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中国の8月の小売売上高は回復傾向に(ただし化粧品等の一部品目は引き続き低迷)
- 中国の2022年8月の小売売上高は前年比+5.4%の3兆6,258億元(約72兆5,260億円)という結果に。1月から8月までの累計ベースでは前年比△0.5%の28兆2,560億元(およそ565兆1,200億円)と若干のマイナスとなっているが、回復の兆しが見え始めている。
- 品目別にみると、世界的にインフレが高進したことで、穀物・油・食品、石油および関連製品などの一次産品の小売売上高が急増。それによって、全体的に小売売上高が回復しているが、化粧品、家具、建材・装飾材、通信機器は前年比割れとなっている。
- 中国の化粧品の小売売上高が落ち込んでいることを5月の段階から伝えていたが、予想通り資生堂は中国事業の低迷を理由に通期業益予想を下方修正。関連銘柄には要注意を!
中国の8月の小売売上高は回復傾向に
中国の2022年8月の小売売上高は前年比+5.4%の3兆6,258億元(1元=20円で約72兆5,260億円)という結果となりました。1月から8月までの小売売上高は上海ロックダウンなどの影響が尾を引いたことで、前年比△0.5%の28兆2,560億元(およそ565兆1,200億円)と若干のマイナスとなっていますが、回復の兆しが見え始めています。
ただし化粧品等の一部品目は引き続き低迷
中国の小売売上高を品目別にみると、世界的にインフレが高進したことで、穀物・油・食品、石油および関連製品などの一次産品の小売売上高が急増しています。また、原材料費の高騰分を製品価格へ転嫁している影響もあり、中国の小売売上高は全体的に見ても回復傾向にあります。
しかし、一部の品目の小売売上高は引き続き低迷しています。例えば、化粧品の8月の売上高は前月比△6.4%の288億元(およそ5,760億円)と苦しい状態が続いており、累計ベースでも前年比△2.7%の2,453億元(およそ4兆9,060億円)と前年割れとなっています。
他にも、規制強化で不動産市況が悪化しているため、家具(累計ベースで前年比△8.5%)や建材・装飾材(同△4.4%)の小売売上高が大きく苦戦。ロックダウンによる景気悪化やサプライチェーンの混乱を受けて、通信機器(同△0.5%)も累計ベースで前年比割れに転じています。
資生堂などの関連銘柄の動きには要注意
中国事業の構成比が高く、主要製品が属する品目の小売売上高が前年比割れとなっている銘柄には注意が必要です。このブログでは中国の化粧品の小売売上高が落ち込んでいたことを早くから取り上げ(5月24日:上海ロックダウンで中国の小売売上高が大幅減!影響を受ける日本企業は?)、資生堂などの関連銘柄に気を付けるよう注意喚起してきましたが、危惧していた通り資生堂は業績予想の下方修正を発表しています。
もちろん、全部が全部当てはまるわけではありませんが、統計データは嘘をつきません。よっぽどの事情がない限りはポジションを整理しておいた方が賢明でしょう。