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貸倒引当金繰入額はなお高水準も、業績は落ち着きを取り戻すcasa(7196)|注目銘柄分析
- casa(7196)は家賃保証サービスを提供する会社です。家賃保証とは、家賃の滞納が発生した際に、入居者に代わって家賃保証会社が債務(家賃)を立て替えるサービスです。
- 2021年6月8日にcasaが2022年1月期第一四半期の決算発表を行いました。売上高は2,657百万円(前期比+6.2%)、経常利益は161百万円(黒字転換)、純利益は94百万円(黒字転換)と、少し物足りないものの、まずまずのスタートとなりました。
- 22年第一四半期は前四半期期に比べて貸倒引当金繰入額が減少したことから、黒字転換を果たしました。ただし、21年4Qから貸倒引当金の純繰入額が依然として高水準を維持しており、予断を有さない状況です。
- 今回の業績発表で黒字転換を果たしたものの、通期の業績予想に対する進捗率は低いままです。もうしばらくはこのあたりの水準で揉み合いそうです。
- モルガン・スタンレーMUFGはまだ7万株近い空売りポジションを保有しています。機関投資家がどの段階でポジションを解消してくるか分かりませんが、一気に買いポジションを作ると、売り崩しの被害にあう危険があるので注意が必要です。
casa(7196)はどんな会社?
casa(7196)は家賃保証サービスを提供する会社です。家賃保証とは、家賃の滞納が発生した際に、入居者に代わって家賃保証会社が債務(家賃)を立て替えるサービスです。
近年、核家族化や高齢化の影響で、連帯保証人を用意できる人が減っています。また、身寄りのない高齢者や外国人など、連帯保証人を頼める人がいない状況も増えてきており、家賃保証サービスの需要が高まっていています。
今回の決算発表の内容は?
22年1月期決算発表内容
2021年6月8日にcasaが2022年1月期第一四半期の決算発表を行いました。売上高は2,657百万円(前期比+6.2%)、経常利益は161百万円(黒字転換)、純利益は94百万円(黒字転換)と、少し物足りないものの、まずまずのスタートとなりました。
貸倒引当金繰入額が対前期で減少も、なお高水準で推移
casaの四半期業績をみると、新規契約数や保有契約数が伸長したことで、売上高がきれいな右肩上がりになっていることが分かります。一方で、経常利益や純利益は各四半期によってバラつきがあります。これは主に貸倒引当金を計上したことによって生じています。
画像をみればわかりますが貸倒引当金繰入額(計上額)が多くなればなるほど、利益が減少していることが分かります。22年第一四半期は前四半期期に比べて貸倒引当金繰入額が減少したことから、黒字転換を果たしました。
ただし、21年4Qから貸倒引当金の純繰入額が依然として高水準を維持しており、予断を有さない状況です。経済情勢が困窮して家賃滞納が増えれば、今後の業績が悪化するかもしれません。
casaの今後の業績は?
casaは保守的な会計処理を計上しているので大きな心配は不要
casaは家賃保証会社の中で最も保守的な会計処理を行っています。例えば、ジェイリース(7187)やあんしん保証(7183)と比較すると、求償債権残高(家賃滞納額の合計残高)に対する貸倒引当金の計上率が高くなっています。
将来発生する可能性が高い損失に備えて、あらかじめ費用計上して準備しているため、casaの業績が大きく悪化することはないと考えています。
通期業績に対する進捗率は低いが、すべては今後の経済情勢次第
casaの通期業績予想は、売上高10,323百万円、経常利益850百万円、純利益489百万円となっています。各進捗率はそれぞれ売上高25.7%、経常利益18.9%、純利益19.2%であり、特に利益面の進捗率が低くなっています。
総務省統計局の労働力調査をみると、就業者数が6,657万人に達し、13か月ぶりに増加に転じています。依然として失業者数は増えていますが、明るい兆しがみえつつあります。失業者が減って家賃滞納が少なくなれば、貸倒引当金の繰入額が減り、業績は大きく改善します。
したがって、casaの企業努力はもちろん必要ですが、すべては経済情勢が好転するかにかかっています。ワクチン接種率の動向や政府の経済対策を注視しましょう。
テクニカル分析
casaは底値固めの段階
casaの日足チャートを見ると、まだ下降トレンドにあることがわかります。しかし、水色の抵抗線を突破しかかっており、上昇を試していることが分かります。
今回の業績発表で黒字転換を果たしたものの、通期の業績予想に対する進捗率は低いままです。市場がどのような判断を下すのか分かりませんが、緑の抵抗線を突破することはなさそうです。もうしばらくはこのあたりの水準で揉み合いそうです。
機関投資家の動向に注意
casaは機関投資家の売り崩しにあっています。JPモルガンは大きなポジションを解消しましたが、モルガン・スタンレーMUFGはまだ7万株近い空売りポジションを保有しています。機関投資家がどの段階でポジションを解消してくるか分かりませんが、一気に買いポジションを作ると、売り崩しの被害にあう危険があります。
今回の決算を受けて機関投資家がさらなる空売りポジションを作ることは考えにくいですが、高値で売り崩しながら少しづつポジションの解消を図るのではないかと思います。こうしたことからも、揉み合う展開になりやすいと思っています。