中国成都市ロックダウンの影響は?

中国成都市ロックダウンの影響は?-アイキャッチ

中国成都市ロックダウンの影響は?

この記事のポイント
  • 中国の四川省成都市は都市封鎖期間を7日まで期限を延長すると発表。
  • 成都市は人口2119万人、GDP1兆9,917億元(1元=20円で約39兆8,340億円)を誇る、中国でも有数の経済都市。中国GDPの1.7%を占めているので、今後の動向には注意が必要。同市に進出している味の素、イトーヨーカ堂などの日本企業の業績にも要警戒。
  • 中国製のコロナワクチンは効果が低い可能性があるので、ロックダウンは今後も断続的に続くでしょう。関連ニュースから目が離せません。

中国の四川省成都市で導入されていたロックダウンが期限を延長

中国四川省の省都、成都市は住民2100万人の大半を対象に新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)を延長した。(中略)成都市政府は全ての屋内娯楽施設や学校を引き続き閉鎖し、店内飲食も認めないと説明。4日夜の声明では、市中感染ゼロをできるだけ早期に実現するため、7日まで大規模検査を続ける方針を明らかにした。 ブルームバーグ 2022年9月5日 「中国の成都がロックダウン延長-全国で6500万人超が制限下との報道も」より

中国の四川省成都市は2022年9月1日に住民およそ2000万人を対象にロックダウン(都市封鎖)を導入すると発表しました。原則的に一日一回・一世帯につき一人のみ生活費需品の買い物が認められていますが、それ以外は一切の外出ができません。当初の封鎖期間は1日~4日までとなっていましたが、検査を継続するため7日まで期限を延長する模様です。

成都市とはどういう都市か?

「中国成都市の位置」google mapより

「中国成都市の位置」google mapより(画像はすべてクリックすると拡大します)

成都市は中国のほぼ中央に位置する都市です。自然災害が少なく、温暖な気候で農産品にも恵まれているため、住みやすい地域として知られています。ただ、北京や上海などの主要都市から距離があり、物資の輸送に時間がかかることから経済は立ち遅れていました。

「2021年の成都市の人口とGDP」中新財経と第一財経より

「2021年の成都市の人口とGDP」中新財経と第一財経より(画像はすべてクリックすると拡大します)

しかし、2000年3月の全国人民代表大会で「西部大開発」が決定され、積極的な外資企業の誘致が行われたり、鉄道・道路建設などのインフラ整備や投資環境の整備、科学教育の発展などの優遇政策が採用されたことから、成都市は急成長を遂げていきました。

現在では人口2119万人、GDP1兆9,917億元(1元=20円で約39兆8,340億円)を誇る、中国でも有数の経済都市となっています。

MEMO
GDP(国内総生産)は一国内における付加価値額を表します。成都市は国ではなく一地域なので、一般的には都市圏や経済圏、州や県など、一定の地域内で生産された付加価値額を表すGRP(域内総生産:Gross Regional Product)という表記を用います。ここでは引用元の資料がGDP表記を行っているため、それに合わせています。

中国成都市ロックダウンの影響は?

「2022年4月の小売売上高の内訳」中国国家統計局資料より

「2022年4月の小売売上高の内訳」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

中国の2021年のGDPは114兆3,670億元(およそ2,287兆3,400億円)となっており、成都市(1兆9,917億元)はその内の1.7%を占めています。上海市(4兆3,215億元)に比べれば経済規模は小さいですが、上海ロックダウンの影響が色濃く残る中国経済にとっては大きな痛手です。

実際、上海ロックダウン(封鎖期間:3月下旬~5月末)時には化粧品や自動車など幅広い品目で売上が落ち込み、中国経済は一気に冷え込みました。成都市の封鎖期間は今のところ9月1日~7日までとされていますが、深圳などの他の都市にも拡大しており軽視はできない状況です。

「成都イトーヨーカ堂について」イトーヨーカ堂資料より

「成都イトーヨーカ堂について」イトーヨーカ堂資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

また、成都市に生産拠点を構える日系企業への影響も懸念されます。例えば、味の素は飼料用リジンの生産拠点(川化味の素有限公司:川化集団有限責任公司との合弁会社)を設けていたり、イトーヨーカ堂は成都に店舗(成都イトーヨーカ堂:2021年売上842億円)を構えています。

これらの企業は規模が大きいので直接的な影響は小さいですが、業績の足を引っ張る原因になり得ます。成都市に進出する企業の決算には注意が必要でしょう。

まとめ~中国製ワクチンの予防効果が不明瞭なためロックダウンは止まらない~

中国のシノバック・バイオテック(科興控股生物技術)が開発したコロナワクチンは、各国の治験データに大きな差が出ている。同社は新興国を中心に第3相臨床試験(P3)を実施。最も規模が大きいブラジルでは12日、予防効果を示す有効率が全体平均50.4%だったと報告された。評価対象1万3000例のうち、ワクチン群では85例、プラセボ群では167例が感染(発症)した。先週時点では、軽症例に限定すると有効率78%、中等症~重症では100%と報告されていたが、最終結果では大幅に低い数値となった。ワクチンは同国で承認審査中。一方、トルコの試験では、1320例分の中間解析で有効率が91.2%と高い数値を記録。インドネシアの試験(1620例)では有効率65%だった。 化学工業日報 2021年1月15日 「中国製の新型コロナワクチン、予防効果に隔たり、ブラジル治験は有効率50%」より

欧米製ワクチンの予防効果が95%前後に達するのに対し、中国製ワクチンの予防効果については信頼できる数字が報告されていません。中国疾病対策センター(CCDC)トップの高福氏も2021年4月10日の記者会見で中国製ワクチンの効果の低さに言及していることから、大規模都市封鎖によるコロナ封じ込め政策は今後も実施されると考えています。

したがって、コロナ問題が世界的な収束を迎えるまでは断続的にロックダウンが実施され、その都度都度で経済活動が混乱するでしょう。今後も中国関連のニュースには目が離せません。

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