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アメリカの景気後退が深刻化…
- アメリカの2022年7月の総合PMIが前月比4.8ポイントの47.5に下落し、景気拡大と縮小の境目となる節目の50を下回る結果となりました。景気後退が深刻化しています。
- OECD景気先行指数(CLI:Composite leading indicator)という指標をみても、節目となる100を割り込んだままで下げ止まる気配がありません。少なくとも来年の春ごろまでは景気悪化が継続しそうです。投資規模を縮小するなど、投資家の方は注意が必要です。
好調だったアメリカ経済もついに景気後退に向かう
S&Pグローバルが22日発表した米国の製造業・サービス業合わせた7月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は、約2年ぶりに活動縮小を示した。需要が振るわずにリセッション(景気後退)懸念が増している状況が浮き彫りになった。総合PMI指数は前月から4.8ポイント下げて47.5。2020年5月以来の低い水準となった。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた数カ月を除けば、09年のデータ開始後で最も低い水準だ。同指数は50が活動拡大と縮小の境目。 2022年7月23日ブルームバーグ「米企業活動が約2年ぶりに縮小、総合PMIは2020年5月以来の低水準」より
好調だったアメリカ経済もついに景気後退に向かっているようです。2022年7月の総合PMIが前月比4.8ポイントの47.5に下落し、景気拡大と縮小の境目となる節目の50を下回る結果となりました。アメリカ経済は過度な防疫政策によって低迷していた中国を尻目に拡大を続けていましたが、ついに力が尽きたようです。
アメリカ経済が失速した原因は?
アメリカ経済が失速した原因は資源価格の高騰と、政策金利の急激な引き上げにあります。
ここ数年、脱炭素化の流れが本格化して資源採掘等への融資が制限されていましたが、経済活動の正常化とロシアのウクライナ侵略によってエネルギー需要が急増。供給不足と需要の増大が重なったことで資源価格は一気に高騰しました。こうした構造的なインフレに対応するため、多くの企業は製品価格へ転嫁を断行。結果として、消費者物価指数は過去に類をみないほど急上昇することになりました。
この強烈なインフレへの対応を迫られた連邦準備理事会(FRB)は政策金利を急激に引き上げて事態の沈静化を図ります。しかし、1994年11月以来約27年半ぶりとなる0.75%の大幅な利上げを実施したことから先行きへの不安が生じ、アメリカ経済の失速を招いてしまいました。
アメリカ経済はいつ底を打つか?
経済協力開発機構(OECD)が発表しているOECD景気先行指数(CLI:Composite leading indicator)という指標をみると、アメリカ経済は節目となる100を割り込んだままで、下げ止まる気配がありません。OECD加盟国の平均値も同じような動きを見せているので、今は景気後退の入口を彷徨っている段階と言えます。
OECD景気先行指数は実際の経済活動よりも6~9か月先行するとされています。したがって、最低でも来年春ごろまでは景気は悪化し続けます。
世界的にコロナの新規感染者数が増加していること、ロシア・ウクライナ戦争の停戦が見込めないこと、連邦備理事会が利上げを続ける意向を示していること等を踏まえれば、景気が底を打つのは遠い未来の話です。株式投資を行う際はポジションサイズを小さくするなど、細心の注意を払いましょう。