目次
誰でもわかる業種と銘柄|投資の知識
- 企業が属している業界別に分類したものを業種と呼びます。業種は、証券コード協議会という組織によって、各企業の売上高を基準にして33業種にグループ分けされます。
- 銘柄とは、上場している企業や金融商品ごとについている名称のことです。各銘柄ごとに証券コードという4桁の番号が割り当てられており、株式の売買注文の際に用いられたりします。
- 業種別チャートを確認することで、景気の波に左右されずその時々で勢いのある企業に投資することができます。
- PERやPBRといった株価指標は、業種によって数値が大きく変わります。単にPERやPBRが安いからといって簡単に投資してしまうと、思わぬ痛手を負いかねません。業種の特徴や各企業の取り組みをしっかりと調査する必要があります。
業種とは?
企業が属している業界別に分類したものを業種と呼びます。業種は、証券コード協議会という組織によって、各企業の売上高を基準にして33業種にグループ分けされます。
なお、このグループ分けと同時に、証券コードという4桁の番号も割り振られます。証券コードは各企業1社ずつに個別の番号が割り当てられ、株式の売買注文の際に用いられます。以前は業種ごとに証券コードの範囲が定められていましたが、現在は銘柄数が増え、業態変更する企業も多くなったため、業種と証券コードの関連性はなくなっています。
【業種別分類項目】*業種は大分類・中分類・小分類の3つに分類されていますが、小分類を割愛しています。
大分類 | 中分類 | 大分類 | 中分類 | 大分類 | 中分類 |
水産・農林 | 水産・農林業 | 製造業 | 鉄鋼 | 運輸・情報通信業 | 空運業 |
鉱業 | 鉱業 | 非鉄金属 | 倉庫・運輸関連業 | ||
建設業 | 建設業 | 金属製品 | 情報・通信業 | ||
製造業 | 食料品 | 機械 | 商業 | 卸売業 | |
繊維製品 | 電気機器 | 小売業 | |||
パルプ・紙 | 輸送用機器 | 金融・保険業 | 銀行業 | ||
化学 | 精密機器 | 証券・商品先物取引業 | |||
医薬品 | その他製品 | 保険業 | |||
石油・石炭製品 | 電気・ガス業 | 電気・ガス業 | その他金融業 | ||
ゴム製品 | 運輸・情報通信業 | 陸運業 | 不動産業 | 不動産業 | |
ガラス・土石製品 | 海運業 | サービス業 | サービス業 |
銘柄とは?
銘柄とは、上場している企業や金融商品ごとについている名称のことです。各銘柄ごとに証券コードという4桁の番号が割り当てられており、長い名称を打ち込まなくても証券コードを入力するだけで銘柄情報を呼び出したり、売買注文を出すことができます。
業種や銘柄によって投資手法は大きく変わる
景気の影響は業種によって異なる
株価は景気循環の影響を受けますが、すべての企業が同じように影響を受けるわけではありません。不景気のときにも好調な企業は存在し、好景気のときでもパッとしない企業は数多くあります。
これは業種別チャートに特に顕著に現れます。例えば、食料品業の会社は景気の影響を受けにくく、不景気のときでも業績は安定しています。業種別チャートを確認することで、景気の波に左右されずその時々で勢いのある企業に投資することができます。
「http://www.stock-chart.net/」というサイトでは、33業種すべての業種別チャートが一覧表示されています。業種別チャートの確認に重宝するサイトです。
業種別PER・PBRに注意
PERやPBRといった株価指標は、業種によって数値が大きく変わります。例えば、2021年5月末の全企業のPERは25.6倍、PBRは1.3倍となっていますが、銀行業のPERは9.9倍、PBRは0.3倍と極めて低い数値になっています。
銀行業は、異業種からの参入やフィンテックなど新しい技術による事業環境の変化から、経営状態が徐々に悪化しています。とりわけ、地方銀行は存続の危機に立たされており、見通しが暗いために他業種に比べて割安な状態で取引されています。
このように、業種によって評価のされ方は大きく異なります。単にPERやPBRが安いからといって簡単に投資してしまうと、思わぬ痛手を負いかねません。業種の特徴や各企業の取り組みをしっかりと調査する必要があります。
同じ業種でも個別銘柄ごとにPERやPBRは大きく異なる
同じ業種でも個別の銘柄ごとに評価は大きく異なります。
例えば、先に取り上げた銀行業の中でもセブン銀行はPER14.8倍、PBR1.25倍とひときわ高く評価されています。それは、コンビニATMをはじめとするATMネットワークから収益を上げるビジネスモデルが優れているからです。
現在では電子決済が普及しつつありますが、自然災害の多い日本では現金を使用する場面も多く残っています。銀行は各行・各支店それぞれにATMを設置していますが、商業施設やコンビニなど、利用者が必要とする場所にATMを設置するのは大変です。
そこで、セブン銀行が各銀行に代わって様々な場所にATMを設置・管理を行い、セブン銀行ATMを利用する度に手数料を徴収しています。こうすることで、各銀行はATMの管理コストが節約でき、商業施設にとっても複数のATMを設置しなくて済みます。
また、全国どこでもセブン銀行のATMが利用できる利便性から、口座開設者数や利用者もますます増え、さらに収益性が高まっていきます。
こうしたビジネスモデルはセブン銀行設立当初こそ懐疑的な目で見られていましたが、現在は一つの成功例として認知されています。親会社のセブンアンドアイホールディングスとの結びつきも含め、ビジネスモデルの優位性が株式市場から高い評価を受ける要因となっています。
このように、銀行業という同じ業種の中にあっても、銘柄ごとに異なる評価をされる場合があります。一概に「この業種はダメだから…」と思わずに、各銘柄をしっかり分析することで思わぬ発見があるかもしれません。