誰でもわかる事業報告書|投資の知識

誰でもわかる事業報告書

誰でもわかる事業報告書|投資の知識

この記事のポイント
  • 事業報告書とは、会社法435条第2項によってすべての株式会社に作成が義務付けられている報告書のことで、株主総会の招集通知とともに株主に提供しなければならない書類の一つです。
  • 事業報告書には定まった形式がありませんが、日本経済団体連合会の「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)」という参考資料では、上場会社は事業報告書内に「株式会社の現況に関する事項」や「株式に関する事項」事項を記載するよう提案しています。

事業報告書とは?

事業報告書とは、会社法435条第2項によってすべての株式会社に作成が義務付けられている報告書のことで、株主総会の招集通知とともに株主に提供しなければならない書類の一つです。

事業報告書には定まった形式がありませんが*、日本経済団体連合会の「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)」という参考資料では、上場会社は事業報告書内に下記の事項を記載するよう提案しています。

*会社法施行規則第118条~133条では、会社をいくつかのパターンに分類し、各区分ごとに最低限開示すべき内容を定めています。ただし、事業報告書には具体的なひな形はなく、各企業の実情に合わせて作成されています。

【会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)2021年3月9日 一般社団法人 日本経済団体連合会 経済法規委員会企画部会より】

  1. 株式会社の現況に関する事項
  2. 株式に関する事項
  3. 新株予約権等に関する事項
  4. 会社役員に関する事項
  5. 会計監査人に関する事項
  6. 業務の適正を確保するための体制等の整備に関する事項
  7. 株式会社の支配に関する基本方針に関する事項
  8. 特定完全子会社に関する事項
  9. 親会社等との間の取引に関する事項
  10. 株式会社の状況に関する重要な事項

事業報告書・有価証券報告書・決算短信の違い

有価証券報告書とは、金融商品取引法第24条によって、上場会社や総額1億円以上の有価証券の募集・売出しを行う会社に提出が義務付けられている開示書類のことです。

一方、決算短信とは、決算内容の要点を直ちに開示することを目的として作成される資料のことです。法律で提出が義務付けられたものではなく、証券取引所のルール(上場規定404条)に則って作成、開示される資料になります。

事業報告書とこれらの開示書類は、法的根拠やその対象など多くの面で異なっています。主だった違いを下記の表にまとめましたので、ぜひご確認ください。

【事業報告書・有価証券報告書・決算短信の違い】

  事業報告書 有価証券報告書 決算短信
法的根拠 会社法 金融商品取引法 証券取引所の上場規則
作成義務 株式会社 上場会社・1億円以上の有価証券の募集・売出しを行う会社 上場会社
開示内容 年次報告(事業の状況) 企業情報(企業の概況や事業の状況等の詳細な情報) サマリー情報(経営成績・財政状態の概況など)
開示タイミング 株主総会まで(事業年度末日から3ヵ月以内) 事業年度終了後3ヶ月以内 決算期末後30日以内(遅くとも45日以内)
監査の有無 監査役による監査 公認会計士による監査 なし
開示先・提出先 株主 内閣総理大臣 投資家
閲覧場所 なし(株主に郵送されるため) EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム) TDnet(東京証券取引所が運営する適時開示情報伝達システム)

事業報告書の例:トヨタ自動車事業報告書(pp.20-42)

トヨタ自動車 事業報告書(第117回定時株主総会招集通知)

事業報告書の見方

事業報告書は株主総会で株主に報告するための書類なので、有価証券報告書や決算短信に比べて簡潔にまとめられています。したがって、有価証券報告書や決算発表説明会の資料を丹念に読み込む人にとっては、事業報告書を見る必要は基本的にはないと思っています。

ただ、そういった人は少数派だと思うので、事業報告書で確認すべきポイントを2つ挙げています。ほんの少し目を通すだけでも十分勉強になると思うので、確認する癖をつけましょう。

ポイント①:事業の概況を確認する

「事業報告書-事業の概況」-トヨタ自動車-第117回定時株主総会招集通知

「事業報告書 事業の概況」 トヨタ自動車-第117回定時株主総会招集通知より(画像クリックで拡大)

事業報告書は株主総会招集通知とともに株主に送付され、株主総会でその内容が株主に報告されます。そのため、事業報告書の事業概況は有価証券報告書や決算短信に比べて紙面が充実しており、読みやすくなっています。

その企業が注力している取組について画像付きで解説されたりしているので、さっと目を通すだけでも十分勉強になると思います。

ポイント②:対処すべき課題を確認する

「事業報告書 対処すべき課題」 トヨタ自動車 第117回定時株主総会招集通知

「事業報告書 対処すべき課題」 トヨタ自動車 第117回定時株主総会招集通知より

事業報告書を見る際は、対処すべき課題も併せて確認しましょう。有価証券報告書の「事業等のリスク」に比べて情報量は劣りますが、重要な情報だけが抜粋されているので読みやすくなっています。短時間で情報収集できてとても便利なので、こちらもチェックする癖をつけましょう。

まとめ

事業報告書とは、会社法435条第2項によってすべての株式会社に作成が義務付けられている報告書のことで、株主総会の招集通知とともに株主に提供しなければならない書類の一つです。

事業報告書は株主総会で株主に報告するための書類なので、有価証券報告書や決算短信に比べて簡潔にまとめられています。したがって、有価証券報告書や決算発表説明会の資料を丹念に読み込む人にとっては、事業報告書を見る必要はないでしょう。

ただ、見逃していた情報を見つけたり、思わぬことに気づいたりすることもあるので、時間のある時に目を通した方が良いと思います。

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