのアドバイスには用心しなければならない。彼らも間違えることがある。三.ウォール街の格言は、どんなに古くからのものでも、またどんなにありがたがられているものであっても、無視すべきだ。四.「店頭株」に手を出してはいけない。取引するのは、売りたいときには必ず買い手が見つかる上場株だけにする。五.どんなに根拠があるように見えても、うわさに耳を傾けてはいけない。六.ギャンブル的手法よりも、ファンダメンタルズに目を向けるやり方のほうがうまくいった。ファンダメンタルズの勉強をしなければならない。 ニコラス・ダーバス;飯田恒夫.私は株で200万ドル儲けた(Amazon Kindleの位置No.478-481)

著者の成功体験や失敗体験が赤裸々に語られている点が「私は株で200万ドル儲けた」の見どころの一つです。

株式投資に関する本の多くは失敗談を語りたがりませんが、本書ではありのままを記述しています。例えば、株式投資を開始して間がない頃の自身を「ウォール街のパイプを通じて直接流れてきた情報は信頼すべきものだと信じて、ときめくような魅力を感じたものだ。」と振り返り、ウォール街の噂を信じて手痛い目にあったことを告白しています。

著者は失敗を糧に一歩ずつ成長して今の地位を築きました。その体験から得られる知見は一見当たり前に思えますが、それは同じ過ちを犯したからこそ抱く感想です。逆に言えば、本書に共感できなければ、著者と同じような失敗を繰り返す危険性が高いということです。投資家が陥りやすい罠を未然に回避するためにも、本書を熟読することをおすすめします。

②投資手法がシンプルである点

興味のある株がいくつかのボックスを形作り、それがピラミッドのようにお互いの上に積み重なり、株価が一番上のボックスの圏内に入ると、その動きに着目した。株価がそのボックスの天井と底の間を自由に跳ね回ると安心した。いったんボックスの大きさを見極めたあとは、そのフレーム内から株価が外れないかぎりは問題なしとみなした。(中略)ある銘柄が[四五/五〇]のボックスにあるときというのは、例えば次のような値動きになる。四五-四七-四九-五〇-四五-四七これは五〇ドルの高値に達したあとで、四五ドルの安値まで反落し、その後の終値が四六ドルとか四七ドルになる可能性があるということであり、わたしから見てこれは望ましい値動きだ。ボックスから外れていない。だがもちろん、わたしが絶えず待っていたのは、次の一段と高いボックスを目指し上へ突き抜ける動きだった。そうなれば、その銘柄を買った。ニコラス・ダーバス;飯田恒夫.私は株で200万ドル儲けた(Amazon Kindleの位置No.744-750、No.758-766)

著者の投資手法がシンプルである点も本書の魅力の一つです。

ボックス理論とは株価の動きをボックスとして把握し、一定値幅内の動きをすべて同一視することにあります。そして、株価がボックスの天井圏から大きな出来高を伴って突き抜ける時に株式を買い付けます(ブレイクアウト売買法)。

一般的なテクニカル分析では様々なチャートパターンを理解した上で売買を行いますが、ボックス理論では一定値幅内での動きを一つの動きとみなし、ボックスから突き抜けたら「買い」、下抜けたら「売り」という行動をとるので、誰でも同じように判断を下すことができます。こうした売買手法のシンプルさは本書の魅力の一つだと思います。

「私は株で200万ドル儲けた」のおすすめ度は☆3つ

「おすすめ度の分類」

「おすすめ度の分類」

「私は株で200万ドル儲けた」のおすすめ度は☆3つ(時間がある人が読む本)としました。この本はボックス理論とブレイクアウト売買法の先駆けとも言える名著ですが、①売買基準が不明確であったり、②チャートが読みにくいという問題点があります。

ブレイクアウトとは、ある銘柄がベースか横ばい圏から抜け出すことです。私はベースが少なくとも四週間以上続いてからのブレイクアウトを好みます。ブレイクアウトをしたら、出来高が平均よりも増えているべきです。出来高は少なくとも二五%以上は増えていなければなりません。最高の上昇であれば、一〇〇%以上の多くの出来高の増加を伴って始まります。 マーク・ミネルヴィニ.成長株投資の神(Amazon Kindleの位置No.998-1002)

①売買基準が不明確という点に関しては、ブレイクアウトの定義が曖昧になっている点が特に致命的です。具体的な売買基準が書かれていないので、再現性がかなり低くなっています。

他の本―例えば「成長株投資の神」という本―ではブレイクアウトを上記のような形できちんと定義しています。ブレイクアウト時の出来高が平均よりも25%~100%以上増えた銘柄を探せば良いだけなので、投資初心者の方であっても機械的にスクリーニングをかけることができます。

具体的な売買基準を知りたいという方や、再現性の高い投資手法をお探しの方にとっては、本書はおすすめできません。

「本書に掲載されている売買事例」私は株で200万ドル儲けた-Amazon-Kindle-の位置No.2205

「本書に掲載されている売買事例」私は株で200万ドル儲けた(Amazon Kindleの位置No.2205)

また、初版の出版が1960年と半世紀以上前にもかかわらず、適切な改訂がなされていない点もマイナスポイントです。取り上げられている銘柄が聞いたこともないような会社ばかりだったり、チャートがラインチャート(終値を線でつなげたチャート)なので読みにくい(理解しにくい)箇所が多々あります。

一応、2017年以降は『私は株で200万ドル儲けた ブレイクアウト売買法の元祖「ボックス理論」の生い立ち 新装版』という形で新しい版が出ていますが、その内容は旧版の「私は株で200万ドル儲けた」から全く変わっていません。タイトルと表紙が変更されているだけなので、読みづらさは放置されたままとなっています。

本書はボックス理論とブレイクアウト売買法の嚆矢とも言える本ですが、売買基準が不明確であったり、少し読みにくい所があります。特段価値のある本ではなく、時間のある方が自身の見聞を広げるために読む本と言えるでしょう。

【上が旧版、下が新版になります。両者は表紙が異なっていますが、内容はまったく同じです。たまに旧版がkindle unlimitedで公開されているので、定期的にチェックしてみてください!】

 

【(現代の)ブレイクアウト売買法について知りたい方はコチラの「成長株投資の神」をおすすめします】

「私は株で200万ドル儲けた」の著者について

ニコラス・ダーバス(Nicolas Darvas)は1920年にハンガリーで生まれ、ブダペスト大学で経済学を学びました。その後、第2次世界大戦の戦火から逃れるために、トルコのイスタンブールへ脱出し、最終的にアメリカでダンサーとして活躍します。

ショーに出演する傍らで、株式投資について勉強を始めたダーバスは自身の投資手法(ボックス理論)を確立。巨額の富を築いたとされています。

MEMO
1960年のタイム誌の報道によると、ニューヨークの司法長官(Louis J. Lefkowitz)はダーバスの話がまったくの虚偽であり、証券口座の記録では21万6,000ドルの利益しか確認できなかったことを指摘し、詐欺と不実表示の罪で厳しく罰しようと動いていたようです。しかし、翌年の報道では、司法長官による調査が「報道の自由に対する不当な侵害」にあたると裁判所で判断され、調査が完全に行われなかったことを報じています。結局のところ、ダーバスが本当に成功したのかは曖昧なままとなっています。

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