誰でもわかるキャッシュ・フロー分析｜投資の知識

誰でもわかるキャッシュ・フロー分析｜投資の知識

キャッシュ・フロー分析とは？

キャッシュ・フロー分析は①収益性分析、②安全性分析、③配当性向の３つに分けられます。①収益性分析には、売上高営業キャッシュ・フロー比率が用いられます。また、②安全性分析には、営業キャッシュ・フロー有利子負債比率、営業キャッシュフロー流動負債比率といった指標が使用されます。③配当性向はキャッシュ・フロー配当性向を調べることで分析できます。

キャッシュ・フローは現金の流れを表すため、最も誤魔化しのきかない数字です。そのため、キャッシュ・フロー計算書と他の決算書類を組み合わせて分析を行うことで、企業の実態を正確に把握することができます。特に、現金の流れを調べることで企業が粉飾に手を染めていないか、見極めることもできます。

①収益性分析―売上高営業キャッシュ・フロー分析―

売上高営業キャッシュ・フローは、売上高に占める営業キャッシュ・フローの割合のことで、企業が一定期間の売上からどれだけの現金を生み出すことができたかを示す指標です。

売上高営業キャッシュ・フローの数値が高ければ高いほど、売上高からより多くの現金を生み出していることを意味しています。こうした企業は営業活動の過程で現金を手に入れやすいため、借入金に頼らずに運転資金を確保することができます。

また、この数値が高いということは売上高の計上時に、現金のやり取りが発生している可能性が高いことを意味しています。粉飾を行う企業は、架空の売上高を計上し、その分だけ売上債権を水増しするという手口をよく使います。売上高営業キャッシュ・フローを調べることで売上の資金的な裏付けを確認できるため、粉飾を行っている企業を見抜くことができます。

【計算式】

$$売上高営業キャッシュ・フロー比率（％）＝営業活動によるCF÷売上高×100$$

②-1 安全性分析―営業キャッシュ・フロー有利子負債比率―

営業キャッシュ・フロー有利子負債比率は、事業活動から得られたお金と有利子負債額を調べることで、その企業の債務返済能力を表す指標です。ここでいう有利子負債には短期借入金、長期借入金、社債やリース債務などが含まれています。

この数値が高ければ高いほど、少ない有利子負債から多くのキャッシュ・フローを獲得できていることを表すため、その企業の返済能力が高い（健全な企業である）ということを意味します。

【計算式】

$$営業キャッシュ・フロー有利子負債比率（％）＝営業活動によるCF÷有利子負債×100$$

②-2 安全性分析―営業キャッシュ・フロー流動負債比率―

営業キャッシュ・フロー流動負債比率は、事業活動によって得られたお金と流動負債額を比較することで、企業の債務返済能力を表す指標です。分母に有利子負債ではなく流動負債を用いることで、より広い意味での支払能力を評価することができます。

この数値が高ければ高いほど、少ない流動負債から多くのキャッシュ・フローを獲得できていることを表すため、その企業の返済能力が高い（健全な企業である）ことを意味します。

【計算式】

$$営業キャッシュ・フロー流動負債比率（％）＝営業活動によるCF÷流動負債×100$$

③配当性向

配当性向（キャッシュ・フロー配当性向）は企業が事業活動を通して得たキャッシュ・フローのうち、どれだけ株主への配当に充てたかを示す指標です。この数値が小さければ小さいほど、獲得した現金のうち配当として流出したお金が少ないことになるため、その企業の安全性が高いことを示しています。

一方で、この数字が大きいということは、企業が獲得した現金の大部分を配当に回されていることを示しています。企業の手許現金が少なくなれば倒産する危険性が高まるため、いずれ配当を減らすしかありません。キャッシュ・フロー配当性向が高止まりしている企業には注意が必要です。

【計算式】

$$配当性向（％）＝配当額÷営業活動によるCF×100$$