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【要注意!】みんなで大家さんminiという新手の詐欺が登場!
- みんなで大家さんminiは不動産小口化サービス(不動産クラウドファンディング)のことで、都市綜研インベストファンド株式会社という会社が運営を行っています。
- HP上ではみんなで大家さんのメリットばかりが強調されていますが、運営に携わる都市綜研インベストファンドは粉飾を行っており、過去に粉飾決算(利益の水増し・資産の過大計上)をしたとして行政処分を下された前科があります。
- また、みんなで大家さんminiの利用規約をよく読むと、ある日突然サービスが利用停止にされたり、登録情報が抹消される恐れがあることが分かります。これらの規約は不動産特定共同事業法に違反しており、明らかに投資家不利な内容となっています。
- みんなで大家さんminiの投資先であるホテル花更紗(クアリゾート湯舟沢)は業績悪化が続いており、財政状態も厳しい状態にあると予想されています。金利3.2%で59ヵ月も長期投資するくらいなら、丸紅(2023年10月18日時点の配当利回り3.44%)、住友商事(同4.00%)、ブリジストン(同3.43%)などへ投資した方が良いと思います。みんなで大家さんminiは詐欺なので絶対に買ってはいけません。
みんなで大家さんminiとは?
みんなで大家さんminiとは、都市綜研インベストファンド株式会社が運営する不動産小口化サービス(不動産クラウドファンディング)のことです。1995年4月に施行された不動産特定共同事業法という法律に則って提供さており、比較的新しい不動産投資商品です。
具体的な仕組みとしては、営業者である都市綜研インベストファンド株式会社が一般投資家から資金を募り、集めた資金を元にして不動産を購入・事業運営を行います。そして、そこから発生した賃料収入や売却益を、分配金として各投資家の出資割合に応じて還元する仕組みとなっています。
こうした手法を採用するメリットとしては、投資家が事業運営に携わる必要がないこと(専門家に任せられること)、小額の投資資金で不動産投資を始められること、様々な投資家から広く資金を集めるのでオフィスビルやマンション、商業施設、物流倉庫、ホテルなど規模の大きな不動産にも投資できることなどが挙げられます。不動産投資についての知識がなくても簡単に一定の利回りを得られるので、不動産クラウドファンディングの人気が日増しに高まりつつあります。
なお、都市綜研インベストファンド株式会社が運営するみんなで大家さんは出資単価が一口100万円であるのに対し、みんなで大家さんminiは一口1万円から始められるようになっている点に違いがあります。また、投資単位が小さい分だけコストがかかるせいか想定利回りも低く設定されており、みんなで大家さんのリターンが年間6~7%あるのに対し、みんなで大家さんminiのリターンは年3%程度となっています。
この他にも、オンライン契約による電子取引を導入したことで、Web上でスピーディーに契約や出資が完結できる点に違いがあり、従来よりも投資の間口が広くなっている印象です。
みんなで大家さんminiの問題点は?
みんなで大家さんminiは詐欺である可能性が高い
みんなで大家さんminiの問題点として、詐欺である可能性が高いという点が指摘できます。サービスを運営している都市綜研インベストファンド株式会社の決算公告をみると、事業内容と決算数値に矛盾する点がみられるなど、数多くの問題点が確認できます。また、同社は過去に粉飾決算(利益の水増し・資産の過大計上)を行ったとして大阪府から行政処分を受けていることから、みんなで大家さんminiも詐欺である可能性が高いと考えています。
ここからは、実際に都市綜研インベストファンド株式会社の決算公告を確認し、問題点を指摘していきたいと思います。みんなで大家さんのサイトを確認すると、「シリーズ48号:名古屋再生医療幹細胞免疫センタービル」へ投資する名目で総額1,600百万円(1,600口、一口100万円)もの出資を募っており、2023年3月期の期首から商品の運用を開始していることが分かります。一方、同社の決算書を見ると、前期末から23年3月期末にかけて資産の部(固定資産)の建物の簿価が3百万円ほど減少していることが分かります。事業活動が実際に行われていたのであれば建物の資産額は増加していなければなりませんが、決算書を見ると逆に建物の資産額が前期と比べて減少しており、事業内容と決算書類の記載内容が明らかに矛盾しています。
また、負債の部の不動産特定共同事業受入出資金(一般投資家から集めた資金)が55,647百万円の増加に過ぎないのに対し、固定資産の部の土地が102,162百万円も増加している点も意味が分かりません。この決算書類が正しいなら、都市綜研インベストファンド株式会社は2022年から23年にかけてみんなで大家さん(不動産投資名目)で年間7%近い利回りを謳って55,647百万円もの資金を集め、それとほぼ同額の自己資金を使って土地を購入していたことになります。自己資金で不動産を購入できる資本力があるなら、そもそも一般投資家から高金利で資金を集める必要がありません。同社の決算書類はあまりにも不可解です。
みんなで大家さんを運営する都市綜研インベストファンド株式会社は過去に2度の行政処分(平成24年8月29日~10月27日間の全部業務停止命令、平成25年5月30日~7月28日間の不動産特定共同事業にかかる業務の一部の停止)を受けており、その際に「不動産特定共同事業の対象不動産の取得原価に含めるべきでない、パンフレットの作成、広告宣伝など不動産特定共同事業の営業に係る業務委託料2,473,570,920円を含めて資産計上している」等の不正行為(利益の水増し・資産の過大計上)を行っていました。
