資産売却が進むも、恒大集団株は売買停止措置へ

資産売却が進むも、恒大集団株は売買停止措置へ

この記事のポイント
  • 恒大集団は9月29日に保有する盛京銀行の株式17億5,000万株を、約1,730億円で売却することで合意。また、10月4日には不動産管理子会社である恒大物業集団の株式51%を、香港上場の不動産会社の合生創展集団に50億ドル超で売却すると報道される。
  • 恒大物業集団は中国の不動産管理会社の中でも上位10社に入っており、総資産227億元(約3,859億円)、総負債107億元(約1,819億円)を抱える大手企業ですが、高くても売却金額は5,500億円にすぎません。売却益も最高でおよそ4,500億円でしょう。
  • 恒大集団は2021年6月末時点で、1兆9,665億元(約33兆4,305億円)の負債を抱えています。借入金利は9%に達しており、今後1年以内に2,400億元(約4兆800億円)の借入金の返済が必要になります。やはり倒産は不可避です。

中国政府の意向で恒大集団の資産売却が加速

 中国政府は、中国万科企業など政府系企業や不動産開発会社に対し、経営難に陥っている中国恒大集団の資産の一部を購入するよう要請している。(中略)ただ当局は、資産購入を通じて、中国恒大が破綻した場合に起こりうる社会的不安を解消、または少なくとも緩和することを期待しているという。ロイター「中国当局、政府系企業などに恒大集団の資産購入を要請=関係筋」2021年9月28日

中国政府の意向を受けて、恒大集団の資産売却が進んでいます。

恒大集団は9月29日に保有する盛京銀行の株式17億5,000万株を、約1,730億円で売却することで合意。また、10月4日には不動産管理子会社である恒大物業集団の株式51%を、香港上場の不動産会社の合生創展集団に50億ドル超で売却すると発表しています。

中国政府としては恒大集団を救済しない方針ですが、このまま倒産されると被害が大きいため、資産売却による同社の自発的な債務整理を望んでいます。今回の件も、政府の意向に忖度した結果だと考えられます。

10月4日から恒大集団と恒大物業集団の株が売買停止措置となっています。続報がないためどうなるかは分かりませんが、今のところ判明している情報を記事にしたいと思います。

今回売却された恒大物業集団とは?

「恒大物業集団の事業展開エリア」

「恒大物業集団の事業展開エリア」恒大集団2021年中間期レポートより(クリックで拡大)

今回売却された恒大物業集団(エバーグランデ・プロパティ・サービシズ・グループ)は、2020年12月末時点で恒大集団が株式の60.84%を保有する、同社傘下の不動産管理会社です。不動産管理業のほかに、緑化サービスやセキュリティーサービスなどを提供しています。

「恒大物業集団の損益計算書」

「恒大物業集団の損益計算書」恒台物量集団2021年12月期中間決算より(クリックで拡大)

恒大物業集団の2020年12月期の売上高は105億元(約1,785億円)、純利益は26億元(約442億円)となっています。2021年12月期上半期の売上高は78億元(約1,326億元)、純利益は19億元(約323億円)となっており、増収増益基調であることや純利益率が20%超もあることから、業績は好調のようです。

「恒大物業集団の貸借対照表(純資産の部は省略)」

「恒大物業集団の貸借対照表(純資産の部は省略)」恒大物業集団2021年12月期中間決算より(クリックで拡大)

また、恒大物業集団は中国の不動産管理会社の中でも上位10社に入っており、総資産227億元(約3,859億円)、総負債107億元(約1,819億円)を抱える大手企業となっています。

なお、同社の発行済株式総数は10,810,811千株で、売買停止前の株価は5.12香港ドルとなっています。恒大物業集団の時価総額の51%は282億香港ドル(約3948億円)に相当*し、純資産の51%が61.2億元(約1,040億円)なので、恒大集団は今回の資産売却によって単純計算で3,000億円近い売却益を計上すると予想されます。

*具体的な買収価格が価格が公表されていませんが、一部報道で5,500億円超の買収になる可能性があると伝えられています。ニュース通りであれば、売却益はおよそ4,500億円ということになります。

やはり恒大集団の破綻は回避できない

「恒大集団の資産と負債の内訳」

「恒大集団の資産と負債の内訳」恒大集団2021年12月期中間決算より(クリックで拡大)

親会社である恒大集団は2021年6月末時点で、2兆3,775億元(約40兆4,175億円)の資産を所有し、1兆9,665億元(約33兆4,305億円)の負債を抱えています。

資産の多くが建設中の不動産や不動産の使用権となっており、自由に使える手許現金はわずか867億元(約1兆4,739億円)しかありません。さらに、借入金の平均金利が9%に達しているため、資金繰りが困難な状態となっています。

「恒大集団の返済期日別の負債額」

「恒大集団の返済期日別の負債額」2021年12月期中間決算より(クリックで拡大)

恒大集団は今後1年以内に2,400億元(約4兆800億円)の借入金の返済が必要になります。仮に、恒大物業の51%の株式を売却したとしても、すべての債務を完済できるわけではありません。多少の延命はできるかもしれませんが、やはり倒産は不可避でしょう。

参考ニュース

配信元 タイトル 配信日
ブルームバーグ 「中国恒大の株式、香港市場で売買停止-部門の過半数株売却報道も」 2021年10月4日
ブルームバーグ 「中国恒大の不動産管理部門、過半数株を合生創展が取得へ-報道」 2021年10月4日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA