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みんなで大家さんに行政処分!譲渡契約の停止も発表!!
- みんなで大家さんは2024年6月17日に東京都から行政処分を受けたことを発表しました。行政処分の内容は「不動産特定共同事業に係る業務の一部停止30日間及び指示」となっており、今回の処分を受けて商品の販売を手掛ける「みんなで大家さん販売株式会社」は1カ月間出資金を集めたり、商品を販売することができなくなりました。
- また、みんなで大家さんは2024年6月18日に「譲渡契約のお知らせ」と題するリリースを公表しました。その中で、行政処分を受けたことから「契約上の地位の譲渡のお申出(売却の申し出)」が多発していることを報告、「事業参加者様の保護を第一に、重要事項説明書記載のとおり、譲渡契約の締結を一時的に停止(みんなで大家さんの解約申し込みを受け付けない)」するとしています。これによって、事実上みんなで大家さんの投資家は解約ができなくなってしまい、利払いや元本の返済が実施されるか不透明な状況となっています。
- 個人的な考えですが、みんなで大家さんは詐欺で、倒産する可能性が高いと思っています。行政処分が下され、譲渡契約の停止が公表された以上、何もできることはありません。投資家の方が少しでも弁済を受けられるよう願っています。
みんなで大家さんに行政処分!
「みんなで大家さんに(不動産特定共同事業者)に対する行政処分について(2024年6月17日)」東京都住宅政策本部民間住宅部不動産業課資料よりみんなで大家さんは2024年6月17日に東京都から行政処分を受けたことを発表しました。行政処分の内容は「不動産特定共同事業に係る業務の一部停止30日間及び指示」となっており、今回の処分を受けて商品の販売を手掛ける「みんなで大家さん販売株式会社」は1カ月間出資金を集めたり、商品を販売することができなくなりました。
処分理由については、①成田16号商品において、成田市の開発許可の対象ではない土地を対象不動産に含んでいるにもかかわらず、対象不動産について成田市開発許可により開発許可済みであると契約成立前交付書面及び契約成立時交付書面に事実と異なる記載をしたことが指摘されています。続いて、②共生バンク株式会社が成田PJの計画見直しを行った際に、共生バンク株式会社の事業プランの変更が、土地の資産性に大きく影響を及ぼす可能性のある重要な事項であると認識していたが、実際の説明は令和5年5月19日付け共生バンクグループ「共生日本ゲートウェイ成田プロジェクトについての近況報告」を送付して説明するにとどまっており、事業プラン変更後の対象不動産の資産価値、将来的な収益性や実現可能性への影響といった、事業参加者等が投資判断を行う上で重要となる事項が何ら説明されておらず、土地の資産性に大きく影響を及ぼすことの説明としては、十分な説明を果たしているとは認め難いこと、③成田商品に係る契約成立前交付書面において、「宅地造成工事完了時における形状・構造等」について、十分記載しておらず、少なくとも対象不動産の構造についての記載が不足していると認められることも理由として挙げられています。
①については、基となっている成田市の都市開発計画(小菅地区地区計画の原案)で、開発予定地の中に公園、調整池(雨水の流出を抑え、洪水に備える施設)、区画道路を設置することが義務付けられていました。処分理由に「成田市の開発許可の対象ではない土地を対象不動産に含んでいる」と書いてあるので、シリーズ成田16号の投資対象に公園や調整池に係る土地が含まれていたのだと思われます。開発許可が下りていない不動産を勝手に商品化して販売したのですがら、行政処分は当然と言えます。
また、②、③については処分内容のプロジェクトが何度も遅延と計画変更を繰り返しているので、その説明(②「事業プラン変更後の対象不動産の資産価値、将来的な収益性や実現可能性への影響」、③「宅地造成工事完了時における形状・構造等」)を投資家に対してしっかりと行う必要があります。それをなおざりにしたのなら、行政処分が下っても不思議ではありません。今回の行政処分はごく自然なものであると言えます。
なお、問題となっている「成田プロジェクト」は、成田国際空港からほど近い場所に日本のビジネスシーズや日本の魅力・文化を発信する複合施設を作ろうという計画で、当初は全国の特産品が揃う日本最大の特産品市場「にっぽんもーる」やジャパン・ブランドの世界進出支援のためのビジネスゾーン「にっぽんBizもーる」等の施設を建設する予定でした。しかし、2023年5月19日に「昨今のコロナ禍による経済の停滞、及びウクライナ紛争下における不安定な経済環境」を理由に、突如として開業時期の延期(2026年年度末)とプロジェクトの全面的な見直しを発表しました。
その後、2023年8月3日に「造成工事における工程調整に関するお知らせ」と題して、事業計画の更なる深化に伴う計画の見直しと造成工事を一時的に停止することを発表。2024年2月27日に「造成工事の再開に関するお知らせ」を公表しますが、建築資材調達が困難との理由で建築工事の着工予定と開業予定を再度未定としました。そして、2024年5月9日に「『GATEWAY NARITA』マスタープランを公開」というリリースを発表。グローバルスペックアリーナ「デジドーム」をランドマークに、フードテック企業のイノベーションセンターやテストマーケティングレストラン、配信を目的としたキッチンスタジアム、国際会議場等で構成されるR&D複合施設の開業を目指すとしています。最終的な開業時期は2027年春とされていますが、開示のたびに開業時期の延長と建設計画の変更を繰り返しているので、本当に信じてよいのかわかりません。
2024年5月20日時点の工事の進捗状況をみると、雑草まみれの土地に重機が放置されている様子が伺えます。2027年春に開業するには、電気・ガス・水道などのインフラの整備、道路の舗装、建設予定施設の基礎工事などが必要になりますが、それらの工事が進んでいるようには見えません。成田プロジェクトの経緯を改めて見返すと、投資詐欺だと判断できます。
みんなで大家さんが譲渡契約の停止を発表!!
みんなで大家さんは2024年6月18日に「譲渡契約のお知らせ」と題するリリースを公表しました。その中で、行政処分を受けたことから「契約上の地位の譲渡のお申出(売却の申し出)」が多発していることを報告、「事業参加者様の保護を第一に、重要事項説明書記載のとおり、譲渡契約の締結を一時的に停止(みんなで大家さんの解約申し込みを受け付けない)」するとしています。これによって、事実上みんなで大家さんの投資家は解約ができなくなってしまい、利払いや元本の返済が実施されるか不透明な状況となっています。
みんなで大家さんは過去2回(2012年4月29日~10月27日間の全部業務停止命令、2013年5月30日~7月28日間の不動産特定共同事業にかかる業務の一部の停止)行政処分を受けていますが、前回の行政処分時は資産規模がそれほど大きくなかったためか、利払い、元本保証が行われているようです。しかし、今回も投資資金が戻ってくるかは分かりません。
みんなで大家さんの運営を行う都市綜研インベストファンドの資産規模は2013年の40億円から2023年には2342億円へと急成長を遂げています。特に、直近の2022年の総資産額1233億円からは1000億円ほど資産を増やしており、急激な資産の増加から粉飾を疑ってしまいます。また、1年以内に返済を求められる負債(流動負債)額799億円に対し、同社の手許現金はわずか140億円ほどしかありません。仮に財務諸表が正しくても、スケジュール次第では資金返済につまづく可能性もあります。
これまでのみんなで大家さんの言動を見る限り、個人的には倒産する危険性の方が高いと考えています。行政処分の停止、譲渡契約の位置停止が発表されている以上もう何もできることはありませんが、投資家の方が少しでも弁済を受けられるよう祈っています。