先の決算書類を見ると、土地の簿価が異常なほど膨らんでいるので、過去にやった不正を繰り返しているように見えます。みんなで大家さんを運営している都市綜研インベストファンド株式会社が粉飾をしている以上、みんなで大家さんminiも詐欺である可能性が高いと考えられます。同サービスには関わらない方が良いでしょう。
利用規約の内容が法令に違反している(2023年10月20日執筆時点)
みんなで大家さんminiの問題点として、利用規約の内容が法令に違反している点が挙げられます。例えば、利用規約の免責事項を確認すると、「(1)お客様が本規約に違反した場合、または不適切な行為を行ったと当社が判断した場合には、当社はお客様に対して本サ—ビスの利用停止、会員登録の抹消等の措置をお客様の許諾をとることなく実行する場合があります。また当該措置を行った理由について当社はお客様に対し説明責任を負わないものとします。(2)当社は本サービスの全部もしくは一部を事前の通告なく停止することができ、事前の通告をして本サービスを終了することができます。その際に生じた損害や不利益に関して当社は一切の責任を負いません。」とありますが、これは明らかに法律違反です。
不動産特定共同事業法の第三十一条の二3項には「電子取引業務を行う不動産特定共同事業者は、業務管理者名簿その他電子取引業務の相手方又は事業参加者の判断に重要な影響を与えるものとして主務省令で定める事項について、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものにより、電子取引業務を行う期間及び電子取引業務に係る不動産特定共同事業の期間中、当該相手方又は事業参加者が閲覧することができる状態に置かなければならない。」と書かれています。
利用規約の記載のように事業者が一方的にサービスを利用停止にしてしまうと、不動産特定共同事業の期間中に事業参加者が重要な情報(不動産特定共同事業契約の成立前の説明事項等)にアクセスできなくなってしまうことから、こうした行為は法律で明確に禁止されていいます。したがって、みんなで大家さんminiの利用規約は完全に不動産特定共同事業法という法律に違反しています。
そして、さらに問題なのが「5.利用制限・登録抹消に関して」という箇所です。規約によると「(1)当社は、お客様が以下の各号のいずれかの事由に該当する場合は、事前の通知なく、お客様に対して本サービスの全部もしくは一部の利用を制限し、またはお客様に関して当社が保有する情報を抹消することができるものとします。(中略)③破産、民事再生、会社整理、会社更生の手続開始決定、特別清算の申立、または私的整理等のその他倒産類型に該当する手続きが判明した場合④最終アクセスから1年以上本サービスの利用がない場合⑤当社からの問い合わせその他の回答を求める連絡に対して、1ヶ月以上に亘り当社が相当と認める応答がない場合(以下略)」とあり、運営会社である都市綜研インベストファンド株式会社が倒産危機に陥ったり、最終利用から1年以上経過したり、運営会社からの問い合わせに1か月以上回答しない場合、事前の通知なく、サービスの全部もしくは一部の利用を制限し、登録した情報が抹消されることになっています。
これは明らかに異常です。先にみた不動産特定共同事業法の第三十一条の二3項に違反することはもちろんですが、サービス利用期間中に一方的に登録情報を抹消されると、契約の存在そのものが証明できなくなってしまう恐れがあります。特に、みんなで大家さんminiはWeb上で契約や出資が完結してしまうため、破産手続きの混乱に乗じて登録情報をすべて削除されてしまうと、出資者としての立場すら危うくなってしまいます。このように、みんなで大家さんminiの利用規約は法律に違反し、問題も数多く存在するため、サービスの利用は避けた方が無難でしょう。
投資先の業績が悪い
みんなで大家さんminiの問題点として、投資先の業績が悪いという点が指摘できます。投資対象となっているホテル花更紗はクアリゾート湯舟沢という会社によって運営されていますが、同社はもともと岐阜県中津川市によって設立された第3セクターで、業績悪化・補助金の負担増から2016年11月に民間企業に譲渡された経緯があります。
上の総務省の資料をみても、クアリゾート湯舟沢の売上高・来場者数が年々減少し、それに伴って指定管理料(中津川市の補助金)が増加する様子がはっきりと分かります。また、この資料の別の箇所には「第三セクター(株)クアリゾート湯舟沢の管理運営では、直近4年間で2億5千万円、直近1年では1億1千万円の指定管理料がかかっていた。民間譲渡後2年が経過した現在では、家族利用者向けの子どもの遊び場の設置、新たな魅力の創出としてグランピングの導入など、民間ノウハウを発揮した経営により、収支均衡が図られた運営がされている。来場者数は、平成29年度は135,000人、平成30年度は140,000人と増加している。第三セクター時より減少しているが、ニーズに合わせた料金設定により客単価は大幅に増加し今後の黒字経営へ期待ができる。」との記述もあり、平成30年時点でも利益がほとんど出ていないことが記されています。
現在のクアリゾート湯舟沢の業績がどうなっているかは分かりませんが、2016年の譲渡直前の業績が118百万円補助金が無ければ最終赤字に陥っていたこと、純資産額が少なく資金的な余裕がないこと、2020年1月30日から2023年5月5日までWHOによって新型コロナウイルスに関する緊急事態の宣言が表明されたことで観光業が下火だったこと等を考慮すれば、同社の業績が芳しくないことが容易に推測できます。
以上のことから、みんなで大家さんminiの投資先であるホテル花更紗(クアリゾート湯舟沢)は業績悪化が続いており、財政状態も厳しい状態にあると予想されています。このような企業に対して金利わずか3.2%で59か月も投資する必要はありません。投資先の業績が悪いので、みんなで大家さんminiは絶対に買ってはいけません。