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日鉄物産(9810):今後の株価はどう動く?|注目銘柄分析
- 日鉄物産(9810)が2022年3月期第1四半期決算を発表しました。開示された業績は売上高388,306百万円(前期比+31.8%)、経常利益9,944百万円(前期比+112.3%)、当期純利益6,656百万円(前期比+140.8%)という素晴らしい内容でした。
- 通期業績は当期純利益をこれまでの22,000百万円の予想から、26,000百万円(業績予想比+18.2%)へ大幅に上方修正。また、通期配当予想も前回の220円の予想から、260円へ40円の増配を発表。
- 通期業績予想が公表されたことから、新しい業績予想と配当予想に基づいて株式指標を計算(株価5,000円と仮定)すると、PERは6.2倍、PBRは0.59倍と計算できます。したがって、10%~20%程度の株価の上昇(5,500円~6,000円)が期待できると考えています。
- テクニカル的には52週新最高値を更新していることから目先の天井はありませんが、おおよその目安として2020年の年初に記録した5,300円付近(青い蛍光線)が抵抗線になると予想しています。
2022年3月期第1四半期の決算はどうだった?
2022年3月第1四半期は活況な鉄鋼市況を反映して絶好調
8月2日、日鉄物産(9810)が2022年3月期第1四半期決算を発表しました。開示された業績は売上高388,306百万円(前期比+31.8%)、経常利益9,944百万円(前期比+112.3%)、当期純利益6,656百万円(前期比+140.8%)という素晴らしい内容でした。
通期業績予想の上方修正と増配も発表される
日鉄物産は第1四半期の決算発表と同時に、通期業績予想の上方修正と配当予想額の増額を公表しています。
通期業績は当期純利益をこれまでの22,000百万円の予想から、26,000百万円(業績予想比+18.2%)へ大幅に上方修正を行っています。これによって一株当たり純利益も682円04銭から806円05銭へと大きく増えることになりました。
また、通期配当予想も前回の220円の予想から、260円へ40円の増配を発表しています。株価を5,000円と仮定しても配当利回りは5%以上となるので、かなり魅力的な配当水準と言えます。
今後の業績は?
生産能力の削減で鉄鋼価格は高水準で推移すると予想
今回の決算はほぼ前回の記事「日鉄物産(9810):鉄鋼価格の高騰と中国の粗鋼減産政策の恩恵を受けて株価は上昇?」通り、活況な鉄鋼市況に支えられてのものでした。
世界各国で新型コロナウイルスの感染拡大への経済対策として大規模なインフラ投資を計画しています。一方で、国内の鉄鋼メーカーは設備の老朽化を理由に工場閉鎖を決定しており、世界の粗鋼生産量の半分を占める中国も環境対策を理由に過剰生産能力の削減を進めています。
旺盛な需要に対して供給量は制限されており、需給関係から鉄鋼価格は今後も高水準で推移すると予想しています。
今後の株価はどう動く?
日鉄物産の理論株価は?
日鉄物産の過去5年の平均PERは7.7倍、平均PBRは0.69倍となっています。今回の決算で通期業績予想が公表されたことから、新しい業績予想と配当予想に基づいて株式指標を計算(株価5,000円と仮定)すると、PERは6.2倍、PBRは0.59倍と計算できます。
したがって、10%~20%程度の株価の上昇(5,500円~6,000円)が期待できると考えています。
【PER計算式】
$$株価5000円÷一株当たり利益額806.05円$$
【PBR計算式】
$$株価5000円÷(期首の一株当たり純資産額7922.37円+一株当たり利益額806.05円-予想配当額260円)$$
日鉄物産のテクニカル分析
日鉄物産は好調な鉄鋼市場が好感されて、52週新高値を更新しています。2022年3月期第1四半期の決算内容も素晴らしく、通期業績予想の上方修正と増配も併せて公表されたことから株価は続伸すると考えています。
52週新最高値を更新していることから目先の天井はありませんが、おおよその目安として2020年の年初に記録した5,300円付近(青い蛍光線)が抵抗線になると予想しています。
PERやPBRといった指標を踏まえると5,300円でも少し割安な水準ですが、この価格までは大きな抵抗もなく上昇すると予想できるので、短期的な利益目標としては最適だと思います。なお、鉄鋼市況は長期的に高水準で推移するのではないかと考えています。配当利回りも高いので、中・長期的にもう少し高値で利益確定を狙うのも十分ありだと思います。