中国経済は崩壊か?22年3月の統計データが酷すぎる。

中国経済は崩壊か?22年3月の統計データが酷すぎる。

中国経済は崩壊か?22年3月の統計データが酷すぎる。

この記事のポイント
  • 2022年3月の統計データが目も当てられない数字になっています。
  • 不動産開発会社への資金流入が減少し、投げ売りで商業用・住宅用不動産市況が悪化しています。
  • 製造業PMI、非製造業PMIも節目となる50を割り込んでおり、景気後退が示唆されています。
  • 消費財の小売売上高もマイナスに転じているので、頼みの個人消費も期待できない状態です。4月からは上海ロックダウンの影響も加わり、景気はさらに悪化します。中国経済の崩壊は間近です。

不動産開発会社への資金流入が絞られ、不動産市況は崩壊へ

不動産開発会社への資金流入は絞られたまま

「中国の不動産開発会社に対する資金流入量の成長率の推移」中国国家統計局のデータより

「中国の不動産開発会社に対する資金流入量の成長率の推移」2022年4月20日公表の中国国家統計局のプレスリリースより

前回の記事でもお伝えしたように、中国の不動産開発会社への資金流入が三条紅線政策の導入によって大きく減少しています。それによって多くの企業が資金難に直面したため、保有資産の投げ売りが始まり、不動産価格の下落にも拍車がかかっています。

不動産の投げ売りが止まらず市況は悪化

「商業用不動産の販売面積と販売額の成長率の推移」中国国家統計局のデータより

「商業用不動産の販売面積と販売額の成長率の推移」2022年4月20日公表の中国国家統計局のプレスリリースより

商業用不動産の販売面積と販売額の成長率をみると、2022年に入ってからマイナス成長に転じていることが分かります。特に、販売面積よりも販売額の減少率の方が大きい数字になっていることから、資金繰りに苦しむ会社が坪単価を下げてでも売り切ろうと悪戦苦闘する様子が伺えます。

「中国の住宅用不動産価格の推移」2022年4月15日公表の中国国家統計局のプレスリリースより

「中国の住宅用不動産価格の推移」2022年4月15日公表の中国国家統計局のプレスリリースより

また、不動産価格の下落は住宅用不動産にも波及しています。上の画像をみると、新築・中古の住宅用不動産価格が多くの地域で前月比・前年同月比割れを起こしていることが分かります。一部地域で住宅購入に対する支援政策が導入されてはいるものの、不動産価格の下落が止まる気配はありません。

現在、恒大集団をはじめとする多くの不動産開発会社がデフォルト(債務不履行)を起こし、倒産の危機にあります。仮に不動産開発会社が連鎖破綻するようなことになれば、債権者が債務回収を進めようと不動産の処分売りに走るので、価格の下落はより激しいものとなるでしょう。中国の不動産バブル崩壊は近いかもしれません。

MEMO
住宅購入支援策の一例として、浙江省金華市では22年1月から最大3万元(約59万円)の住宅購入補助券が支給される他、湖南省衡陽市は22年5月末までに新築マンションを買えば、取得時にかかる税金を最大5割軽減する措置が取られています。

購買担当者景気指数も50を割り込み景気後退を示す

「製造業と非製造業のPMI(季節調整済み)」22年4月1日公表の中国国家統計局プレスリリースより

「製造業と非製造業のPMI(季節調整済み)」22年4月1日公表の中国国家統計局プレスリリースより

景気悪化の動きは不動産業にだけではありません。中国の製造業PMIの推移をみると、昨年から低下傾向にあったPMIが今年の3月に入ってから急落し、景気の転換点である50を下抜けたことが確認できます。

また、非製造業PMIも同じように50を下回っていることから、不動産企業に限らず中国市場全般で景気後退が進んでいることが示唆されています。

MEMO
PMI(Purchasing Managers Index)とは「購買担当者景気指数」のことで、その時々の景況感を示す重要な経済指標の一つです。PMIは製造業やサービス業の購買担当者を対象にアンケート調査や聞き取りなどを行って集計・算出され、この数字が50を超えると「景気拡大期」、逆に50を下回ると「景気後退期」と判断されます。特に、製造業PMIは実際の景気に先行して変動する「先行指標」とされています。

頼みの消費財の小売売上高もマイナスに転じる

「消費財の小売売上高の成長率と消費財別の小売売上高の成長率の推移」2022年4月19日公表の中国国家統計局のプレスリリースより

「消費財の小売売上高の成長率と消費財別の小売売上高の成長率の推移」2022年4月19日公表の中国国家統計局のプレスリリースより

中国政府は共同富裕政策を推進して内需型の経済体制に転換しようとしていますが、頼みの個人消費も落ち込みを見せています。消費財の小売売上高の成長率をみると、今年の3月に入ってからマイナスに転落していることが分かります。

MEMO
共同富裕政策とは、習近平政権が掲げる目玉政策の一つです。所得格差を無くして中間層を厚くすることで、①消費主導経済へ移行し、②経済の発展の質を改善しようとしています。
「2022年3月の消費財の小売売上高の内訳」2022年4月19日公表の中国国家統計局のプレスリリースより

「2022年3月の消費財の小売売上高の内訳」2022年4月19日公表の中国国家統計局のプレスリリースより

品目別にみると、衣料品・家具・自動車といった数年にわたり使用する高単価なものの消費が落ち込んでいることが分かります。これは今後の景気悪化を見越して支出を見直す人が増えてきている証拠と言えます。

まとめ ~中国経済は崩壊か?~

以上のように、中国経済は法人の景況感が悪化するだけではなく、個人消費にも陰りが見え始めています。特に、22年3月に入ってからの経済データは酷い数字が並んでおり、急激に景気が悪化している様子が伺えます。

4月のデータには上海ロックダウンの影響が加わります。中国経済の崩壊は近いでしょう。

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