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新型コロナウイルスのパンデミックはいつ収束するか?
- 世界の新型コロナウイルス累計感染者数は2021年8月18日時点で2億0,860万人、累計死者数は438万人。2021年の世界の人口は78億7,500万人なので、これまでに全人口の約2.6%が感染し、0.05%が死亡したことになります。
- 世界の累計ワクチン接種回数は8月17日時点で47億6,614万回です。1日あたりのワクチン接種回数は7日間平均で3,624万回前後となっています。
- 1日あたりの接種回数を3,600万回とすれば、あと約194日で潜在的な感染者すべてにワクチン接種が完了する計算になります。したがって、2022年4月ごろにはワクチン接種がほぼ完了することになります。
新型コロナウイルスの感染状況について
パンデミックの収束時期を推定する前に、まずは新型コロナウイルスの感染者数が多い国や地域はどこで、感染しやすい人はどういう人なのかを知らなければなりません。
この記事では主にWHOが公表している「World Health Statistics 2021」をはじめとする様々なデータ*を通して、新型コロナウイルスの感染状況とその収束時期を分析していきたいと思います。
*この記事に使用している各種統計・データはそれぞれ元にする数値の取得時期や取得時間に違いがあります。大きな誤差はありませんが、若干データの整合性が取れない場合があります。ご了承ください。
新型コロナウイルスの国・地域別累計感染者数
世界の新型コロナウイルス累計感染者数は2021年8月18日時点で2億0860万人、累計死者数は438万人に達しています。世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスですが、以下でその実態をより詳細にみていきたいと思います。
新型コロナウイルスの累計感染者数を国・地域別に円グラフにまとめると、上の画像のような形になります。今のところ最も累計感染者が多い地域はアメリカ大陸(北米・南米)で、次いで欧州、東南アジア、地中海東岸(中東やエジプトなどの一部アフリカ)、アフリカという順番になっています。
累計感染者数(2021年8月17日時点)を国別にみると、1位がアメリカで累計感染者数は36,888千人、2位はインドで32,250千人、3位はブラジルで20,378千人となっています。なお、日本の感染者数は1,176千人で28位となっています。
世界の累計死亡者数は(8月17日時点)で4,382千人を超えています。感染者数が多い国ほど死亡者数が増えており、日本の累計死亡者数も15千人に達しています。致死率(死亡者数/感染者数)はおよそ2.1%なので、感染者数に2.1%を乗ずればおおまかな死亡者数を推定することができます。
人口10万人あたりの感染者数(21年8月16日時点)はアメリカが11,132人、ブラジルが9,580人、イギリスが9,318人となっています。表には記載されていませんが、人口10万人当たりの感染者数が最も多い国はバーレーンで、15,917人に達しています。
なお、日本の人口10万人当たりの感染者数は920人です。世界の平均が2,650人なので、感染症対策の不備を連日報道するメディアと実情とが大きく異なっていることが分かります。
新型コロナウイルスに感染・死亡しやすい年齢層は?
新型コロナウイルスの性別・年齢別の感染者数を見ると、20歳から59歳までの人たちが大半を占めていることが分かります。この年代は働いている人が多く、私生活でも活動範囲や活動量が多いので、感染リスクが極めて高くなっています。
次に、新型コロナウイルスの性別・年齢別累計死者数をみていきたいと思います。グラフをみると、50歳以上の死亡率が高くなっていることが分かります。特に、80歳以上の死亡率が最も高い数値を示しています。2021年の世界の平均寿命は男性が71歳、女性が75歳であることを考えれば、半ば仕方のないことだと思います。
注意すべき点としては、20代、30代でも一定の死亡者がいる点が挙げられます。よく報道で「若い人は大丈夫」という論調を見かけますが、実際に亡くなられた方は存在しています。また、死亡はしなくても感染者の5~10%の割合で嗅覚障害、呼吸苦、だるさといった後遺症が残る可能性があります。余談になりますが、感染症対策には万全の備えが必要でしょう。
これまでの感染率と今後の潜在的な感染者数は?
世界の感染率と今後の潜在的な感染者数は?
