ついに中国の不動産バブルが崩壊か…。中国国家統計局のデータを読む。

ついに中国の不動産バブルが崩壊か…。中国国家統計局のデータを読む。

この記事のポイント
  • 今回は「National Real Estate Development and Sales from January to February 2022」という中国国家統計局のプレスリリースを中心に話を展開しています。
  • 中国政府が不動産規制の緩和に動く様子が伺えたり、2022年1~2月期のデータに過ぎないので、大事には至らないかもしれませんが、衝撃的な内容なのでぜひご一読ください!

中国の不動産市場は厳しい状態が続く…

不動産開発に対する投資額は落ち着きを取り戻すも…

「中国における不動産開発投資の成長率の推移」中国国家統計局プレスリリースより

「中国における不動産開発投資の成長率の推移」中国国家統計局プレスリリースより

中国政府は2020年8月に過度な不動産投機を抑えるための政策(三条紅線)を導入しました。不動産開発会社に財務制限を設けたことで、多くの買い会社は投機的な取引を制限せざるを得なくなり、上のグラフのように不動産開発に対する投資額は落ち着きを取り戻しつつあります。

MEMO
三条紅線とは、①不動産会社の負債は資産の70%を超えてはならない、②純負債は資本を超えてはならない、③現金は少なくとも短期借入金と同等の比率でなければならないという3つの基準のことです。これらの基準に違反すると銀行からの資金調達に制限がかかり、思うように融資を受けられなくなります。

しかし、その一方でこの規制の導入があまりにも唐突で厳しい内容だったため、①不動産開発業者の資金繰りが困難になったり、②不動産価格の下落を招くなどの問題を引き起こしています。

不動産開発会社は資金繰りが困難に

中国の不動産開発会社の3分の2は少なくとも1つの三条紅線に違反

「中国の不動産開発上位30社のうちおよそ3分の2が三条紅線に違反している」ブルームバーグニュースより

「中国の不動産開発上位30社の財務状況と三条紅線」ブルームバーグニュースより

ブルームバーグの報道によると、中国の大手不動産開発会社のおよそ3分の2が少なくとも三条紅線の1つに違反していると言われています。

この基準に違反すると融資額が制限されるため、その会社の資金繰りが困難になります。また、そのことを十分に承知している銀行や投資家からすれば、三条紅線に抵触するような企業やその関連企業はあまりにもリスクが高すぎるので、融資や投資を避けるようになってしまいました。

不動産開発会社への資金流入量は大きく減少

「中国の2022年1~2月期の不動産開発投資の内訳(赤枠は筆者追加)」中国国家統計局プレスリリースより

「中国の2022年1~2月期の不動産開発投資の内訳(赤枠は筆者追加)」中国国家統計局プレスリリースより

三条紅線の導入以降、多くの不動産開発会社に対する融資や投資が控えられることになり、不動産業界への資金流入量が大きく減少することになりました。恒大集団の倒産危機が騒がれたり、不動産業界の苦境が鮮明になる中で、その動きは加速しています。

上の画像をみればわかるように、不動産開発会社への資金量は前年比で-17.7%の大幅な減少となっています。(割合でみるとピンと来ないかもしれませんが、金額ベースではおよそ10兆5400億円(1元=19.5円で換算)の資金流入が蒸発したことになります。)

こうした窮状に対して各社は手持ちの資産を切り売りすることで生き残りを図ろうとしましたが、多くの会社が一斉に不動産を手放したことから販売価格が急落しています。

不動産価格の下落で資金繰りがさらに逼迫

商業施設の販売面積と販売金額は前年比でマイナスに

「中国の商業施設の販売面積と販売額の成長率」中国国家統計局プレスリリースより

「中国の商業施設の販売面積と販売額の成長率」中国国家統計局プレスリリースより

上の画像をみれば明らかなように、中国の商業施設の販売面積と販売額は2022年に入ってから前年比で大きなマイナスに転じています。商業施設の建設は投資規模が大きいことから、資産の売却を推し進めたい不動産開発会社にとってはかなりの痛手となっています。

住宅の販売価格も下落傾向

「2022年2月の中国主要70都市の新築住宅と中古住宅の販売価格指数」中国国家統計局プレスリリースより

「2022年2月の中国主要70都市の新築住宅と中古住宅の販売価格指数」中国国家統計局プレスリリースより

不動産価格の下落は商業施設に限らず、住宅市場にも波及しつつあります。中国では不動産販売の多くが前払いのため、新築住宅の販売価格は横ばい状態となっています。しかし、中古住宅の販売価格は多くの地域で前月比・前年比でマイナスとなっており、不穏な雰囲気が漂っています。表を見る限り2020年のコロナ禍の価格も割り込む場所が出てくるなど、状況はかなり深刻です。

ただでさえ資金調達が難しい状態にもかかわらず、商業施設や住宅の販売価格が下落したことで、不動産開発会社の資金繰りはさらに逼迫しています。

中国の不動産バブルは崩壊へ…

中国の不動産開発業者は倒産が相次ぐ

【中国の不動産開発業者の主なデフォルト・倒産事例】

*中国の法律上、人民法院(裁判所のようなもの)が破産手続きの申立てを受理しない限り倒産しません。また、融資や社債の未払いが発生しても、30日の猶予期間内に支払いが完了すればデフォルトになりません。

発生日 会社名 負債額等
2022年1月6日 世茂集団 信託会社からの融資6億4500万元(約117億円)の延滞
2021年12月7日 中国恒大集団 米ドル債の利息8249万ドルのデフォルト
2021年12月5日 陽光100中国 米ドル建て社債1億7000万ドルのデフォルト
2021年10月18日 新力控股(集団) ドル建て社債2億4600万ドルのデフォルト
2021年10月15日 協信遠創実業 破産申請受理(倒産)。負債総額300億元(約5400億円)
2021年10月4日 花様年 ドル建て社債2億0600万ドル
2021年7月11日 四川藍光発展 人民元建て社債9億元のデフォルト
2021年2月1日 華夏幸福基業 人民元建て社債52億5500万元のデフォルト

中国の不動産バブルはまだ崩壊したわけではありませんが、不動産開発会社の一部は既に実質的な破産状態にあります。大手の恒大集団を始め、華夏幸福基業、花様年、新力、陽光100など、中国の不動産開発会社の上位100位に入る企業が次々とデフォルト(融資や社債の利払いができなくなること)を起こしています。

中国の法律では、破産申し立てが人民法院で受理されないと破産手続きが進行しません。そのため、完全に倒産するまでには1~2年程度の時間がかかるかもしれません。ですが、これら不動産開発会社の倒産は確実に起こる未来です。連鎖破綻の懸念もあるので、中国の不動産業界には要警戒です。

【中国のバブル経済の構造を解説している本です。中国の現行制度に問題提起をする珍しい本です。】

【よくある中国礼賛本です。上の本とは対称的な内容となっていますが、これはこれで面白い本です。】

参考資料

配信元 配信日 タイトル
中国国家統計局 2022年3月17日 National Real Estate Development and Sales from January to February 2022
ブルームバーグ 2021年11月1日 中国の大手不動産開発会社、3分の2が債務の「レッドライン」超過

 

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