ポーカーチャンピオンから正しい意思決定の仕方を学ぶ「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」

確率思考-不確かな未来から利益を生み出す

ポーカーチャンピオンから正しい意思決定の仕方を学ぶ「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」

この記事のポイント
  • 「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」は、意思決定の質と結果の質(運の存在)の違いを認識することで、投資に限らず人生のあらゆる局面で優れた意思決定を下せるようにするための本です。
  • 投資の手法や相場の環境認識などを解説する本ではありませんが、読んでみて非常に面白かったので取り上げました。

「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」のハイライト

とはいえ私自身も、賭け型思考の考え方を取り入れたからといって、決して感情を挟まない合理的な人間になったわけではない。過ちはこれまでに何度も犯してきたし、今でもそれは変わらない。過ち、感情、敗北―私たちは人間なのだから、これらを避けることはできない。賭け型思考によって、私は客観的かつ正確に、柔軟な頭で考える「方向に向かう」ことができた。やがてそれが積み重なれば、生活に大きな変化が生まれる。No.60(Amazon Kindle位置情報)

この「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」という本は、意思決定の質と結果の質(運の存在)の違いを認識することで、投資に限らず人生のあらゆる局面で優れた意思決定を下せるようにするための本です。

投資の手法や相場の環境認識などを解説する本ではありませんが、非常に面白かったので取り上げてみました。

ここで、あなたが去年下した最善の意思決定を思い出してほしい。次に、最悪の決定を思い出してほしい。おそらく、最善の決定として思い浮かべたものの後には良い結果が続き、最悪の決定の後には悪いことが起こったはずだ。No.120

人はしばしば意思決定の質と結果の質を同一視してしまいます。いかに優れた決断をしても、生み出された結果が悪ければ、意思決定が誤りがあったと思い込んでしまいます。

こうした後付け思考が習慣化してしまうと、短期的な負けが続いたときにその場の感情に流されて自己満足な戦略に走り、破滅的な結果を招きやすくなってしまします。

人間の脳は確実性と秩序を求めるべく進化したため、運が重要な役割を果たすという事実を素直に受け入れることができません。しかし、より良い結果を出すには、どんなに悪い結果が続いたとしても感情を排し、勝率の高い意思決定を繰り返すしかありません。

私のキャリアがまだ浅いころ、ゲームで開けているときに自己奉仕バイアスの影響を避ける方法として、あらかじめ「損失限度額」を決めておくといいとグループから勧められた。損失が600ドルに達したらその時点でゲームを降りるというものだ。No.2077

人は良い結果は自分のおかげで、悪い結果は運が作用したせいで自分のせいではないと考えがちです。こうした自己奉仕バイアスは、自分の決定を見直して改善する機会を奪います。良い結果をすべて自分のおかげだと考えれば、正当化すべきではないことを正当化し、改善すべき点を見逃してしまいます。

自己奉仕バイアスの虜になるのを防ぐために、著者は熟練プレーヤーたちから損失限度額を決めることを勧められます。損失限度額を決めることでゲームの深追いをせずに済み、自己規律を失っても仲間への説明責任を想像すると、自分のミスに気づきやすくなります。

確信を持てないからこそ、偵察を行うのである。物事がどのような形で、どれくらいの確率で起こるかを完全な精度で予測することなどできない。完璧な未来予測を目指す必要はない。むしろ、そもそも人は意思決定のたびに未来を予想しているのだから、それをはっきりと意識したほうが良い結果につながると考えよう。予測をするのに不安を感じるのは、すでに予測をしているからだ。与えられた選択肢の中から下す決定が結果を左右すると予測しているのである。No.3115

できる限り多くの未来を想定し、それぞれの未来が実際に生じる可能性を見極めることで、自然と白黒思考が消え、ある一つの結果が起こるか起こらないかという考え方をしなくなります。未来が不確実であるということを思い出し、将来起こりうることとそれにとるべき行動の準備ができ、無駄な後悔や良い結果に舞い上がってしまうことを防ぐことができます。

程度の差こそあれ、人はみな結果に取りつかれている。だが、その依存から逃れれば人生はもっと楽しくなる。良い結果が起こることは誰にも保証されていないので、私たちはこれからも望まない結果が数多く降りかかるだろう。しかし、優れた賭けはいつでもできる。たとえ賭けに失敗したとしても、次はその経験から学んでより賭けをするチャンスがある。No.3419-3426 

ポーカーでも人生でも負けることはたくさんあるし、考えうる最善の賭けをしてもだめなときはだめです。いつでも完全に正しくあろうとする無理な挑戦をやめ、戦略的な考え方で未来を見つめれば舵をしっかりと操れます。学習と改善を続けていけば、後悔のない最良の意思決定を行うことができます。

「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」のおすすめポイント

この「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」という本は、意思決定の質と結果の質(運の存在)の違いを認識することで、投資に限らず人生のあらゆる局面で優れた意思決定を下せるようにするための本です。

人間の脳は確実性と秩序を重視する形で進化してきました。そのため、「運が重要な役割を果たす」という事実を素直に受け入れることができません。しかし、良い結果を出すにはどんなに悪い結果が続いたとしても感情を排し、勝率の高い意思決定を繰り返すしかありません。

この本はプロのポーカープレイヤーとして確率思考の重要性を認知心理学と絡めて説明しています。投資の手法や相場の環境認識などを解説する本ではありませんが、読みやすく、興味深い内容となっているのでぜひご一読ください!

 「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」の著者

「確率思考 不確かな未来から利益を生み出す」の著者は、ワールドシリーズ・オブ・ポーカーやNBCナショナル・ヘッズアップ・チャンピオンシップなどの世界最高峰の大会で優勝した経験を持つアニー・デュークです。

アニー・デュークはコロンビア大学で英文学と心理学を専攻し、ペンシルベニア大学で認知心理学の修士号を取得した後、博士課程を中退して兄のハワード・デュークと同じプロのポーカープレイヤーに転じるという異色の経歴を持っています。

現在は現役を引退し、ポーカープレイヤーとしての経験と心理学の知識を活かして非営利団体「How I Decide」を主宰、意思決定のコンサルタントとして活躍しています。

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