中国経済は20年のコロナ禍よりも深刻な状況!追加の経済対策で株価の底入れなるか?

中国経済は20年のコロナ禍よりも深刻な状況!追加の経済対策で株価の底入れなるか?

中国経済は20年のコロナ禍よりも深刻な状況!追加の経済対策で株価の底入れなるか?

この記事のポイント
  • 中国の李克強首相は「中国の経済統計は著しく悪化している。厳しさは幾つかの側面において、またある程度において、パンデミックの打撃を受けた2020年よりも深刻だ」と発言し、追加の経済対策を示唆。
  • 2022年度の中国の経済対策予算はGDPの31%に相当する35兆5000億元で、20年のコロナ禍に匹敵するほどの規模が計上されている。追加で経済対策が実施されれば、コロナ禍を上回る規模になる可能性も…。
  • 上海総合指数も反発局面にあり、長期MACDも買いシグナルが点灯しそうな形に。ただし、投資するタイミングは、経済対策が決定して中国経済が実際に回復してからでも良い。

中国の李克強首相は景気悪化を懸念

地方当局者や国有企業、金融機関と景気安定の方策について協議した李首相は、会合後に「中国の経済統計は著しく悪化している。厳しさは幾つかの側面において、またある程度において、パンデミックの打撃を受けた2020年よりも深刻だ」と述べた。首相は当局者らに対し、失業率を低下させ、今年4-6月(第2四半期)の経済活動が「妥当なレンジ」で推移するよう確実を期すことを求めたと、国営メディアが報じた。Bloomberg記事①より

Bloomberg(記事①)は、中国の李克強首相の「中国経済が一部で2020年のコロナ禍よりも深刻な状態に陥っている」という発言を引用し、同氏が景気悪化を懸念している様子を報道しています。

【上海ロックダウンとそれに伴う景気悪化についてはこちらの記事でまとめています】

上海ロックダウンで中国の小売売上高が大幅減!影響を受ける日本企業は?上海ロックダウンで中国の小売売上高が大幅減!影響を受ける日本企業は?
「6章の部分で中国の失業率に触れている」中国国家統計局プレスリリースより

「6章の部分で中国の失業率に触れている」中国国家統計局プレスリリースより

実際、中国の失業率は5月16日に公表された22年4月のデータでは6.1%に達しており、20年2月に6.2%を記録して以来の高水準にあります。この失業率のデータには農村から都市部に出稼ぎにきた労働者数が含まれていないため、全体的な数字はさらに厳しいものとなっているようです。

中国政府は既に大規模な景気刺激策を導入済み

「中国の景気支援策の概要」Bloomberg記事②より

「中国の景気支援策の概要」Bloomberg記事②より

中国政府は2022年度の予算で35兆5000億元(1元=19円で約674兆5000億円)規模の景気対策を決定しています。これは中国の2021年のGDP(114兆3,670億元)のおよそ31%に相当し、コロナ禍にあった20年度の予算と遜色ない金額となっています。

冒頭でも取り上げた5月25日の会議で、李克強首相は失業率の改善と経済成長率の安定を促し、さらなる経済対策を示唆しました。仮に追加の経済対策が実施されるとすれば、20年度の景気支援策を上回る予算が投入されることになります。

追加の経済対策で株価の底入れなるか?

「上海総合指数の週足チャート」

「上海総合指数の週足チャート」

上海総合指数の週足チャートをみると、底値からの反発局面を迎えていることが分かります。長期のMACD(MACDライン:19日と39日の指数平滑移動平均の価格差、シグナル線:9日の指数平滑移動平均)も買いシグナルが点灯しそうな形をしているので、北京ロックダウンが実施されない&追加の経済対策が実施されるという状況になれば、株価も短期的に反転しそうです。

ただし、チャートをみると下落の起点となった前回の高値を超えておらず、依然として下降トレンドが継続しています。相場の上昇はゆるやかに進んでいくので、追加の経済対策が決定して中国経済が現実に回復するまでは投資しないほうが良いでしょう。

参考記事

配信元 配信日 記事タイトル
Bloomberg 2022年5月25日 記事:①「中国経済は悪化、20年のコロナ禍より幾つかの側面で深刻-李首相」
中国国家統計局 2022年5月16日 「General Trend of High-Quality Development Remained Unchanged Despite the Increased Downward Pressure on Economy」
Bloomberg 2022年5月20日 記事②「中国の刺激策、700兆円に迫る-ゼロコロナ堅持で5.5%成長に十分か」

 

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