2021年の世界の人口は78億7500万人です。そのうち、14歳以下が25.3%、15歳から64歳が65.1%、65歳以上が9.6%を占めています。世界の新型コロナウイルスの累計感染者数が2億0860万人、累計死亡者が438万人なので、これまでに全人口の約2.6%が感染し、0.05%が死亡したことになります。
次に、潜在的な感染者数を計算していきたいと思います。先の年齢別感染者の内訳をみると、14歳以下の感染者数はほぼ存在しないので、15歳以上(15歳から64歳までの割合65.1%+65歳以上の割合9.6%)の58億8262万人が潜在的な感染者とみることができます。
日本の感染率と今後の潜在的な感染者数は?
2021年の日本の人口は1億2536万人です。そのうち、15歳未満は1,494万人(構成比:11.9%)で、15歳から64歳までは7,435万人(構成比:59.4%)で、65歳以上は3,624万人(構成比:28.9%)となっています。
国内の累計感染者数が1,176千人で、累計死亡者数が15千人なので、全人口の0.93%がこれまでに感染し、0.01%が既に亡くなられています。潜在的な感染者数(15歳以上)は1億1056万人、全人口の88.2%と計算できます。
コロナワクチンの接種状況
世界のコロナワクチン接種状況
世界の累計ワクチン接種回数は8月17日時点で47億6614万回です。地域別にみると、中国が18億7537万回、インド5億5052万回、アメリカ3億5716万回となっています。
世界の1日あたりのワクチン接種回数は7日間平均で3,624万回前後になります。今のところワクチンの供給量が世界的にひっ迫しているため、接種回数が伸び悩んでいます。しかし、2022年にはワクチンの生産能力が280億回分近くに拡張されることから、今後接種ペースが速まると予測されています。
日本国内のワクチン接種状況
国内のワクチン接種状況は、2021年8月16日時点で累計1億1105万回を超えています。2回接種完了者も4781万人、人口比で37.6%に達しており、医療従事者の方や65歳以上の方に対してはワクチン接種がほぼ完了している状態です。
現在、ワクチンの一部を職域接種用に振り分けたため、1日あたりのワクチンの接種回数が減少しています。それでも、8月18日時点で1日約50万回程度のワクチン接種が進められています。物量が確保され次第、順次ワクチン接種が再開されるので、今後は接種ペースが1日100万回程度まで加速すると思います。
世界のパンデミックの収束時期は?
それでは世界のパンデミックの収束時期を推計していきたいと思います。再度諸データを確認すると、世界の人口は78億7500万人で、潜在的な感染者数(15歳以上)は58億8262万人になります。1人2回接種をベースにすると、必要となるワクチン接種回数は117億6524万回ということになります。
これまでのワクチンの累計接種回数は47億6614万回を超えているので、およそ69億9910万回のワクチン接種が必要になります。1日あたりの接種回数を3,600万回とすればあと約194日で潜在的な感染者すべてにワクチン接種が完了する計算です。
パンデミックの国内の収束時期は?
日本国内のパンデミックの収束時期を推計してみたいと思います。再度諸データを確認すると、日本の人口は1億2536万人で、潜在的な感染者数(15歳以上)は1億1056万人になります。1人2回接種をベースにすると、必要となるワクチン接種回数は2億2112万回ということになります。
これまでのワクチンの累計接種回数は1億1105万回を超えているので、およそ1億1000万回のワクチン接種が必要になります。1日あたりの接種回数を100万回とすればあと約110日、50万回とすればあと約220日で潜在的な感染者すべてにワクチン接種が完了する計算です。
したがって、早ければあと4ヶ月、遅くともあと8ヶ月以内にはパンデミックの収束がみえてくると考えられます。国のワクチン接種期間が2021年2月17日から2022年2月末とされているので、ほぼほぼ計画通りの進捗となっています。
ワクチン接種後の世界は?
これまで見てきたように、2022年の4月ごろには世界中でワクチン接種がほぼ完了します。ただし、基礎疾患があったり、接種を拒否する人もいるので、接種率は100%に達することはありません。加えて、ワクチンの効果は発症予防効果が最も高いファイザーであっても95%しかありません。
したがって、おそらく新型コロナウイルスの新規感染者が0になることはなく、インフルエンザほど患者数は多くありませんが、少なくとも毎年1000万人くらいの感染者が発生するようになると考えています。本当の意味で収束することは当面なさそうです。