目次
オミクロンショックで日経平均は大幅下落、今後どうなる日経平均?|株式市況分析
- 2021年11月24日に南アフリカで新型コロナウイルスの新しい変異株(オミクロン株)が発見されました。このオミクロン株は変異箇所が多く、特に細胞への侵入しやすさ、免疫逃避に関連する部分に変異がみられることから、他の株よりも感染・伝播性が高い可能性があります。
- 世界中で感染例の報告が相次ぐ中、モデルナのCEOはオミクロン株に対してワクチンの効果が弱まる可能性を指摘。これによって、世界中で株価指数が急落しました。
- 今後、日経平均が下値を探る展開となった場合、25ヶ月移動平均線、上昇を3回止めた抵抗線、50日移動平均線が目途になると考えています。今のところ大規模なロックダウンが予定されていないことを踏まえると、25ヶ月移動平均線の2万5,331円で一度は反発するでしょう。
- アメリカの利上げや中国政府の規制強化など、相場を不安にさせるニュースが続いています。リスクマネジメントには気をつけましょう。
オミクロン株への懸念から日経平均は大幅下落
オミクロン株に対する新たな懸念
WHOはオミクロン株について調査を進めている
2021年11月24日に南アフリカで新型コロナウイルスの新しい変異株「B.1.1.529」(オミクロン株)が発見されました。WHOのプレスリリースによると、オミクロン株の感染力や毒性に関しては今のところ何も分かっておらず、調査・研究を進めている段階のようです。
報道で「毒性は弱いが、感染力が強い」可能性を指摘される
オミクロン株が存在する可能性を最初に指摘した南アフリカ共和国の医師、アンジェリク・クッツェー氏は、この変異株の患者が示す症状はデルタ変異株の患者に比べ軽度だと語った。同国の科学者らによると、オミクロンは他の変異株に比べ感染力が強い様子だが、既存のワクチンに重症化や死亡を防ぐ効果は十分にある可能性が高い。「【新型コロナ】香港が渡航制限強化、オミクロン株流入阻止で」ブルームバーグ、2021年11月30日
報道ベースでは変異株は従来のデルタに比べて「感染力が強い」とされています。幸いなことに毒性が弱く重症化しにくいとのことですが、イギリス、ドイツ、カナダなど世界各国で感染例が報告されており、感染拡大が懸念されています。
実際、南アフリカの新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数の推移をみると、死亡者数は低位で推移していますが、感染者数が11月に入ってから急増していることが分かります。
モデルナCEOがワクチンの効果が弱い可能性に言及し、新たな疑念が生じる。
米医薬品メーカー、モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」について、従来株に対するより既存ワクチンの効果がはるかに弱いとの見通しを示し、オミクロン株に特化したワクチンをまとまった規模で製造できるようになるには、数カ月を要するだろうと警告した。「モデルナCEO、オミクロンに既存ワクチン効果弱いと警告-報道」ブルームバーグ、2021年11月30日
感染拡大が危険視される中、モデルナのCEOはオミクロン株に対してワクチンの効果が弱まる可能性があると発言しました。
同氏は続けて、「既存のワクチンの効果と、オミクロン株が重症化を引き起こすかどうかを示唆するデータは2週間以内に入手できるだろう」とし、仮にオミクロン株に対する新たなワクチンを製造する場合は、さらに数か月の日数が必要になると警告しました。
ワクチンの効果に対する疑念が生じたこと、新たなワクチンが開発・製造されるまでに時間がかかることが明らかにされたため、世界中の株価指数が取引時間中に一斉に急落しました。
日経平均も大幅下落
日経平均はアメリカの早期利上げへの警戒感や中国政府の規制強化が嫌気されていたこともあり、ここ1~2か月は不安定な展開が続いていました。特に、オミクロンの症例が報告された11月24日以降は弱含み、日経平均は大きく下落しています。
本日は寄り付きから戻りを試す展開となりましたが、引け間際にモデルナCEOの発言が伝わると相場は一気に急落。最終的に日経平均は2万7821円(前日比-462円、-1.63%)で取引を終えました。
日経平均の下値の目途は?
日経平均は今月のローソク足(11月の月足)で短期移動平均線を割りました。まだ明確な下降トレンドではありませんが、2021年8月の直近安値である2万6,954円を下抜ければ月足ベースで戻りを試す展開になりそうです。
仮に下値を探る展開となった場合、25ヶ月移動平均線、上昇を3回止めた抵抗線、50日移動平均線が下値の目途になると考えています。
【予想される下値の目途】
支持線 | 価格帯 |
25ヶ月移動平均線 | 2万5,331円 |
抵抗線(2018年1月と10月、2019年12月) | 2万4,000円 |
50ヶ月移動平均線 | 2万3,652円 |
現在、オミクロン株にる感染拡大が懸念されていますが、アメリカのバイデン大統領は「パニックの原因にはならない」と声明を発表しています。感染者が出ている国でも大規模なロックダウンが予定されていないことを踏まえれば、25ヶ月移動平均線の2万5,331円で一度は反発するでしょう。
個人的には、南アフリカの感染者数がデルタ株ほど増加していないこと、オミクロン株に対応するワクチンが数か月で開発・製造できること、世界的にワクチン接種率が高まっていることから、そこまで心配する必要はないと考えています。
…とはいえ、今後の株価の動きには要警戒です。保有株を整理したり、投資するポジション数を減らしたり、リスクマネジメントに気をつけましょう。