インデックス投資の教典「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」

ウォール街のランダム・ウォーカー

インデックス投資の教典「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」

この記事のポイント
  • 「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」は、効率的市場仮説の権威であるバートン・マルキールの著書です。バードン・マルキールは株価がランダム・ウォークするため、ファンダメンタル分析やテクニカル分析といった巷の株価予想には意味がないと主張しています。
  • 現在、インデックス投資は一般的なものになっています。ただ、その理論的な背景を含めて理解できている人はあまり多くありません。この本はインデックス投資を巡る議論を理解するうえで最良の1冊です。是非ご一読ください!

「ウォール街のランダム・ウォーカー」のハイライト

ランダム・ウォークというのは、「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」ということを意味する言葉である。これを株式市場に当てはめると、株価が短期的にどの方向に変化するかを予測するのは、難しいということだ。言い換えれば、専門の投資顧問サービスや証券アナリストの収益予想、複雑なチャートパターン分析などを用いても、無駄ということである。No.207-214(Amazon Kindle 位置情報)

「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」は、効率的市場仮説の権威であるバートン・マルキールの著書です。効率的市場仮説の原理となるランダム・ウォーク理論によれば、過去の株価の動きから、将来の株価を予測することは不可能であると規定しています。

したがって、このランダム・ウォーク理論を突き詰めて考えていけば、誰も将来の株価が正確に予想できない以上、投資のプロが提供する情報サービスやアナリストレポートには何の意味もないということになります。

しかし、チャート分析が理論的におかしい点はいっぱいある。まず第一に、チャーティストはトレンドが形成された後にしか売買することはしないし、またそのトレンドが崩れた後でしか売りに出ないという点に注意すべきだろう。(略)第二に指摘できるのは、この手の手法は、結局のところ自己矛盾に陥るものだということである。いかなる手法にせよ、同じ手法を用いる人々の数が多くなればなるほど、その有効性は低くなっていく。No.1951

チャーティストに代表されるテクニカル分析は、2つの点で理論的な矛盾を孕んでいると著者は主張しています。まず、①チャーティストはトレンドが形成されてからしか売買できないため、チャートパターンが形成されるまでに、利益を出すチャンスを失うことになります。

また、②多くの人が同じ手法を用いて同じ分析を行えば、どんなシグナルに基づいても利益を出すことはできません。株式市場は効率的な市場メカニズムを有しているので、もし一部の人々が株価が2倍になると確実に知っているのなら、株価は明日ではなく今日ただちに株価は2倍になってしまいます。

まず第一は、情報や分析が必ずしも正しいとは限らないという点である。第二に、アナリストが「価値」の推定を間違う可能性が指摘できる。そして第三に、市場も必ずしも自分の「間違い」を速やかに訂正するとは限らないこと、すなわち株価が必ずしも本来あるべき値段にサヤ寄せされないことがばしばあることも、忘れてはならない。No.2198-2204

理論的に株式の本質的価値は、将来のすべての配当額を割り引いた、現在価値の総額に等しくなります。株式の本質的価値が計算で求められる以上、一見するとファンダメンタル分析は正しいもののように感じます。しかし、著者は3つの点でファンダメンタル分析の有効性に疑問を呈しています。

まず、アナリストは豊富な情報を手に入れることができますが、その情報がどれだけの価値を持つかわかりません。ある時は正しい情報のおかげで儲かったとしても、次の時には損失を被る可能性があります。

次に、仮に手に入れた情報が正しくても、将来の価値評価には困難が伴います。当然、推定には誤差が生じ、長期的な価値を推定しようとすればするほど、その誤差はどんどん拡大していきます。

そして、正しく将来価値を推定できても、株価が実際に本質的価値に収束するか不透明である、という問題が残っています。株価は市場センチメントによって変わります。バブルになれば本質的価値よりも過大に、不況になれば本質的価値よりも過小に評価される可能性があります。

