中国の小売売上高が引き続き大幅減!この企業には要注意!!

中国の小売売上高が引き続き大幅減!この企業には要注意!!

この記事のポイント
  • 2022年5月の中国の消費財小売売上高は前年比△6.7%の3兆3,547億元(67兆0940億円)で、前月に引き続き大幅減となっています。累計でも前年比△1.5%に落ち込んでおり、消費の冷え込みが懸念されています。
  • 中でも衣料品(前年同月比△16.2%)、化粧品(前年同月比△11.0%)、日用品(前年同月比△6.7%)、家具(前年同月比△12.2%)といった品目が特に大きな影響を受けています。
  • 資生堂(4911)、無印良品(7453)、中野冷機(6411)などの企業には気を付けましょう。

【前回の記事はこちらです】

上海ロックダウンで中国の小売売上高が大幅減!影響を受ける日本企業は?上海ロックダウンで中国の小売売上高が大幅減!影響を受ける日本企業は?

中国の小売売上高は引き続き大幅減!

「中国の小売売上高の月次成長率の推移」中国国家統計局より

「中国の小売売上高の月次成長率の推移」中国国家統計局資料より(画像はすべてクリックすると拡大します)

2022年5月の中国の消費財小売売上高は前年比△6.7%の3兆3,547億元(1元=20円でおよそ67兆0940億円)で、前月に引き続き大幅減という結果でした。2022年累計では前年比△1.5%の17兆1,689億元(およそ343兆3,780億円)となっており、上海ロックダウンをはじめとする防疫政策の厳格化によって、通年ベースでも前年比を割れる事態となっています。

影響が大きい品目は?

「2022年5月の中国小売売上高の内訳」中国国家統計局資料より

「2022年5月の中国小売売上高の内訳」中国国家統計局資料より

中国の消費財小売売上高は全体的に落ち込んでいますが、中でも衣料品、化粧品、日用品、家具といった品目が特に大きな影響を受けています。

衣料品の2022年5月の小売売上高は前年比△16.2%の958億元(約1兆9,160億円)、化粧品の小売売上高は前年比△11.0%の291億元(約5,820億円)、日用品の小売売上高は前年比△6.7%の562億元(約1兆1,240億円)、家具の小売売上高は前年比△12.2%の122億元(約2,440億円)となっています。他にも自動車などの売上も減少していることから、耐久消費財を中心に目下必要とならないものの消費が落ち込んでいるようです。

この企業には要注意!

前回の記事でも触れましたが、中国事業の売上高が大きい(中国依存度の高い)企業には注意が必要です。

資生堂(4911)

「資生堂のセグメント業績」資生堂22年12月期第1四半期決算短信より

「資生堂のセグメント業績」資生堂2022年12月期第1四半期決算短信より

資生堂(4911)の2022年12月期第1四半期の決算をみると、中国事業で51,910百万円の売上を計上していることが分かります。全売上高に占める中国事業の構成比は22.1%に達しており、その影響は小さくありません。2022年4月の中国の化粧品小売売上高が前年比△22.3%、5月の小売売上高が前年比△11.0%であることを踏まえると、資生堂の第2四半期の業績はかなり苦しいものになりそうです。

なお、2022年6月に上海ロックダウンが解除されましたが、南西部の閔行区(びんこうく)など再封鎖された地域もあります。6月の化粧品売上がどうなるかはわかりませんが、急回復は難しそうです。

良品計画(7453)

「無印良品の2022年5月海外月次売上概況」無印良品IRリリースより

「無印良品の2022年5月海外月次売上概況」無印良品IRリリースより

良品計画(7453)の2022年5月海外月次売上概況をみると、中国事業の売上高(直営合計+オンライン)が前年比68.0%まで減少していることが分かります。中国事業の業績が個別に公開されていないため具体的な構成比はわかりませんが、第2四半期の決算発表の際に同事業の不振を理由に通期業績予想を下方修正していることから、中国の小売売上高の減衰は無印良品にとって大きな悪材料といえるでしょう。

ただし、日本国内に目を向けると、行動制限や移動制限が解除されたこともあって国内事業の業績が大きく改善しています。また、成長が続く東南アジア事業やコロナ規制が緩和された欧米事業も業績が急回復していることから、中国事業の苦戦の影響は大事には至らないかもしれません。今度の売上速報に注目です。

中野冷機(6411)

「中野冷機の決算報告書提出期限延長に係る承認のお知らせ」同社IRニュースより

「中野冷機の決算報告書提出期限延長に係る承認のお知らせ」同社IRニュースより

中野冷機(6411)は上海ロックダウンの影響で連結子会社の「上海海立中野冷機有限公司」の決算手続きが遅れたことを理由に2022年12月期第1四半期決算発表を延期していましたが、7月8日に決算発表を実施するようです。

同社の中国事業の売上構成比は8.3%に過ぎません。また、主要顧客であるセブンイレブンが売上高の36.1%を占めています。中国事業が比較的小さく、主要顧客も大手企業なのであまり影響はないかもしれませんが、消費の落ち込みが深刻化する次の第2四半期の決算には注意が必要でしょう。

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