ここで効率的市場理論と呼ばれるものについてまとめておこう。まず、狭義(ウィーク型)の理論では、過去の株価に基づくテクニカル分析が投資家にとって何の役にも立たないものとして否定される。株価は、ある期間から次の期間にかけてランダム・ウォークに近い動きを示すのである。そして、広義(セミストロングおよびストロング型)の理論では、ファンダメンタル分析を持た無意味だということになる。企業の利益や配当の期待成長率に関する情報や、その他の情報でファンダメンタル・アナリストの分析対象となるようなものはすべて、株価に適正に織り込まれているからだ。No.3333

効率的市場仮説は、ウィーク型、セミストロング型、ストロング型の3つに分類されます。

ウィーク型とは、過去の株価変動の記録を分析しても有用な情報は得られず、バイ・アンド・ホールド戦略を継続的に上回るパフォーマンスをあげられないことを意味しています。

セミストロング型は企業についての公開情報を基に銘柄選択を行っても他人より優れたパフォーマンスは得られないことを表し、ストロング型はインサイダー情報といった未公表の情報を用いても超過リターンを得られないことを意味しています。

たとえ市場がそれほど効率的でないとしても、そのリターンは市場平均であることは変わらない。したがって、時価総額加重の指数と異なる組み入れ比率で運用するすべてのインデックス・ファンドは、全体としてみれば、長期平均的には超過リターンを生まない「ゼロ・サム」ゲームを演じているに過ぎないのだ。すべての銘柄の株式は、市場参加者の誰かが保有しているのだから。No.5032

誰かが保有するある投資信託が市場平均を上回るリターンをあげたとしても、その反対には平均を下回るリターンに終わった投資家が存在することになります。市場平均を上回るリターンをあげるには積極的に運用しなければならないため、運用コストは高くなり、結果的に運用コストを含めたトータルリターンは限りなく市場平均よりも劣るものになってしまいます。

したがって、著者は広く分散投資されたインデックスファンドを長期保有することが最良の投資法であると述べています。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」のおすすめポイント

「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理」は、効率的市場仮説の権威であるバートン・マルキールの著書です。バードン・マルキールは株価がランダム・ウォークするため、ファンダメンタル分析やテクニカル分析といった巷の株価予想には意味がないと主張しています。

例えば、チャーティストに代表されるテクニカル分析は、多数の人が同じ手法を使えば有効性が失われるという自己矛盾を孕んでいます。また、ファンダメンタル分析も手に入る情報が正しいか分からず、たとえ正しい情報が手に入っても将来の業績予測には困難が伴います。

このように、市場が効率的である以上、どんな資産運用のプロも市場平均リターンを上回ることができないため、広く分散投資されたインデックスファンドを長期保有することが最良の投資法であると述べています。

現在、インデックス投資は一般的なものになっています。ただ、その理論的な背景を含めて理解できている人はあまり多くありません。

そもそも株価の本質的な価値をどのように計算するのか、バブルがどのように起こり、効率的市場仮説に関する経済学的な論争がどのような過程を経たのかなど、この本はインデックス投資を巡る議論を理解するうえで最良の1冊となっています。是非ご一読ください!

「ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者

ウォール街のランダム・ウォーカーの著者はバートン・マルキールです。バートンマルキールは1932年にボストンのマサチューセッツに生まれ、ハーバード大学で学士号とMBA(経営学修士号)を取得しました。

その後、アメリカ陸軍財務支部(the United States Army Finance Corps)、投資会社のスミス・バーニー(smith, barney & co)でキャリアを積み、1964年にプリンストン大学で経済学博士号を取得して同大学の教員に転じます。

プリンストン大学では主に金融関連の研究に従事し、国際通貨制度、オプション市場、中国経済など多岐にわたるテーマで多数の著書や論説を発表する一方で、プリンストン大学の経済学部長、大統領経済諮問委員会委員、アメリカン証券取引所理事などの要職を歴任しています。

現在は、世界的な投信会社のバンガードグループの社外取締役やロボアドバイザーのウェルスフロント者の最高投資責任者(Chief Investment Officer)として活躍しています。

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